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ポナの季節  作者: 大橋むつお
69/92

69『ゴースト安祐美 再びの青春』 


ポナの季節・69

『ゴースト安祐美 再びの青春』        






 クローゼットを開けて、また迷ってしまった。


 なにを着ようではなく、なにがどこにあるのかが呑み込めていない。


 それで迷ってしまう。



 この家に来て四日目、人の記憶や記録にあるものは書き換えたけど、新しい両親の心に食い込むためには里依紗への愛情を借りなければならない。

 そのためには、なるべく里依紗が身に着けていた服や持ち物を使う必要がある。

 この四日間、金曜の夜(M企画でT自動車のCM出演が決まった日)からは夕食のあとSEN48の慰問ライブがあるので家を空けていた。

 夕べ帰宅して不用意に風呂に入った。あがると母が用意しておいてくれた下着とパジャマに着替えた。

 着替えたものは、当たり前のように母親が洗濯。

「安祐美、下着と靴下むこうで買ったの?」

「え……ああ、ライブのスケジュールで家に帰れなかったから」

「そう……でも、ちょっと趣味が今までと……」

「あ、うん。旅先だから適当なので間に合わせたから」


 記憶は書き換えてあるのだが、母親にはわずかに里依紗の記憶が残っているようで、おかしいと感じてしまうのだ。


 バグになる前になんとかしなきゃ。で、安祐美は朝からクローゼットの中をまさぐっている。

「これか、夏物は……里依紗って、隠れキャピ子だったんだな」

 やっと入れ替えを終わって、安祐美は詰めの甘さを実感した。

「安祐美、今日は法事なんだから制服でいいのよ」

 階下から母の声。

「分かってる。すぐ行く!」

 制服を着て玄関へ、父はすでに車に乗って車内の冷房にかかっていた。

「里依紗、そこの粗供養持って」

「里依紗って、だれ?」

「え……」


 母は瞬間フリーズ、安祐美はあぶないところで開き直ってかわした。


「いやあ、安祐美ちゃん、福島の慰問ライブ上出来ね!」

「今度はT自動車のCMやるんだって。もうアイドルだな」

 法事のお寺に入るなり叔母さん伯父さんに期待のまなざしで言われた。親類の喪服の面々が暖かい表情で安祐美を見る。

「いやあ、そんなに……期待してください(n*´ω`*n)」


 アハハハ



 法事の場は和み、母も穏やかに笑っている。この調子だと、安祐美は思った。


 正面には祖父の写真が置いてある、先日話したばかりの老人のそれが。


――ありがとう、安祐美さん。息子夫婦は里依紗に死なれて一年半になるのに悲しみは増すばかり、未だに里依紗の部屋もそのまま、このままでは夫婦そろって病気になるところだった。どうやら安祐美さんを娘と思って生きていってくれそうだ。このあともよろしく――

――里依紗さんにはすまないと思ってます――

 祖父の後ろから里依紗が出てきた。

――ううん、いいの。このままじゃお父さんもお母さんも一年ともたなかったわ。あたしは安祐美さんみたいに幽霊しながら実体化するなんてわけにはいかないから、安祐美さんには感謝してます――

――里依紗さん、寂しくない、あたしが入れ替わったりして?――

――少しはね。安祐美さんの情熱も羨ましい。でも、いずれ二人がこちらに来たら、また仲良し親子になれるから、それまで二人をよろしく――


 そこまで話したところで、住職がきて法事が始まった。


 そして、ゴースト安祐美、再びの青春が始まった。





ポナの周辺の人たち


父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師

母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん

長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉

次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、一時乃木坂の講師になるが現在は不明。

長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官

次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ

三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )

ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。


高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)

支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子

橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長

浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊

吉岡先生  美術の常勤講師、演劇部をしたくて仕方がない。

佐伯美智  父の演劇部の部長

蟹江大輔  ポナを好きな修学院高校の生徒

谷口真奈美 ポナの実の母


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