表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
腐れ縁なんかいらんねん  作者: 宗あると
2/3

2


 「傷ついても何とも思わんはあかんやろ」

 「勢いで言うてもうてん」

 「そら傷ついてんで、美波ちゃん」

 「まぁしゃーないやろ。美波もわかっとるわ」

 「甘えてんな。子供の頃から一緒におるからって、何でも分かりおうてるとか。それなら美波ちゃんの割りきれん気持ち察したれよ」

 「けじめつけなあかんやろ。そうせな、ひかり傷つけてまうわ。いつまでも俺が美波のことなんでもわかるような男やったら、あかんねん」

 「そんなややこしく考えんと、3人で仲良くしたらええんちゃうの。子供の頃は仲良かったんやろ」

 「子供の頃と一緒にすんな。仲良くしてたら、俺が浮ついてまうねん」

 「浮つくて、お前美波ちゃんのこと、何でもないんやろ」

 「そう決めたんや。美波がサッカー部の先輩追いかけてる時に。俺は美波とこのままでいたいから、俺のダサい嫉妬は永久に胸にしまおて」

 「はーそうなん。でもあかんかったやろ、その先輩とは。なんでその時に俺がおるやん言わんかったん」

 「言えるか。俺かって傷ついてんねん。ざまーみろ思ったわ」

 「まー美波ちゃんも、そういうことしといて泣きつくんはちょっとちゃうな」

 「付き合うと結婚はちゃうんやろ。美波がサッカー部の先輩追いかけてる時は、俺には美波が本気に見えんかった。美波にもそう見えたんやろ、昨日の俺は」

 「俺にも本気には見えへん。美波ちゃんから逃げる為に結婚してるように見えんな」

 「マジか。別に逃げてへんよ。美波にはほんまにそういう気持ちないから」

 「さっき浮ついてまう言うたやろ」

 「ひかりを傷つけてまうくらい、仲良くしてまういう意味や」

 「ほんまか。ブレブレやんけ言うてること」

 「ホンマにないって。美波やって、わかってたはずやねん」

 「それはどうやろな。側にいた人間が現実に離れていくってなるのは、そんな簡単に割り切れるもんちゃうで。側におるだけでも幸せと思ってたら尚更」

 「幸せやったんか、美波は俺といるだけで」

 「いや、知らんけど。美波ちゃんちゃうから俺は」





 「そら引くわ実來君」

 「幸せがなくなった時に冷静でいられる人なんておらへんわ」

 「幸せて別に付き合ってたわけでもないやん」

 「幸せやったの!私はずっと実來の側にいれると思ってた」

 「それなら祝ってあげたらよかったやん。それやったら実來君も怒ったりせんかったよ」

 「わかってる、そんなこと。でもそんなん出来へん。腐れ縁とか言うてヘラヘラ笑って、幸せそうにする実來の側になんかおられへん」

 「ややこしいな、美波は」

 「なんで私はあかんの。子供の頃からずっと一緒やし、ひかりちゃんなんかより、ずっと実來のことわかってるし、実來だって私と一緒におる方が楽しい筈やのに」

 「それは自惚れちゃうかな」

 「そうやっても、付き合って2ヶ月て。私との時間はなんやったん。あんなに分かってくれてて、私には何の気持ちもないの?」

 「それは実來君じゃないとわからへんけど、美波やってずっと実來君のこと一途に思ってたわけちゃうやん」

 「あれは実來が何も言ってくれへんから、寂しくなっただけ」

 「そんなん、実來君にはわからへんよ。それで実來君、あんたのこと諦めたんかも。俺はそういうのじゃないんやって」

 「そんなんで諦めんといてよ」

 「まぁ仕方ないわよ。自分もふりまわしたんだから、同じことされたって」

 「付き合うのと結婚は違う!最後通告やんか。もうお前とは一生無理って」

 「別に今まで通りでよかったんちゃうの、実來君は。美波がこじらせただけで」

 「そんなんずるい。自分だけ幸せになって、私はそのままでいてくれなんて」

 「美波が側にいてくれたら、それだけで幸せやったんかもしれへんよ。どんな形でも」

 「それやったら、私を選んでよ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ