第1章:竹取の翁夫婦と選択的別姓論争
1-1 進歩的な夫婦の選択
今は昔、竹取の翁と嫗という夫婦がいた。翁の名は「竹取太郎」、嫗の名は「山田花子」。そう、この夫婦は平安時代にしては珍しく、選択的別姓を採用していたのである。
「あなた、やっぱり私、山田の姓を残したいんです」
結婚当初、花子はそう言った。山田家は代々、竹細工の技術を誇る名門であり、花子はその誇りを胸に秘めていた。一方、竹取家も竹林の管理においては右に出る者がいない由緒ある家柄。
「わしも竹取の名を捨てるわけにはいかん。よし、それならば互いの姓を尊重し合おうではないか」
こうして二人は、平安時代にあって極めて先進的な「選択的別姓夫婦」となったのである。
ただし、これが後に大きな混乱を招くことになろうとは、この時の二人には知る由もなかった。
1-2 光る竹と運命の出会い
ある日、竹取太郎が竹林で仕事をしていると、一本の竹が妖しく光っているのを見つけた。
「これは一体…」
不思議に思って近づくと、竹の中から小さな女の赤子が現れた。その美しさといったら、まるで満月のような輝きを放っている。
「花子!花子!大変なものを見つけたぞ!」
翁が興奮して家に帰ると、嫗もその赤子の美しさに驚嘆した。
「まあ、なんて可愛らしい。この子を育てましょう」
「うむ。だが、姓をどうする?」
ここで二人は悩んだ。自分たちが選択的別姓なのだから、この子の姓はどちらにするべきか。
「そうだわ!この子も選択的別姓にしましょう。戸籍には両方の姓を登録して、状況に応じて使い分けられるようにするのよ」
「なるほど!さすが花子、良い考えじゃ」
こうして赤子は「竹取かぐや」と「山田かぐや」、二つの名前を持つことになった。平安時代の役所も、この先進的な夫婦の熱意に押され、特例として二重姓の登録を認めたのである。
1-3 成長するかぐや姫と二つの名前
かぐや姫はすくすくと成長し、三ヶ月で立派な美少女となった。その美しさは噂となり、都中の貴族たちがこぞって求婚に訪れるようになった。
「本日は竹取かぐや様にお会いしたく参りました」
「いえいえ、山田かぐや様こそ当家にお迎えしたいのです」
求婚者たちは、彼女の二つの名前に混乱していた。
「ねえ、お爺様。私、どちらの名前を使えばいいの?」
「うむ、そうだなあ。公的な場では『竹取かぐや』、私的な場では『山田かぐや』を使うことにしてはどうだろう」
「わかったわ。じゃあ、お役所関係や公式な集まりでは竹取、友達や家族の前では山田を名乗ることにする」
こうして、かぐや姫は普段は「山田かぐや」を名乗ることが多くなった。竹取という姓は、なんとなく堅苦しい感じがしたからである。
しかし、この使い分けが、後に銀河系を巻き込む大珍事を引き起こすことになるのだった。




