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ポナの季節  作者: 大橋むつお
50/92

50『1+1=2』


ポナの季節・50

『1+1=2』     

  


ポナ:みそっかすの英訳 (Person Of No Account )の頭文字をとって新子が自分で付けたあだ名

  





「1+1はいくらだ、みなみ!?」


 みなみは、なんのことか分からかった。



「え、え……」

「もう一遍聞くから、よだれ拭いてから答えろ。1+1はいくらだ、みなみ!?」

 みなみは、ホッペのよだれを拳で拭って、答えた。

「あ、あの……2」

「ハア……1+1の答えは2か!?」

「は、はい……」

「落ち着いて、よーく考えろ。1+1はいくらだ、みなみ!?」

 クラスのみんながクスクス笑いだす。

「え、ええ……じゃ、3?」

「4じゃなかったかな」

「あ、4です」

 クラス中が大爆笑になった。みなみは顔を真っ赤にして俯いた。

「今のが世論操作の実験だ。1+1は2に決まってる。ところが、周りが笑ったりすると自信がなくなって、4なんてとんでもない答えでも、そうかなと思ってしまう。一昔前は拉致事件があるなんて、国民の99%が嘘だと思っていた。拉致被害者の家族は頭がおかしいと思われて、国会議員に陳情にいっても相手にもされなかった」


 社会科の講師らしく、みなみの居眠りをネタに世論操作の実態を体験的に生徒に理解させた。みなみは、シャッキリと目が覚め、みんなの関心は、ポナのチイニイである孝史の「地球温暖化のウソとホント」に移っていた。


「夕べ、夜更かしでもしてたのか、みなみ?」

 帰りの正門で一緒になったので、乃木坂を下りながら孝史は聞いてみた。

「あ、あしたヘブンリーアーティストの審査受けるんです」

「ああ、ポナもそんなこと言ってたな。練習のしすぎか?」

「いいえ、単に緊張して眠れなかっただけです」

「それは、想像力が豊かな証拠だ。ポナなんか爆睡だもんな。でも学校じゃ居眠り。あいつのは、単に授業に興味がないだけだけどな」

「そうなんですか……」

 安祐美が夢の中で特訓していることは想像がついたが、人には言えない。

「なんか、屈託ありげだな?」


 自分たちの前後に人が居ないことを確認して、みなみは聞いてみた。


「寺沢先生、ひょっとしたら、今学期限りで辞めるんじゃないんですか?」

 ドキリとしたが、顔に出るほどの駆け出しではない。

「よく分かったな?」

「あ、いえ、なんとなく。授業の熱が違うって感じ……かな」

 みなみは、ポチが亡くなる前に、偶然だが最後のいい写真を撮ってくれて、写メの賞をとっている。特別に勘のいい子なのかもしれない。

「……実は、オレは日本政府の秘密情報員なんだ。で、不定期に表の稼業を変えて人々の目をくらましている」

「アハハ、1+1は3だ!」

「アハハハ」

 駅に着くまで大笑いした。


 木を隠すのは森の中……ちょっと違うかな、と思う孝史であった。


※ ヘブンリーアーティストは、この作品の創作で、実在のヘブンアーティストではありません



ポナの周辺の人たち


父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師

母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん

長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉

次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、乃木坂の講師になる。

長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官

次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ

三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )

ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。


高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)

支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子

橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長

浜崎安祐美 世田谷女学院に住み着いている幽霊

吉岡先生  美術の常勤講師、演劇部をしたくて仕方がない。

佐伯美智  父が顧問をする演劇部の部長

蟹江大輔  ポナに好意を寄せる修学院高校の生徒


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