言って後悔するより言わないで後悔するの方がショックが大きい
ちょい長いかもです。
幼稚園の頃。
僕は1人の女の子が好きだった。
その子は短髪でいつもドロドロ。男みたいな女の子だった。
その子に僕は告白した。
「ねえ、ちひろちゃん。おおきくなったら僕とけっこんして?」
「いいよ。あきらくん。約束だよ!」
この後、指切りをしたのを微かに覚えている。
小学校。
千尋は髪を高い位置で2つに結んでいた。
幼稚園の頃より、もっと好きになった。学年が上がるにつれ、千尋はどんどん女らしくなっていった。卒業式の日。僕は千尋に約束のことを聞いた。
「あの約束、覚えてる?」
「あの約束って?」
「幼稚園の時の」
「ああ、うん。覚えてる。指切りしたもん!」
千尋は笑顔で答えてくれた。
でも、この後付き合い出したわけじゃない。
中学校。
千尋は腰まであるような黒髪のロングだった。
頭がよく、男女ともに人気も高かった。3年の時、千尋は生徒会長になった。
僕は
「今の僕では不釣り合いだ」と思ったのか、卒業式の日に告白もせず、約束のことも聞かなかった。
高校。
千尋は髪を明るい茶色に染めた。
その髪色と同じように千尋も明るかった。
部活のテニスではシングルスで全国大会に出場した。
生徒会選挙では2/3以上の票を獲得し、また生徒会長になった。
僕はまた、告白できなかった。
大学。
千尋はミスキャンパスに選ばれた。在学中に司法書士の試験に合格するという快挙も成し遂げた。
国際弁護士になるのが夢だと、千尋が友達と話しているのを盗み聞きした。
そして僕は、とうとう千尋に好きだと伝えることができなかった。
大学を卒業し僕はサラリーマンに、千尋は弁護士事務所に入った。
差は開くばかりだった。
「もう約束なんか覚えてないだろう」
僕は千尋への長い片思いに、そろそろ終止符を打とうとしていた。程なくして強制的に終止符を打たされる出来事が起きた。
千尋が結婚した。
相手は同じ弁護士事務所の人らしい。
「あぁ……やっぱり、覚えてなかったか……」
わかりきっていたことなのに、僕の心にはポッカリと大きな穴が空いたみたいだった。
それからの僕は、すごかった。
上司が心配するほど、仕事づくしの毎日をおくった。
そして僕は30歳になった。
周りからそろそろ結婚しろと言われ始める。そのことに嫌気がさし、僕はストレス解消に高校の同窓会に出ることにした。
12年ぶりに会うと、さすがに皆変わっていた。
その中に、千尋がいた。
長い黒髪をポニーテールにまとめている。黒縁の眼鏡が、千尋の印象を【マジメ】にしていた。
「千尋……だよな?」
僕は勇気を出して話かけてみる。
「もしかして、彰くん?うそ!彰くんだよね?久しぶり!」
覚えていてくれた。この事だけで、僕の心は幸せで満たされていく。
「彰くん、覚えてるかな?覚えてないよねーさすがに。幼稚園の時にした約束」
「え……覚えて、たの?」
うそだろ、という気持ちだった。
「覚えてたんだ!じゃあ何で告白してくれなかったのよ!私、待ってたのに」
「待っ……てた?」
「そう!私待ってたのよ!だから、ずっと彼氏も作らなかったのに……」
信じられなかった。これは夢か?と思ってしまうほどだった。
「ずっと彰くんのこと、好きだったんだよ?でも告白してくれないから……結婚しちゃったじゃん」
僕が告白していれば、千尋は今ごろ僕と付き合っていたのだろうか。僕と結婚していたのだろうか。
僕はこの時ほど人生で後悔したことはない。
未熟で文章ぐちゃぐちゃですが読んで頂きありがとうございます。