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デュナミス  作者: サキ
2/4

各々の力

「……案内パンフレットの設備は特進用なんですね」

 演習場を見渡した成宮颯が言った。

「小さいが設備は一流だぞ。頑張ろうな。まずはそれぞれのデュナミスを見せてくれ。順不同、成宮からな」

「はい」

 成宮颯。金髪に茶色い瞳を持つ男子生徒でデュナミスは『満月の5』の発火操作。衣笠先生が白いタブレットを操作して成宮颯の前に黒い台に2本のろうそくが乗った物が床から現れた。

「その2本を同時に点けてみろ」

 衣笠先生に言われ成宮颯はろうそくを見つめるとろうそくに火が灯る。続いて5メートル先に3本の線香が現れた。その3本に火を点けろの事で3本のうち1本は点いたが残り2本は芯に火花さえ付かなかった。

「次、秋原」

 秋原環。肩上で切りそろえた暗い緑色の髪に橙色の瞳を持つ女子生徒でデュナミスは『満月の5』の電気を操ることだった。秋原環の前に白い台の上に乗った白熱電球と蛍光灯が現れた。

「それを片方ずつ手に取って点けてみろ」

 秋原環は電球と蛍光灯を手に取って口金部分を握り電気を着ける。続いて手を触れずに5本の蛍光灯を点けろと言われたが秋原環が点灯させたのは3本だけだった。

「次、崎守」

 崎守恵。肩下で切りそろえられた栗色の髪に灰色の瞳を持つ女子生徒でデュナミスは『満月の5』の風を操ることだった。衣笠先生は手にA4の紙を3枚持っていた。今からこれを地面に落とすからすべて浮かせていろとの事だった。衣笠先生が紙を地面に落とすと紙は地面に付かず浮いており3枚の紙は衣笠先生の手に戻っていった。次は黒い台の上に約100枚のA4用紙が置かれその束の何枚かは赤、青、黄の紙だった。赤を5枚、青を3枚、黄を1枚手を使わずにそれらを抜き取れとの事で挑戦すると赤は3枚、青は2枚、黄は0枚だった。

「次、柊木」

 柊木昴。明るい茶色の髪に緑色の瞳を持つ男子生徒でデュナミスは『満月の5』の重力操作。柊木昴の前に木製の椅子が置かれるとそれを浮かせろとの事だった。柊木昴はその椅子を浮かせる。次に1つ約10キロの土のうが3袋目の前に現れるとそれを浮かせろとの事だったが完全に浮いたのは1袋で残りの2袋は床からわずか数センチだけ浮いただけだった。

「次、時宗」

 時宗円。腰まである灰色の髪に赤い瞳を持つ女子生徒でデュナミスは『満月の5』の物質創造。衣笠先生から授業で使う学習ノートを10冊作れとの事で時宗円は体育着の左袖を大きく捲ると露出された腕から色とりどりの表紙の学習ノートが10冊出てきて床に落ちるが落ちる前に崎守恵が風で浮かし手に持った。続いて言われたのはバスケットボール、バレーボール、野球ボール、ピンポン球だった。時宗円は言われたものを出していくが完全に出来たのはピンポン球と野球ボールだけでバレーボールとバスケットボールは完成してすぐに穴が開き壊れてしまった。

「最後。西島」

 西島湊。黒髪に黒色の瞳を持つ男子生徒でデュナミスは中学校最高レベルの『半月の1』の影創作だった。

「……西島。一昨日の校内一斉検査サボったのか?」

「サボってませんよ。事実です」

「そうか……なら柊木と同様に物を持ち上げてみるか」

 衣笠先生は電子パッドを操作していくと西島湊の前に背丈よりも大きな白い岩が1つ現れた。

「……昴は土のうでした」

「他の奴とまったく同じじゃつまらないだろ。やるぞ」

「岩……はい」

 西島湊は両手を前に出した。西島湊が岩を睨むと岩は浮いていく。岩の下には影で出来た両手が見えていた。岩はぐらつきながらも約10cm浮いたがフッと影が消えて岩は地面に叩きつけられたと思いきや砂のようにバラけて消えた。

「手首が折れる……」

「持ち上げ時間7分……次は切るぞ」

 衣笠先生が電子パッドを操作すると大きな流木が折り重なっている物が現れた。

「それを全て細かく切れ。ただし、周りに一切の破片、粉塵を撒き散らすな。わかったな?」

「はい」

 湊は流木の下から影を出して影の形をナイフにすると流木を細く輪切りに切っていく。切ったものを持上げて作業の妨げにならない場所に置いていく。順調に切っていくが4本目の流木に刃を当てた瞬間、影が消えると西島湊は崩れ座り肩で息をする。

「はぁ。はぁ……」

「西島ご苦労。早速だが評価をしていく。まず始めに結論から言うぞ。6人とも始めで力を使いすぎだ。だから次課題で力不足になる。そんなんじゃ『5』から『1』に進むことは出来ないぞ」

「……オレたちは上がれないからここに入らされたんじゃないんですか?」

 成宮颯が言った。

「『G組生が上がれない』なんて馬鹿げた噂はとっとと記憶から消せ。上がれないのは己の力不足と這い上がろうとする努力不足と『G組=落ちこぼれ』なんていう固定概念があるからだ。……G組は確かにデュナミスが劣る生徒が集められそれに振り分けられた教師もやる気を出さないのは教師側の隠れた汚点だ。だがこれからはお前たちが這い上がろうとするならおれはお前たちの担任として精一杯背中を押してやる。わかったか」

 衣笠先生が言うと6人は力強く頷いた。

「よし、今日はここまで。教室戻って明日からの日程を話すぞ。明日から本格始動だからな。気合い入れていけよ」

 体育着から制服に着替え教室に向かい明日からの連絡事項を聞いた。明日の1時限目から4時限目までは通常教養の授業。そのあと昼食を取って午後のシールド学に入るらしい。ただしG組の昼食時は学食の利用禁止、売店の利用禁止となっており寮で各自作って持参となっていた。そして生活をする寮の説明を受けた。学園内にある5階建て30棟あるマンション群や3件のシェアハウスの中から希望制で住むこと。マンション全部屋の短い廊下に2口のコンロ付きのキッチン、冷蔵庫、電子レンジ、オーブントースター、洗濯機、風呂、トイレ別でワンルームには毛布付きのベッド、学習机、椅子、本棚、クローゼット、冷暖房があるいわゆるマンスリーマンションで高校生には贅沢すぎる部屋で自宅から持ってくるのは勉強道具、服、最低限な趣味の物、ノートパソコンのみである。一方でシェアハウスはガスコンロは3口、風呂、トイレ別は当たり前だが部屋は本当に勉強と寝るだけの部屋と割りきられており狭いものだった。全員マンション住まいかと思いきや全員がシェアハウス希望だった。HRが終わり事前に知らされていたシェアハウスに向かう。シェアハウスがある場所はマンション群から離れた場所に6棟建っていた。平屋が1軒、2階建てが3軒、3階建てが2軒それぞれに庭が付いており男女別の完全独立型のサンルームが2棟付いていた。シェアハウスの最大人数は10人までだった。

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