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選択的別姓「かぐや姫」珍騒動記 ~月世界誤送信事件と二人の「かぐや姫」~  作者: 如月妙美


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第3章:月世界からの誤送信メール事件

3-1 月の天帝とウサギの憂鬱

 さて、場面は変わって月世界。

 月の天帝は、最近お気に入りのペットであるウサギ「もちまろ」の元気がないことに心を痛めていた。

「もちまろや、どうしたのじゃ?餅つきもせず、寝てばかりおるではないか」

 獣医を呼んでも原因は分からない。そんなある日、侍従長の「月読命つくよみのみこと」が進言した。

「陛下、このウサギは以前、地上から参りました『かぐや姫』によく懐いておりました。姫が地上に戻ってから、このような状態に…」

「なんと!ではかぐや姫を呼び戻せば良いのだな?」

「はっ!早速、地上への召喚メールを送信いたします」

 月世界には高度な通信技術があり、地上との連絡は「月メール」という量子通信システムで行われていた。


3-2 調査不足の大失態

 ところが、侍従長の月読命には致命的な欠点があった。それは「仕事が雑」ということである。

 彼は地上のデータベースを検索する際、「かぐや姫」と入力しただけで、詳細を確認せずに召喚メールを送信してしまったのだ。

 しかし、ここで問題が発生した。

 地上のデータベースには「竹取かぐや」と「山田かぐや」の二つのエントリーがあったのだが、月世界のシステムには「竹取かぐや」しか登録されていなかった。なぜなら、かぐや姫が月から地上に降りる際、月の役所に提出した書類には「竹取かぐや」という公式名称しか記載されていなかったからである。

 一方、かぐや姫本人は地上で「山田かぐや」を普段使いしていたため、彼女の最新の住所情報は「山田かぐや」の方に紐付けられていた。

 月読命は深く考えずに、検索でヒットした最初の「かぐや姫」に召喚メールを送った。

 その宛先は…

「宮中女官・山田かぐや殿」

 全くの別人だったのである!


3-3 もう一人の「山田かぐや」

 実は、都の皇宮には「山田かぐや」という名前の女官が実在していた。

 彼女は竹取家のかぐや姫とは全く関係のない、普通の下級女官である。たまたま同姓同名だっただけなのだ。

 その日、女官の山田かぐやは宮中の庭で洗濯物を干していた。

 突然、空から光が降りてきた。

「な、何?地震?隕石?」

 次の瞬間、彼女の目の前に巨大なホログラムが現れた。

『山田かぐや殿、月の天帝陛下より緊急召喚のご連絡です。至急、月世界へお戻りください。もちまろが貴女を待っております。月の迎え部隊が本日の満月時に参ります』

「え?え?え?私、月に行ったことなんてないんですけど!というか、もちまろって誰!?」

 女官かぐやは大混乱である。しかし、月メールは有無を言わせぬ強制力を持っていた。満月の夜、否応なしに月へ連れて行かれることになっていたのだ。

「ちょ、ちょっと待って!人違いです!人違いですってば!」

 彼女の叫びは、月まで届くことはなかった。


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