回り始めた運命の歯車 2
「やるぞ 不正君。 早く構えな」
そう言いながら彼は魔法陣を手に浮かばせ、手にサポーターを付けた。魔力を流すことで身体強化ができる魔具だ、おそらく彼は武術派なのだろう。
まったく、めんどくさい
アマノは得物である剣は出さない。呪符を右手に取り出し、呪術派であると偽装する。その瞬間、彼はこちらに走ってきた。アマノは机を彼に向って蹴り飛ばしながら、呪符に魔力を流した。彼は机を殴り飛ばしたが、一瞬視界がふさがったすきにアマノは術を発動した。彼に向って雷が走り、彼は教室の壁まで吹き飛んだ。アマノはその方向に向かって跳んだ。
「いってぇ」
彼がうめきながら起き上がってくる。アマノは左手で呪符を彼の目の前に出し、もう一度、雷をとばす。彼は雷を至近距離で直撃し、気を失った。周りはアマノが圧勝したことに驚きを隠せていない、ただ一人を除いては。
「さすが、一般入試主席。やるね」
嫌みのように京谷が言ってくる。京谷は不敵な笑みを浮かべながらこちらに歩いてくる。
「いえいえ、零宮様にはかないませんよ」
「へぇ。なら、僕とも手合わせする?」
京谷は歩きながら右手で呪術を組んでいる。そのことに気づいているのはアマノと流牙、閃奈、日ノ夏だけだろう。
アマノは呪符をばれないよう投げる準備をした。
京谷が右手をこちらに構え魔方陣を展開し、術を発動する。アマノは呪符に魔力を流し、京谷に向かって投げる。
京谷が炎の玉をこちらに飛ばしてくると同時にアマノが投げた呪符は燃えて消え、結界を張った。
「やるじゃん」
京谷はそう言いながら後ろに跳び、体制を立て直す。アマノは近くの空いている窓から外に飛び出る。
「こっちにこい」
アマノは叫びながら5枚呪符を構える。
京谷は笑みを浮かべながらこちらに窓からこちらに跳んだ。
教室は3階、そこから降りる衝撃に耐えるため、全身に呪詛を流す。地面についた瞬間グラウンドの中心に向かって跳躍する。京谷もそれを追う。
アマノは呪符を投げ、京谷に当たらないように発動させた。爆発が起き、グラウンドは土煙で包まれた。
京谷が土煙の中からアマノの前にあられ、殴りかかってくる。アマノはそれを受け流しながら倒れこむ。
土煙のせいで教室からはアマノが京谷に負けたように見える体制をとる。
「どういうつもりだ。得物も使わないうえに僕に負けたふりをするとは」
「得物を使ってないとはどう言うことでしょう?私のことを買いかぶりすぎでは。」
「なんだよそれ。まぁいいや、放課後話があるHR終わったら誰にもばれずに第1呪術室来い。」
そう言いながら京谷は校舎に歩いて行った。