回り始めた運命の歯車 3
今日は入学式ということもあり、午前中オリエンテーションだけで授業が終わり、放課後になった。
はぁ、行かないといけないか
「わるい、急用だ。帰ったら話す。」
アマノは流牙にそう言って教室を出た。
尾行されているな。めんどくさい、こんなわけのわからん奴ほっとけよな。
アマノを1組にいる日本では零ノ夜に次ぐ主教団体、アマテラスオオミカミを主神とする天の陽照の当主の取り巻きに尾行されていた。さすがは当家のそばにいるだけに尾行の技術は高かった。アマノは一度学校からで、住宅街で巻くように歩いた。そして学校に戻り、誰にも会わないように京谷の待つ第一呪術室に向かった。
「遅いぞ。黒翼宗は礼儀もなってないのか。」
教室に入ると京谷が文句を言ってきた。
「申し訳ございません。零ノ夜の当家の方を待たせるような無礼お許しください。」
アマノは録音や監視を警戒して一応へりくだっておく。ここで零ノ夜に歯向かったらまずいことが起きる学校であるということは、オリエンテーションでの担任の態度や入学式での教員の態度で分かった。
「警戒するな、何もない部屋に呼び出している。」
京谷がそういう。しかし、アマノは京谷が嘘を言っている可能性も考え、演技を続ける。
「警戒なんてしていませんよ。そして、京谷様がわたくしに何か御用でしょうか。」
「もういい。場所を変えよう。どこがいい? いや、場所を変えるのはばれるな、ちょっと待て。」
京谷はそういうと紙を取り出し、何かを書き始めた。数分後、京谷は書き終わった紙をアマノに渡して教室を出ていった。
アマノは家に帰り、京谷に渡された紙を読んだ。内容はこうだ。
このまま、剣術ではなく呪術専門として学校に通い実力を見せないほうがいい。実力を見せると零ノ夜や陽照などに目を付けられる。受験のときに剣術を使用したことは僕の方で対処して、剣術専門ということはばれないようにする。あと、僕は当家だけど実家では邪魔者扱いされている存在だから普通に話してくれていい。
「はぁ。なんんだよこいつは。」
京谷のいっていることは本当なのか、陽照に尾行されたことを考えると信憑性は高い。しかし、なぜ京谷はそのことを俺に教えたのか。
アマノが悩んでいると、流牙が部屋に入ってきた。
「で?帰ってきた早々部屋にこもってましたけど、急用って何だったの。」
「晩御飯の時間だろ、その時話す。」
二人は下の階のリビングに向かった。アマノ達はアマノ、流牙、黒翼宗主神のサタン、神アルテミスの4人で今は暮らしている。家事全般は黒翼宗の部下が行っている。黒翼宗の本部の建物はこの家から1㎞先にある。
アマノは今日起きたことを食事をしながら話した。
「いま、零ノ夜は大幅に支配下の宗教団体増やしてるし、何か大規模な実験をしてるって噂もあるもんね」
緑色の髪のポニーテールのアルテミスが言ってきた。
「まあ、アマノの好きなようにするがいいさ。ここの当主だからな。」
黒髪のサタンも口をはさんでくる。
「それもそうだな。」
アマノは食事をしながら明日京谷と話そうと決めるのだった。