第2話扉へ
「どうだ!?すごいだろ!!こいつ、なんと通常の三倍の速度で動くぞ!」
「それぞれを寄せるな!渋滞起こしてんだよ!」
約束の日三人は、待ち合わせの黄昏研究所跡手前でドローンを動かし噂の都市伝説について調査を行っていた。
もっとも、三人とも真面目調査をするつもりはなくこの集まりの目的はリオの最新ドローンの自慢である。
わざわざ黄昏研究所を選んだのは、未発売のため人目を避けるためだろう。
リオの言った通りドローンは簡単な扉なら軽々と開けることができ研究所をどんどん奥に進んでいく。
しばらくするとさすがに電波が届かなくなったのかドローンの撮影カメラにノイズが走り始めた。
「どうやら外からの調査はここまで見たいですね。どうします?ここから入ります?今ならギリ住居侵入罪をごまかせる範囲ですが。」
イヅミは、冷静な顔で意見も述べるがその声はかなり新しい玩具を目にした子供のようにワクワクしている。
「決まっているだろ中に入るぞ!!」
シブキは、大興奮で2人を研究所内に入ることを促す。
「行くぞ!!!」
「そこで何してる!!」
突然後ろから大人の男の声が聞こえ3人の心臓は縮み上がった。
振り向くとそこには、初老の男性が立っていた。マスクとサングラスで顔をよく分からないが、歳はシブキの父親よりやや上くらいだろう。ぴっちりとしたスーツを来ているが物腰はどこか柔らかく安心するを感じさせる。
「ここに入るならこれをを持っていきなさい。」
そう言って男は変わったエンブレムが刷られた青色のカードを渡した。
「私はこの施設の関係者でねこのカードは許可書のようなものだ。これがあれば出入りは問題ないよ。」
シブキは読心術で彼の言葉に嘘はないと判断し2人に伝えるとカードを受け取り言われるがまま研究所に入っていった。
ドローンカメラで見ていたとはいえ研究所内部は何年も使われていないにもかかわらず奇妙なくらいきれいだった。(さすがに電気の供給は停止しているため窓のない廊下は真っ暗だったため懐中電灯は必要だが)
ドローンのカメラが正常に戻るとドローンを飛ばし先の状況を確認しまた電波が悪くなるとまた近づき安定したらまた飛ばすを繰り返して先に進む。
これを5回繰り返すと突然ドローンが止まってしまった。
「充電切れか?」
「いやコントローラがエラーを起こした。???近くにドローンがありません?目の前にあるだろ非売品特有の故障か?」
「ならここからは自分の足で奥に進みますか。」
「そうするか、ところで俺たちどのくらい歩いた?」
「確認しますね。ちょっと待ってください。25分くらいですね。ん?」
「どうした?」
「いえ、私のスマホ県外になってるんです。」
「まじで!?」
シブキは自分のスマホを確認する。確かに自分のスマホも県外になっていた。
「俺のもだ。(あっ、ドローンは治った)」
「よかったな。」
「この辺り一帯電波が遮断されているようですね。」
こんな、都市の真ん中でいきなり県外になるのは普通はありえない。ここで3人はここに何かがあるのではないかと感じた。
3人は、期待と不安を最高点まで高鳴らせ奥に進んだ。
3人は、研究所の実験場らしき部屋にに到達すると1枚の扉が目に入った。
その扉は、(10年前に閉鎖されたとはいえ)研究所の最先端的なものとは違い、ヨーロッパのルネサンスやバロックを思わせる古めかしい扉であった。まるで、タイムスリップで扉だけこの空間にやってきたようだった。
3人は、この扉に何かがあると確信した。
互いに顔を見合わせ、覚悟を決めドビラを開ける。
扉を開けると。まぶしい光が漏れ出す。その光の正体を確かめるべく3人は扉の中に入る。
扉を開けた先は、草原が広がっていた。漏れ出した光は太陽の光だった。
周りを見渡しても山や地平線のみであり今まで感じたことのない開放感でシブキの心を満たしていた。
──ようこそ想造世界へ
ようやく次回から本題に行けそうです。