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ポナの季節  作者: 大橋むつお
83/92

83『予感していたわけじゃない』 


ポナの季節・83

『予感していたわけじゃない』       





 予感していたわけじゃない。


 ただ一日だけ休んでエンジンを休めたかった。

 エンジンと言っても自動車ではない。ポナの頭であり、心でもあり、体でもあるが、ひっくくって言えばエンジンになる。

 とにかく、ほんの一日クールダウンしてみたかった。



 それが、アゴダ劇場から帰って家の玄関ドアがグニャリとゆがんだかと思うと意識が無くなった。

 ぼんやり意識がもどると、お母さんに裸にされていた。赤ちゃんの頃の記憶がもどってきたような気がした。



――……そうだ、こんなふうに体拭いてもらってたなあ――

――やっぱり救急車よんだほうがよくない?――

――ただの立ちくらみだって――



 そうして、また意識が無くなった。


 夢の中にポチが現れ、ポナのホッペを舐める。


――ありがとうポチ、心配してくれてるんだよね……フフ、くすぐったいよ――

 ポチはパジャマの隙間からもぐりこんできた。

――ポチ……ちょっと、どこ舐めてんのよ、ちょ、ちょっと……あ、あれ……――

 ポチが舐めたところから幽体離脱のように半透明のポナが抜け出していく。完全に抜けきると、半透明はポナから離れプワプワと浮き始めた。

――ワン!――

 一声吠えると、ポチは半透明に食いついて、あっという間に食べつくしてしまった。

――そんなの食べたらお腹こわしちゃうよ――

――……ゲフ!――

 ゲップをすると、その勢いでポチはロケットのように吹き飛んでいった。

――ポチ……――

 ポチの行方を見ているうちに、ポナはまた眠りに落ちた。


「ポナ、起きていいの?」



 朝食の片づけをしながらお母さんが訊ねた。

「うん、一晩よく寝たから。さあ、久々の休みだ、くつろぐぞー!」

「くつろぐのはいいけど、ポナ二晩寝てたのよ」

「うそ……」

「ほら、新聞」

「え、十九日!?」

 びっくりしたポナは、パジャマのボタンを外しながら自分の部屋へ。

「あれだけ熱出たんだから、お医者さんに行かなきゃ」

「大丈夫、治ったから……おっと、シャワ-だけしとこ」

 歯を磨きながらシャワー浴びて、制服に着替え、いぶかるお母さんをしり目にオレンジジュースだけ飲んで家を出た。

「一日休みをとって正解だったな」

 ポナは子どものようにスキップした。見上げた空に消えかけている飛行機雲が、あの半透明のように見えた。


 今日は、夏をSEN48のメンバーに紹介する日なんだ。新鮮な予感のする朝だった。

 


☆ 主な登場人物


父     寺沢達孝(60歳)   定年間近の高校教師

母     寺沢豊子(50歳)   父の元教え子。五人の子どもを育てた、しっかり母さん

長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉

次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員、その後乃木坂の講師、現在行方不明

長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官

次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ

三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )

ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。


高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)

支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子

橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長

浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊

吉岡先生  美術の常勤講師、演劇部をしたくて仕方がない。

佐伯美智  父の演劇部の部長

蟹江大輔  ポナを好きな修学院高校の生徒

谷口真奈美 ポナの実の母

平沢夏   未知数の中学二年生


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