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ポナの季節  作者: 大橋むつお
77/92

77『ライブの途中海辺にて』


ポナの季節・77

『ライブの途中海辺にて』         





 内陸のA町での慰問ライブが終わるとクタクタだった。


 午後からはS市でのライブが待っているので、ポナたちSEN48のメンバーは、走るマイクロバスの中、思い思いに休息をとっていた。



 ポナは眠ってしまうとテンションが下がってしまうので、なんとか眠らないようにブログに寄せられたコメントを読み、そのいくつかに返事を打っていた。

「まめねえ、ポナ」

「起きてたんだ、安祐美」

「いま目が覚めたとこ……あ、もう海沿いを走ってる」

「ほんとだ、なんだか時間がとんだみたいな……」

「ハハ、ポナ起きてたんでしょ」

「ずっとコメント読んでたから…………きれい……この海が津波になったなんて信じられない……ねえ、安祐美……あら、もう寝てる」


                  


 そのときスマホが振動した。

「え…………」

 スマホの画面には目の前と同じ海岸の景色が写っていて、それがまばたきをするたびに大きくなってポナの視界いっぱいに広がって目の前の景色と重なって、二十秒もすると車窓から見える景色と区別がつかなくなってきた。


「え、なにこれ……」



 瞬間目をつぶる、ごく間近で波音がした。


「え、いつの間に着替えたの?」


 砂浜に立つSEN48のメンバーは水着姿になってポナを見ている。

「なに言ってんの、ポナだって水着じゃん」

「手にビーチボール持ってるくせに」

「え……ほんと」

「いくよ、渚まで駆けっこ!」

「あ、待って!」


 それからポナたちはスタッフもいっしょに浅瀬で泳いだりビーチボールで遊んだりした。


「もうちょっと沖まで泳いでみたいな」

「そうだね、沖の方までクリアーだもんね」

「ポナ、ダメかな?」

「あたしに聞かれても……」


「大丈夫ですよ、岬のとこまでは背が立ちますから!」


 クラブ帰りだろう、女子高生が道路の方から明るくアドバイスしてくれた。仲間が四五人いるようで、みんなお日様の子供のようにニコニコしている。

「ありがとう。じゃ、みんな、あの岬まで行くよ!」

「オーシ!」

 ポナを先頭にみんなで岬まで泳いだ。


「ああ、爽快だ!」


 叫んだときはマイクロバスの中にいた。

「騒がしいなあ、ポナは」

 となりの由紀が不服そうに言う。

「え、いま岬まで……みんないっしょに泳いで……」

「アハハ、ポナ寝ぼけてる」

「あそこでスイカ売ってるから、車とめて井上さんが買いにいってる」



 首を捻ると、道路を挟んで直売店があり、アシスタントの井上さんが戻ってくるところだった。



「キャー、スイカ、スイカ!」

「うーん、たまらん!」

「ホッペが落ちる!」

「体重増える!」

 スイカを食べながら海の方を見ると『遊泳禁止』の札が立っている。

「あれえ……でもさ……」

 振り返って気がついた。さっきまでクタクタだったみんなが元気になっている。

「じゃ、午後のライブに出発しまーす」

「オー!」

 井上さんの張りきった声に、みんなが答えた。


 それから四時間……


 S市のライブが終わって同じ道をもどった、あの海辺を通過、スイカの直売店は影も形もなかった。


 グーグルマップで確認すると、周辺には高校や中学も存在しなかった。

 



ポナと周辺の人々


父     寺沢達孝(60歳)   定年間近の高校教師

母     寺沢豊子(50歳)   父の元教え子。五人の子どもを育てた、しっかり母さん

長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉

次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員、その後乃木坂の講師、現在行方不明

長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官

次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ

三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )

ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。


高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)

支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子

橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長

浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊

吉岡先生  美術の常勤講師、演劇部をしたくて仕方がない。

佐伯美智  父の演劇部の部長

蟹江大輔  ポナを好きな修学院高校の生徒

谷口真奈美 ポナの実の母

平沢夏   未知数の中学二年生


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