9.探索
「高いところから見渡した時に森の一角に変に目立つものがあると思ったら...」
俺は思わず見上げた。俺の思ってた洞窟と違う。入口がやたらと縦長いんだか。
洞窟の回りを一通り調べたが特にあやしいものなどは無かった。
「取り敢えず中に入ってみるか。」
どうせ明日のゲーム再開までする事はない。食料はさっきの蒼のリンゴが10個ほどリュックに詰めておいたので心配はない。少食がこんなところで役立つとは。
入口が大きいせいなのか奥に行っても目を凝らせばギリギリ見えるくらいの明るさだ。一応迷わないように左伝いで進んでいく。
15分ほど歩いたのだろうか。奥にほのかな光があった。
「なんだあれ?」
「アニメとかだと洞窟の光は青いイメージがあるんだが。」
「ここになぜ燭台があるんだ?」
光は青ではなく暖かなオレンジ色だった。
にしてもおかしくないかなんでこんな洞窟のなかに燭台が?まるで誰かがここに置いたみたいだぞ。
燭台は木でできたおしゃれなテーブルにクロスをしたに引いて置いてあった。
「燃えたりしないのか?」
一抹の不安が頭をよぎったがそんな心配は要らなかったようだ。クロスが可燃性ではなかった、ではなく火の方が偽物だった。だからこんな色がちゃちぃんだな。
【ちゃちぃとは失礼な!】
...
なにか声が聞こえた気がしたが気のせいだろい。だって俺以外ここには人一人いないからな。
【謝りなさい!】
...
さてここにはもうなにもないようだしこれ以上いる必要はないな。出るとするか
そう出口に踵を返した時だった。
【謝るまで帰さないからね!】
そんな幻聴とともに出口が大きな音ともに瓦礫で埋もれてしまった。
さすがにはびびった。こういう時ってむりに瓦礫を退かしたらダメなんだっけ?
やけに冷静だった。ミカンと一戦交えたからだろうか?状況判断力が上がっている気がする。気がする。
どうやってここから脱出しようか悩んでいると
【私のお話しを来てくれたらここから出してあげないこともないよ】
はぁ。正直こいつとまともに喋りたくなかった。何事も無かったかのように去りたかった。
「本当ですか?」
【勿論さ。ささ、私にふれなさないな】
燭台のことだろうか?この場には燭台以外ものはないのでこれでいいはず。
ゆっくりうでを上げて燭台に触れる。
【そ、そこじゃない!もうちょっと下よ!】
なにかまずいことしたか?まぁここで逆らっても時間の無駄なので素直に少しずつ腕を下げていく。
【ストップ!そこで待ってて!】
なんだと思ったところで意識がどこかへ飛んでしまった。