属性と相性
朝が明けた。
俺は日が上った瞬間レイラに叩き起こされ庭で魔術の指導をされている。
「こう、ぐわーーーっとこみ上げてきた瞬間にぱぁーーーーっと弾き出すイメージよ!!」
レイラは感覚派なのだろうかさっぱりわからん
「なんで出来ないかなぁ?あんたセンス無さすぎよ!小さい時親から習わなかったの?」
頬を膨らませ腰に手を当て怒ってる
ぷんぷん!を絵に描いたような怒り方でなんだかほのぼのするなぁ...
「次失敗したらヤルから」
誰だほのぼのするとか言ったの
例の半透明ブーメランを作ってこっちを睨んでいるではないか!
「あの...ハルト様」
視線を下に向けるとエリーが居た
「どうしたのエリーちゃん?エリーちゃんまでレイラに殺されちゃうよ?」
「殺されませんし、多分レイラ様は本気じゃありません」
エリーちゃんは何か言いづらそうに俺を見上げてる
「エリーちゃんどうしたの?」
「いや、その」
エリーちゃんの視線の先はレイラだ
多分レイラに聞かれたくないのか?
なんとなくだが察しが付いた
多分レイラの指導方法が俺に合ってないのを察したのだろう
「レイラ!腹減った!!朝飯にしよう!
腹減ったから力が出せん!」
「それもそうね、朝食にしましょうか」
「レイラ様お手伝いします」
「ライリーありがとう」
レイラとライリーが朝食の準備の為家に戻って行った
「んで、改めてエリーちゃんどうしたんだい?」
「魔術の使い方なのですが..」
やっぱりそうだった
そりゃレイラの前で割り込んで指導するなんて事はエリーちゃんには出来ないだろう
そこからライリーが呼びに来るまでの約15分間みっちりエリーちゃんに指導された
魔術には属性というものがあり
レイラは風
エリーちゃんは水だという
レイラの指導は風の指導であり恐らく俺の属性は風ではない。ならばという事でエリーちゃんに水魔術の指導をしてもらった
結果は何も出来ず
「ライリー、この朝食が俺の最後の晩餐かもしれない」
「そんな落ち込む事はないですよ、まずは全ての属性魔術の練習をしてみてからでも遅くありません!」
「全部ダメだったら?」
ライリーは黙って俺の肩を叩いて首を振っていた
僕を見捨てるなんてひどいよ、ライリー
「食事終わったら特訓再開するわよ!
ほら、ハルト!早く食べなさい!!」
なぜこいつはこんなに元気なんだ
こっちったら出来ない時にお前に殺されるかもという危機感持ってんだぞ
まぁ、本当に殺される事はないだろうけどさ
朝食を済ましまた4人で庭に出た
早朝とは違いエリーとライリーに魔術を教わる事にした。
もちろん申し出たのは俺だ
レイラはつまらなそうにしているが彼女の説明はホントに理解出来ないのでしょうがない
ライリーは母親の影響でほぼ全属性の初級魔術は理解しているらしい。
本人曰く理解しているのと使えるのは別らしいが
火属性、土属性、木属性、ダメでした
出来ないから昼飯抜きの宣告を受けて夕暮れまでずっとやっていたがダメでした。
「全部ダメじゃないの!」
「しょうが無いだろ!やった事ないんだから!」
「私の一日返しなさいよ!」
「まぁまぁレイラ様、まだ初日ですし」
「ライリー、初日だからと言って明日には出来る保証はあるの?」
レイラは冷たい目線を向けている
ライリーは苦笑いするしかなかった
「しょ、食事にしましょう、レイラ様
今晩は私が作りますので!」
エリーちゃんの一言で2人の緊張の糸は解れたが原因は俺にある
俺も使い魔なら黒眼でも魔術が使えると聞いた時にはワクワクしたし魔術にも属性があると聞いた時には「ならどれか出来るだろう」という甘い思いはあった。
ここまで何も出来ないとは俺も肩身が狭い思いです。。。
レイラは居間で茶をすすり
エリーちゃんが食事の準備をする
俺とライリーは、、俺の部屋で寝れる為に部屋の整理をしていた。
2人がかりだから寝るまでには片付けられるだろうと思ったからだ
まぁそう上手く行く訳もなく
「ハルト様、これだけの本どうやって集めたんですか?」
部屋に入るとライリーの目はすごく輝いていた。
「別に俺のじゃないしレイラが集めたんだろ
それに本なんてすぐ買えんじゃん」
「何をおっしゃいますか!本ほど高価で貴重な品物はないですよ!!」
ライリーはそう言うとランプに火を灯し片っ端から本を読み始めた。
掃除の時の本恐るべし
俺も一冊手に取ってペラペラとページを開いてみた
相変わらず何が書いてあるかわからん
ただ本としての質というのは元の世界に比べればかなり劣るのは確かだ
ページはきちんと揃ってないし中には修学旅行の栞レベルの本まである。
これがこの世界では高価というのだから不思議なものだ
「ほほう、光魔術ですか...」
ライリーが俺の手に取った本を覗き込んで呟いていた
「光魔術?」
「はい、光魔術。私もよく知らないんですが中々扱える者は少ないと聞きます。母でも扱えていませんでしたから」
「へーそうなんだ、因みにこの本の内容ってわかる?」
「ええ、わかりますが、、もしかしてハルト様学校に通われていたのに文字が読めないのですか?」
やめてくれ。そんな不思議そうな顔でこっちを見ないでくれ
「まぁ、お恥ずかしながらね、
どうやらこの世界の文字と俺の世界の文字は違うらしいからさ」
「そうなんですね、なら仕方ありません
でも、どうして文字が読めないのにこれだけの本を残していたのですか?」
「単に読めるようになれば暇つぶしになると思ったからだよ。俺はレイラの代わりに結界を張るのがこの世界での仕事らしいからさ」
「結界を張る、、ですか
倒置結界さえ張れればレイラ様とハルト様お2人でこの村から出れるかもしれないんですけど」
物知りのライリーが難しそうな顔をしてるって事は簡単ではないのだろう。結界を張ると言う事は
ん?倒置結界??
「ライリー、と」
「ハルト様、お兄ちゃん、ご飯出来たよ」
俺の言葉を遮るようにエリーが顔を覗かせてきた。
レイラもいる食卓でこの話題は聞いた方がいいのかもしれないし、後でまた聞く事にしよう
レイラが全く話さないので静かな食卓だ
エリーちゃん美味しいよ!と褒めると
エリーちゃんがありがとうございますとお礼をくれるだけ
エリーちゃんもレイラの機嫌が良くないのが気になるのだろう
だがこの話題を切り出さないという選択肢は俺にはなかった
「それでライリー話の続きなんだけど
倒置結界っていうのはどういうものなんだ?」
レイラはチラッと俺を見てきたが何事も無かったかのように食事を続けていた
ライリーは凄く話しにくそうにしているが
俺がじっとライリーの目を見ていると重そうにライリーが話し始めた
「現在、レイラ様が張られている結界は通常の結界で村をテントの様に覆って守っている結界になります。
倒置結界というのはその文字通りその結界を逆さにするというイメージで問題ありません。術式そのものは通常の結界と何ら変わりませんが効果がかなり変わります」
「テントで村を覆うのを逆さにするって事は地面にテントを逆さで埋め込むっていう理解でいいのか?でもそうなると倒置結界は空に結界はないという事にはならないのか?」
「ええ、その認識で間違いありません。
通常の結界で事足りる理由はこの辺りには地中を彷徨う魔獣が生息していないからだと思います。もしいたとしても地表にも結界が張られているので地上には現れれないでしょう。
空に結界がないと言う話ですが倒置結界を敷く時に普通の魔術士なら空に結界は張れません。なので結界を張る際に倒置結界は殆ど使われないのです。
しかし通常結界は発動主が居なくなる又は結界の術式を閉じれば結界は消失しますが倒置結界は術式を閉じない限りは消失しません。
倒置結界のイメージはそうですね、、村をビンの中に入れる感じでしょうか」
「で、その術式っていうのはライリーはわかるのか?」
「力不足で申し訳ないのですが私はわかりません」
「そっか」
レイラは顔色一つ変えずに食事を続けていた
恐らくレイラもこの事はわかっていたのだろう、けどレイラでも出来なかった
そういう認識で間違いないのかな
「ですが、倒置結界は光属性を持つ魔術士なら空まで結界を張る事が出来ると聞いた事があります。過去に母も倒置結界を試みていましたが光属性を持ち合わせてなかったので上手く成功しませんでしたが」
「光属性ね..」
レイラがスプーンを置きため息のように呟いていた
呆れているような顔で遠くを見つめていた
「俺の部屋にあった光魔術の本、あれ使えないのか?」
「使えるかもしれません。ですが光属性はかなり希少な属性の部類です。
私も幼い頃から旅をしていましたが出会った事はありませんし」
ライリーが凄く申し訳なさそうな顔をしていた
エリーちゃんも下を見てじっとしてる
それだけ難しいのだろう。
あのレイラですら光属性に関しては諦めているんだから
「話はおわった?ならハルト片付けておいて」
レイラはそういうと自分の部屋に消えて行った
食事の片付けも終え俺の部屋
「本当にもう一泊してもいいのでしょうか」
「いいんだって、レイラだって帰れって言ってないんだしさ。
それに光属性についても詳しく知りたいからさ」
善は急げだ、ライリーが居ないと本も読めないしな
「とりあえずこれなんて書いてあるんだ?」
「えっと、光魔術は...」
本曰く
元々魔力属性というのは火や水、風といった自然由来の物で出来ている。
だが光属性と闇属性は少し違う
光というのは人を助ける魔力属性をもつ
闇というのは人を陥れる魔力属性をもつ
以下光、闇属性の事を特異属性と呼ぶ
属性というのはこの世に生を受けた瞬間から決まりそれが変わる事はない
多属性を持つ人間も生まれる事はあるが基本的には得意ジャンルというものが存在する。
属性は生まれた環境などには殆ど左右されず遺伝で決まる。
遺伝で決まる為時に突然変異を起こす可能性がある。そこで生まれるとされているのが特異属性である。
光魔術は主に治癒魔法、援助魔法を得意とする。
特異属性を待つ人間は外傷が異常な早さで回復する為自身の治癒力早さで確認することが出来る。
だそうだ。
なんで光属性の魔術士が作った倒置結界は空まで発展されるのかについてだが光属性の使う魔術には"繋がり"があるらしい
というのもその繋がりを利用してそこに存在する魔力(空気中の魔力やそれを取り込んだ人間等の生き物、木や草など)を数珠的に繋ぎ強大な魔術として展開出来る。というが理由らしい
そんな光属性の1番基本的な魔術は回復魔術、所謂ヒールだ。
そもそもこの世界の魔術には詠唱と心唱、術式の3つがある。
詠唱は言葉に出して魔術を展開するモノ
ただしこの世界では本などに書いてある呪文を読んで唱えるという事は殆どしていないらしい。
ならこの本は?と聞くと
特別過ぎます!こんなの首都の国営図書館に行かないとありません!って言われてしまった
紙が高級過ぎるのと質が悪い為長年保存する事は出来ないのだろう。
書物などで伝えられないから親から子へ口伝えになっているのがメインなのだという。
まぁ、属性は遺伝が大きく関わるから親と属性は似るだろうし使える魔術と必然的に似るのだから当たり前か
木とか石に掘ったらダメなの?って聞くと悪くはないでしょうけど魔術が使われ始めたのはもう500年以上も前の事なので、、とライリーに言われた
次は心唱
心の中で唱えるというモノだが呪文を心の中で唱えるのではなく身体の魔力をコントロールし術を出す事を指すのだという。
そもそも呪文って何?と聞くと
身体のここを意識して魔力を抽出しどこを経由して手のどの位置に力を込めると火が出るみたいな行程を唱えるというモノです。と説明された
その行程が本に書いてあるって事ね
最後に術式
魔法陣を書いて唱える魔術
結界や使い魔召喚は術式でないと使えないらしい。
というのも火をつけるとか水を出すとかは空気中に素材がありそれを足し合わせたり差し引いたりして発動させるので複雑な問題はないらしい。
だが結界や使い魔召喚は0から1を生み出す魔術の為魔法陣が必要なのだという。
その代わり発動に必要なのは属性ではなく発動主の魔力そのものなのだという
光属性の魔術士の作る倒置結界が空まで結界を展開できるのはあくまでオマケの能力なのだという。
例えば使い魔召喚で発動主が火属性なら火に関係する魔獣が召喚されやすいみたいな
そんなこんなでライリーと魔術、属性について話していたらすっかり日も暮れライリーもうとうとしていた。
続きは明日にしよう。
あっ、
部屋の整理が終わってない




