8 出会(敵)突然
「んアァァァぁあああああああ!!!
やだ!ふざけてる!マスター出てこい!
出てこいや!!!〜〜〜〜
ーーー
...ふ〜、叫び過ぎてクラクラする。
嘆いててもなんも変わらんか、とりあえず休まなきゃ...」
:溜め込まずに不満を吐き出すのが順平のストレス発散方法であり、ちょっとだけ友達の少ない理由なのは内緒だ。
一旦地面に座り込んで水を飲み、飴を口に含んで小休止する。
色んなことが起きすぎてパニクった頭も、徐々に落ち着きを取り戻し、改めて今置かれている状況を整理する。
間違いなくここまでは一本道だった
つまりここに入る事でしか状況は動かなそうだ、一応壁も触って隠し扉やスイッチが無いか探すがよく分からん
わかったのはどうしようもない現状だけ
:眼前にはそれまでと変わらない壁と、右も壁で左には洞窟によく似合う錆びた鉄の装飾をされた木製?の両開きの重厚な扉
!妙だな...、この扉どこかで...
「あっれれぇ?おっかしいなぁ〜思い出せないやぁ〜」
見覚えない、あったらなんやかんやで死ぬ。
だからないったらないんやで
:まぁそんな雰囲気の扉だった
鍵穴は無い、内側に閂でも無ければとりあえず開く筈だ
飴を舐めきり、一呼吸ついたところで扉を開いてみる
「さて、鬼が出るか蛇が出るか...」
:そんなフラグめいたことを呟きつつ、輪っかに手をかけて引き開け、顔を近づけ中を覗く
...が、すぐに引っ込めた
「わんわん!わんわんお!(小声)
...なんて可愛いもんじゃ無いデカさと野性味だなぁ、そんなボスっぽくあろうとか気を使わなくても、こっちとしてはミニチュアシュナウザーとかそんなんでいいのに...」
開いた隙間から中に見えたのは、
血がこびり付いた様な赤黒い体毛
理性を感じない血走った白い眼
筋肉質で膂力と速度を感じさせる体躯
体長1.5m程の[キラードック]だった
「よし、よーしよし一旦作戦練ろう、そうしよう
これは敗北では無い、戦略的撤退だ!
...あれ?え、は、え?閉まんない
いやいやいや!流石に無いそれは無いって!
なんだこの作りは!マスター出てこいや!(本日2回目)
くそっ!オラに力を貸してくれぇぇぇぇ!!」
: 心の準備も整っていない順平の全力の抵抗も虚しく、まるでバネ仕掛けの様に扉は開いていく。
キィーバッツォン!ゴロゴロッアダッ!
こうしてややバテ気味後頭部強打人間対
殺意ギラギラ系わんこの戦いの火蓋が切って落とされた