1/45
序章～六野家の伝承
ほっこり、ほのぼの系ラブコメ恋愛ファンタジーです。
ヒロインが少し変わっていますが、楽しんでいただければ幸いです。
こちらは完結作での公開となります。
草木も眠る丑三つ時、男はふと目を覚ました。
月明かりが差し込み、遠慮がちに顔を照らしている。
男は傍らに眠る女を見やった。背中を向けて寝入っている。結い上げられた髷の下に見えるのは、白く艶やかな首。はだけた着物からは、息と共に華奢な肩が見え隠れしている。月明かりに照らされ、なまめかしく男を誘う。
堪らずそっと手を伸ばした時だった。
かすかな音を立てながら、女の首がしゅるしゅると伸び始めたではないか。白い首は伸び続け、顔が行灯 まで行き着くと、美しい顔立ちが灯りによって照らされる。
おぼろげな月明かりに映し出されるのは、長く伸びた女の白い首と美しく妖艶な顔。
信じられない光景に呆けていた男は、やっと言葉を口にした。
「なんと、美しい……」
こちらは序章となります。
次話より主人公が登場します。
