第18話 目を開けて信じろ
「ほんとになんでこんなところに?」
「昨日、零士さんがしーくん達を預けてるって言われたから私達も今朝こっちに家族全員できたの〜♪。」
「そんなのありかよ!」
「ていうか昨日?今日じゃなくて?」
「そうだけどそれがどうかしたの?」
「零士兄ちゃんがここにいるの知ったのは今日なんだけど?なんて昨日の時点で向こうは知ってたんだ?」
「それには理由があるけど僕の口からは言えないかな。せめて彼に勝ってからのほうがいい。」
シブキの疑問に落ち着いた声で父が答える。
「父さんは、オレ達が勝てると思ってるのか?」
「もちろん零士くんには悪いけど致命的な見落としがあってそれに足元を掬われ負けると思ってる。」
「だからせめて電話で言われた通りシブキの足止めをさせてもらおうと思ってね。」
「あっ、そっち側なんだ。」
「ところでシブキどうやら好きな人ができたみたいだね。」
「えっ!そうなの!だれだれ〜?」
父鳳利のほんの少しの足止めのための話題に母の茜は食いつく。
「一目みただけで人ののプライベートを吹っ飛ばすな!」
「いいじゃない♪それでどんな子なの♪」
「今は少し忙しいから後にしてくれ。全部終わったら話すから。」
「わかったわ〜♪楽しみに待ってるね〜♪」
「僕の方もそろそろいいかな?」
「もういいのか?何で聞いたの?」
「想像よりも早く動きだすので。」
鳳利の言葉とともに辺りが騒がしくなる。
「この時を待っていた!」
「今こそ奴隷の解放を!」
「我らの同胞にじゆうを!」
「ここで来ますか!解放戦線!」
彼等は朝デモを行なっていた奴隷の解放戦線達だった。
「行くなら行ったほうがいい。今なら彼等を利用して隙をつけると思うから。」
2人は迷いなく戦いに向かう息子の勇気を讃えいってらっしゃいと告げる。
「ああ、それとここで会う前にイヅミ君ともあった彼ならもう大丈夫だ。」
「何かしたのか?」
「何も僕は目を開けるのが怖いなら友を思い出して信じていれば良いと言っただけ。」
「そっか、ありがとう父さん。」
迷いのない足取りで駆ける息子を2人は手をつなぎながら見送っていた。
零士と解放戦線の戦いは数と地の利を得ても尚零士の方が優勢であった。
「私は貴方がたを常に警戒していました。毎日のように奴隷の解放を訴えていた貴方がたがこの暴動が起きた今日に限って静かっでした。念頭に置かないわけがないでしょう。そこで私は確信しました。貴方達は機を伺っていると。私が難攻不落の会社から出た時が絶好の好機だと。」
零士の蝶の羽は色と模様がまるでオーロラの様にかわり魔法陣を形作る。
そしてその魔法陣から光線と光弾が発射される。
次々と解放戦線がなぎ倒される。
「羽が邪魔でうまく狙えない。できれば一番いい当たりにぶつけたいんだが。」
(早く投げてみなさいさもなくば私の視界を遮る解放戦線は全滅しますよ。それともイグニスさんとの合流を待ちますか?)
当然零士は、シブキがこちらを狙っていることを読んでいる。
「これで最後ですね。」
零士が最後の解放戦線に対して照準を合わせる。
しかし、次の瞬間見えない何かが零士の肩を抉った。
「くっ!これは!?」
「お見事です。ロボ。」
そこには狼の耳と尻尾の生えたメイドのルピナスが立っていた。
「姿なき狼か。」
「ならば!グリモワール─赤ずきんよりばっ─炎が?!」
零士はルピナスの狼に対応する魔導書を取り出すが詠唱を言い終わる前に本が燃えた。
「させないよ〜☆後でべんしょーすっから許して☆」
7つの魔術を使うことができるアイリスが零士の魔導書を燃やした。
この隙を逃さず姿なき狼が次々と零士の身体を噛みちぎる。
「今です!」
先ほどまで見えなかった巨大な甲冑人形が現れる。
「避けきれない!」
巨大な刀が零士を切り裂く。
胸が裂け大量の血が噴き出しながら落ちていく。
ビルの谷に落ちていく零士は杯を両手に持ち片方の杯に中身を移す。
「集まり──満たされ─」
杯に満たされたと同時に羽が身体に吸い込まれる。
すると零士の身体が吸い込まれた羽のように輝き始めた。
次の瞬間零士は、驚異的なスピードでルピナスをビルの向こうへ蹴り飛ばす。
さらに、アイリスをつかみ飛び上がり何度も地面に叩きつける。
そして5体の甲冑人形を手刀のみで細切れにする。
「ぐっ!」
零士の胸から血が噴き出す。
零士は節制の杯によって自分の魔術をイマジナリウムに変換しそれを全て身体能力の向上に当てた。
この杯が起こせる能力は1回の注ぎに1つの事柄のみのため身体能力を向上させた身体で無理矢理傷口を塞いでいたのみである。
「ここだ!」
声とともにシブキは槍を投げる。
投げたやりは一直線で零士に向かう。
「ようやく来ましたか。逃れるすべがない槍狙っている場所も私の傷口でしょう。ですが対応策はすでにできています。」
零士は再び杯を両手に持つ。
「削がれ──弱まり──」
杯が注がれると槍の向かう速度がどんどんと遅くなり彼の胸に到達する頃には羽毛に触れるようなほど弱まってしまっていた。
「必ず当たり避けるすべがないのならそのダメージを最小限に抑えるのが最も確実な回避方法です。」
「さて切り札も出し切ったようなので─」
「──残念ながら私の勝ちです、と思っているな!」
「!」
「イヅミ俺たちを信じろ腹をくくれ!」
零士の目の前には先にはナイフを構えた甥の姿があった。
書きました。よろしくお願いします。




