1話夏にて
鳴り響く蝉の声、歪む視界、吹き出した汗はすぐに塩に変わるそんな日がやってきた。
行きつけの喫茶店の手伝いが終わった春夏秋冬紫吹は自転車で家に帰っていった。
あたりには行方不明者の捜索願の張り紙や報道さらには都市伝説を聞きつけた若者達(自分よりも年は上だが)が通過するたびに目に入った。
「今日は5人か?多いな。」とシブキはぼやく。
シブキが住んでいる街は、奇妙な都市伝説があり行方不明者が通常の倍以上多いかと思えば数ヶ月後早ければ3日で戻って来ると。そして、戻ってきた人間は皆そのことを覚えていないとのことである。
これが10年間もずっと続きいているため街の人もすっかり慣れ家の子供が1日以上帰ってこなくても心配をする親は少なくなく、都市伝説を聞きつけた若者が行方不明者を追った結果、自分が行方不明になるのも日常茶飯事である。
「ただいま。」
家に帰ると家族の家族の靴のほかに自分と同年代くらいの靴に見気づいた。
「また勝手に入ってきたな。」
シブキは迎えに来た母と兄妹に喫茶店の珈琲豆を渡すとすぐさま自分の部屋に向かっていった。
「おかえりーあなた、お風呂にするごはんにするそれとも・・・。」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「言えよ!!」
「飽きました。」
「やるなら最後までやり通せよ!」
「最後までやり通しても変な空気になるだけじゃないですか。バカなんですかアホなんですか変態なんですか?」
「少なくともお前はそうだろうな!」
眼鏡をかけたザ・インテリ少年のような男は、シブキの幼馴染の渡烏海同じ中学のクラスメイトで文武両道だが人の嫌がることと煽ることにやる気を出すタイプでデリカシーにもやや欠けているが現在は、シブキの親友である。
「もしかして言ってほしかったのか?変態かよ?いやぁ、中2ともなればやっぱお盛んなんすねぇ下半身が」
と真剣な表情でパソコンを睨んでいるもうひとりのシブキのもうひとりの幼馴染の最羽理烏はわざとらしくシブキを煽る。
リオは、世界でも有数のIT企業最羽グループの御曹司でコンピューター操作に関しては大人顔負けの技術を誇っている。たが、調子に乗りやすく中学生とは思えないような変態性であり、おおよそ中学生どころか大人でもあまりやらないようなエロゲーが彼のパソコンにはコレクションされている。
「勝手に人んちに来て人のパソコンでいかがわしいゲームをやろうとしてるやつに言われたくねーよ!」
「せっかくの夏休みなのにお前らのやることは人の家でクソみたいな茶番と中学生がやるようなゲームをするしかないのかよ!」
「もっとリゾートとかテーマパークとか連れて行ってもらうとかないのかよ」
「「そんな親もういないじゃない。」」
「そうでした、すいませんでしたア◯ラさん達。」
イヅミの母親は父のDVをもとに亡くなり、父は今も刑務所の中で今はシブキとリオの家に居候という形で過ごしている。
リオの両親は5年前に起こった事故でなくし血縁者である祖父とはとてもではないが良好な関係は気づけてはいない。
その後3人でトランプをしながらくだらない会話を続けていると遠くからさっき聞いた行方不明者捜索の報道が聞こえてきた。
「今日もまた行方不明者がでたようですね。4!」
「ああ、帰る途中だけでも5人もそうなったらしい。だが、誰も心の底から心配してるやつはいねえよ。5!それどころか楽しんでるやつがほとんどだはっきり言って異常だこんな状況。」
「それ、いつもの読心術で読んだのか?6!」
「やらなくてもわかるよあんな集団。」
シブキがまだ5歳の頃、心理学者の父に頼み人の心を読む事が出来るすべを学んだ事があるその結果、父親ほどではないが目や声、体の動作、匂いなどのあらゆる側面から大まかな感情が分かるようになっていた。
「もういっそさあ、俺たちで行方不明の真相を探らねぇか?8」
「は?9」
シブキはカード出しながら呆れた顔でリオを見る
「だってよ、行方不明の理由を探って解決すれば俺たちヒーローになれるし、こんなおかしな状況に惑わされずに隙なときに出歩けて鳥じゃね?J」
リオは、自信満々で妄言を語る。
「そういう感情のやつはさっきの観光客で飽きるほど見たぞ。それダウト」
シブキは、そう言ってリオの出したカードを指摘する。
「まあ、付き合ってあげましょう。せっかくの夏休みです無駄な時間を消費するのも醍醐味だと思います。はいKで上がりです。」
トランプも終わりカード整えながら会話を続ける。
「仮に行ったとして、俺たちに何ができるんだ面白半分でミイラ取りになったやつと一緒にオチになるだろ。」
シブキは、そういった後、リオに別の感情があることを察した。
「心配ご無用今回俺は、今回は、普段よくしてもらってる会社から未発売の最新ドローンをもらったんだ。しかもドアも開けれる。」
2人これ試そうとしただけかと納得した。
「じゃあ明日早速行方不明者の調査しに行こうぜ場所はあの黄昏研究所跡で集合な」
じゃあなーと言ってリオとイヅミは止めるまもなく帰っていった。
部屋に戻ったシブキは自分机に置いてある写真見ていた。
そこにはまだ小さい頃の自分とそれと同じくらいの女の子が仲良く写っていた。
(黄昏研究所かあ)