第29話 星の人
少年は各々を席に座らせ話の口を開く
「今回君たちを呼んだのは以前伝えた通りこの組織に──」
「よおおし!何とか時間ギリギリセーフ!世界の正義ユースチスここに参上!隠者のローレンスも連れてきたよ!」
少年の言葉をテンションの高いユースチスが遮る。
「おお!ホントに全快したじゃないか!吹き飛んだ目も元通りになってるさっすがローレンス!」
ユースチスはそういってシブキの身体を触る。
「ベタベタ触んな!」
シブキはユースチスの手を振り払う。
「治したとは言えまだ経過観察中だへんな事はしないでくれよ。」
発言を遮られた少年はため息をつく。
「はぁ、ユースチス貴様はいつも時間ギリギリに来る少しは世界の正義の役割を担うものとして自覚を持て。」
「ごめんごめん。さっきまで立てこもりしてたテロリストをどうにかしてたから遅くなっちゃった。」
「まあ、いつも欠席しているローレンスを連れてきた事で今回は不問にしてやる。」
「ありがと〜ごめんね〜。」
ユースチスは笑顔でお礼をいう。
「さて話を戻すぞ今回は──」
「フハハハハハ!集まっているな下賤ども!この世界の悪魔たる我様が貴様らのつまらない睦言を楽しく気持ちの良い喘ぎ声に変えてやろう。」
空から文字通り巨大な翼を持った悪魔のような人物が現れた。
「うわっ。キモいやつ来た。」
ポップな服装をした青年がニヤけながら怪訝な声を上げる。
その姿は何も着ておらず全裸でとても厳格な雰囲気の漂う場には似つかわしく姿だった。
また、顔は整った男の顔をしているのにも関わらず乳房は女性のように膨らんでいた。
声も中性的であれがどっちなのか判断ができない。
シブキは見るからに狂気とも言えるその姿を下まで確認できなかった。
(多分両方ある。)
シブキは静かにそう思った。
「黒山羊。貴様がここに来ることは珍しいどうせ来ないと思い呼んでないのにどういう風の吹き回しだ?」
「今回は我様が見出した人材だぞ見に行かない訳がないだろう。自分の子供でもある存在の晴れ舞台を観に行かないような親がどこにいる。」
「よく言うよ。」
落ち着いた雰囲気の男がぼやく。
「それに我様は興味のあることにしかやる気が出ん。毎日参加しないのは貴様らの話がつまらんからだもっと我様を楽しませるよう努力せよ。」
「断る。とっとと席に座れ。」
これ以上言っても無駄だと悟った黒山羊と呼ばれた悪魔は大人しく席に座る。
「先ほど触れたように今回は世界の悪魔である黒山羊が見つけた存在を────。」
すると会議室の中心から扉が現れ少年の言葉はまた遮られる。
「お、遅れてごめんなさい!愚者のアリスただいま参りました。戦争の事後処理をしていたら遅くなりましたぁ。」
少年は笑顔で黙っていた。
笑顔だが確実にイライラしていることが全員に伝わった。
(この子だいぶ舐められてるな。)
シブキは同情的な目で少年を見る。
「今回、貴様らに集まってもらったのは他でもない。…以前から空席だった世界の恋人を加入させる事となった。」
少年はやっと本題を言える事が出来たと安心した表情になる。
「彼女の家系から代々受け継がれている固有魔術アニマ・アニムスは世界の恋人にふさわしく完全にものにできればあらゆる脅威に対応策を作り出す事が出来る。そして、彼女はその魔術に完全に適応している故にまだ成長段階であるが我々に並ぶ戦力となるだろう。」
少年は力強く立ち上がる。
「それでは来ていただこう。彼女こそが世界の恋人ペルレ・ハーゼである。」
少年は扉の方へ手を向けたが誰もそこにはいなかった。
「…………………。」
零士が電話をかけている。
「…はい。…はいそうでしたか分かりましたいえいえわざわざお忙しい中ありがとうございます。…はいでは失礼致します。」
「申し訳ございませんが担うペルレ・ハーゼ様は今回急遽学校の予定が入ってしまい欠席となってしまいました。」
「………。」
少年は静かに席に座った。
会議室の場はポップな服を来た青年の笑い声しか聞こえなかった。
「…と、今回はこのようなことになりましたが会議は進行させていただきます。つい先ほど運命の輪の動きが見られたと観測手からの情報が入りました。」
会議室の中心にホログラム映像が現れる。
「はい、こちら運命の輪の観測手です。」
「運命の輪は約30kmの移動をした後に停止しました。また停止した3時間後付近に天命楽団が現れました。今回はピアノ演奏者のみで曲名はキラキラ星でした。以上です。」
ホログラム映像は消える。
「キラキラ星ってことはあれが動き出すってことかい?」
ローレンスは零士に聞く。
「ええ、そうでしょうね。我々がいずれ来る脅威、塔断定した人類の天敵、星人が。」
この数日後、天命楽団が演奏をした付近の街が消滅した。
書きました。よろしくお願い致します。




