日常編 バレンタインデー
基本的には何でもありな世界です。本編とは設定としては切り離して読んでもらえると嬉しいです。
このお話は2月14日のお話です。
それではどうぞ。
「いらっしゃーい!奏人ー。こっちこっちー。こっちだよー」
手を挙げて大きく左右に振る彼女はノナさんだ。可愛いなぁ。
「来ちゃいました。えへへ」
いかん。つい顔に出てしまった。しまったと思いピーンと背筋を伸ばす。キモいとか思われなかったかな?
「ぷっ。奏人変なのー。ははは」
よかった。最悪なことは起きなかったようだ。もしノナさんからキモい何て言われたら三日と言わず3ヶ月は落ち込む自信がある。
今日はある作戦を実行しなければいけないんだ。今日はなんの日かご存じか?
あるものにとっては天国、あるものにとっては地獄と呼ばれる世の中のリア充が活性化する日だ。そう、バレンタインデーだ。
俺にとってのバレンタインデーはチョコをもら...っているやつを尻目に、「そんなものなくてもいいさ」と強がる日だ。
モテないからな。仕方がない。
義理チョコを配っている女子に貰ったときは、「すまん。俺、チョコ苦手なんだ」といって返してしまった。
帰ってから後悔しするのも一興だ。
今日はノナさんにどうにかチョコを貰うために三日寝ずに考えた作戦を実行するときだ。
何故か謎の使命感がある。
自然にだ。自然だ。
「ノナさん今日ってなんの日か知っていますか??」
しまった!テンパって直接聞いてしまった!
俺が人生の終わりを感じていると意外な答えが帰ってきた。
「え?なんの日だっけ?」
まさかの知らないのか。これはいける!と悪いことを考えた。
「今日は女子が男子にチョコをあげる日なんですよ!」
またしてもやらかしてしまった。これじゃ俺が欲しがっている見たいじゃ...
「へー。そーなんだ、知らなかったよ。じゃあ奏人にプレゼントしようかな?」
「え?」
「ん?どうしたの?もしかして、いらなかった?」
「いえいえ!ほしいです!めっちゃほしいです!」
「そっか、よかった。じゃあ、作ってくるね。」
彼女がそういうといきなり、何もないところにキッチンが出てきた。
結果オーライか?と安堵のため息がでる。よかった。
てくてくと、歩いていく姿がまた可愛らしい。そんな思いが声に漏れてしまった。
「好きだなー...」
「奏人何かいった?」
「いえ!なにも!」
慌てて誤魔化す。
「そう。じゃあ、少し待っていてね?」
彼女はそう言ったあとにキッチンに体を向けたが、こちらにもう一回向き直った。彼女は胸の前で指で小さくバッテンを作る。
「大人しくするんだよ?」
可愛らしく忠告すると、ねっ?と可愛らしい笑顔を俺に向けた後にキッチンに向かった。
俺は後ろに倒れて仰向きになって呟いた。
「反則ですよ...。それは...」
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俺は彼女の作業をぼー、と見て時間を過ごしていた。少し不慣れな手つきを見ていると顔が緩んでしまう。
俺がそれを正すようにほっぺたをぱんぱんと叩いていると彼女が冷蔵庫から取り出したものを見て少し肩を落としていた。そのままそれをもってこちらにやって来た。
「ごめん少し失敗しちゃった。作り直すね」
「いいですよ!作り直さなくても充分美味しいですよ!」
俺はそういうとチョコをひとつとって口に入れる。
「......おいしいですよ!」
俺は続けてくちに入れていく。
「本当?じゃあ私も食べてみようかな?」
俺が食べている姿もみて食べてみると。
「うっ...」
少し渋い顔になってしまう。不味かった。普通に。
だが、奏人は美味しい美味しいと食べ続けている。
俺が彼女を見ると笑顔を浮かべていた。
「ありがとう。奏人」




