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ポナの季節  作者: 大橋むつお
27/92

27『みなみからのビックリメール!』


ポナの季節・27

『みなみからのビックリメール!』   




ポナ:みそっかすの英訳 (Person Of No Account )の頭文字をとった新子が自分で付けたあだ名




――ポチとポナの写真が最優秀になったよ!――


 ポナの親友、乃木坂学院の高畑みなみのメールだった。


 ポナがボールを投げ、ポチが元気よく体を捻ってボールを追いかける瞬間を少し俯瞰のアングルで撮った写真が添付されていた。


 ポナは複雑な思いだった……たぶんポチと最後にボール遊びをした時のものだ。


 どうして、みなみがこんな写真を撮れたんだろう……懐かしさというのにはあまりにも近い思い出、みなみに知らせなかった悔い。


 暖かさと苦しさが一度に胸にせきあげてきた……。


「なんで言ってくれなかったのよ!?」

 あくる日の放課後、みなみに呼び出された。のっけから容赦がない。

「忘れてた……」

「忘れてたあ!?」

「……わけじゃないんだ。ウイークデイだったし、みなみには気持ちの整理がついてから話そうと思ってた。ごめん」

「気持ちは分かるけど、でもね……」

「あの写メ、ポチと最後にボール遊びしたときの……良く撮れてた、ありがとう」

「最後の……こっち来て」


 みなみは、ポナを仏間に連れて行った。みなみの家は東京では珍しい戦前からの旧家。むろん今風に改装はしてあるけど、基本は昔のままだ。

 仏壇にポチの写メをプリントしたのを飾って、みなみはお線香を焚いた。手を合わせたあと暫く無言になった。


「あの日、久々にお父さんの仕事に付いて車で大川の堤防道を走ってたの。そしたら河川敷でポナとポチが遊んでるのが目に入って、後ろがつかえてたから停められなかったけど、かわりに写メ撮った。それが、これ……なにか神様か仏様が作ってくれたチャンスだったんだよね」

「ありがとう、みなみ。ポチの最後の写真が、こんなにすばらしいものになって、本当に嬉しい……これ、ポチの遺骨で作ったの」


 ポナは、首からペンダントを外してみなみに見せた。


「へー、こんなことができるんだね……ポチの毛に似た色だね」

「うん……毛の色にも似てるけど、ポチの瞳の色と同じ。偶然こんな色になったんだって」

「不思議だね……」

「もう犬は飼わない。ポチは血のつながりはないけど双子の姉弟みたいなもんだったから」

「ハハ、気持ちは分かるけど、血のつながりって言葉が出てくるところが、ポナらしいね」

「あのね……」


 ポナは、もう一つの血縁関係の話をした。


 ポチのことで、気持ちに整理がついていたはずだったが、みなみに話すと改めて涙が溢れてきた。

「そんな……」

 絶句したあとで、みなみはポナを思い切りハグしてくれた。


 今の家族に不満なんかない、ミソッカスも幸せの表現だ。


 我が家、我が家族が一番に決まっている。だけど乗り越えるのには、もう少し時間がかかる。なにかが足りないと思うポナだった。

 



ポナの周辺の人たち


父     寺沢達孝(59歳)   定年間近の高校教師

母     寺沢豊子(49歳)   父の元教え子。五人の子どもを、しっかり育てた、しっかり母さん

長男    寺沢達幸(30歳)   海上自衛隊 一等海尉

次男    寺沢孝史(28歳)   元警察官、今は胡散臭い商社員だったが、乃木坂の講師になる。

長女    寺沢優奈(26歳)   横浜中央署の女性警官

次女    寺沢優里(19歳)   城南大学社会学部二年生。身長・3サイズがポナといっしょ

三女    寺沢新子(15歳)   世田谷女学院一年生。一人歳の離れたミソッカス。自称ポナ(Person Of No Account )

ポチ    寺沢家の飼い犬、ポナと同い年。死んでペンダントになった。


高畑みなみ ポナの小学校からの親友(乃木坂学院高校)

支倉奈菜  ポナが世田谷女学院に入ってからの友だち。良くも悪くも一人っ子

橋本由紀  ポナのクラスメート、元気な生徒会副会長


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