22.虚言
一時間の訓練(?)が終わり、俺が目隠しを外すと上から二つの影が降りてきた。
無論、クレオさんとミカンだ。
彼は口を大きく開けながら、彼女は呆れたような顔をこちらに向けてきながら話しかけてきた。
「はっはっは!奏人はやっぱりおもしれぇな!」
「...とことん思惑道りにならんな。」
彼女は深いため息をついていた。
「どういうことですか?思惑通りにならないって?」
まったく意味が分からない。俺がきょとんとしていると彼女は予想外のことを口にした。
「先に謝るがお前には【直感】を発生させる気は無かった。【耐性】という魔法を覚えさせる予定だったんだが。」
「まさかあんなトリッキーな作戦でクレオの思惑をぶち壊すとはな!はっはっは!お前が避けた時のクレオが驚いた顔を見せてやりたかったぜ」
彼は何かを思い出したかのように笑いの種を再発火させた。
俺は彼女に何故先に【耐性】を発生させようとしたのか聞いた。彼女は自分の思惑、【耐性】や【ホーミング】などの魔法の詳細を軽く話してくれた
「そうだったんですか」
「そうだ。だからお前には違う魔法を発生させようとしたのが...。こんな結果になった訳だ。」
「なんかすみません」
「いい。謝るのはむしろ私の方だ。嘘をついてお前を騙そうとしていたのからな。」
ずっと笑っていた彼だが、笑いが収まってきたのか会話の輪に入ってきた。
「それにしてもよくあんなこと思い付いたな。あんなこと思い付くか?俺はてっきり、あのまま小石をくらい続けると思ってたぞ。」
「俺、結構こういうの得意な方なんで。部活の時も、状況をひっくり返すために考えることが多かったんで」
10点差で負けている時とかには適当に考えた作戦でもギリギリ行けるんだけど、20や30とか差が開くときちんと考えないと普通に負けるんだよな。
「ともかく結果オーライってことでこの話は終わりましょう」
「お前がそう言ってくれると助かるんだ...がっ!」
彼女は会話の途中でいきなり殴りかかってきた。避けれないと思ったが不思議と身体が勝手に避けていた。
「本当に発生したんだな」
「そうですよ...。だから確かめるためにいきなり来ないでください。心臓バクバクなんですよ。」
「すまんな。代わりといってはなんだが常時発動型の魔法の説明をしてやる。」
彼女はそういうと手短に説明してくれた。
まずひとつはこの型の魔法はオンオフができること。イメージ的には電気のブレーカーを落とす感じだ。
二つ目は魔力の消費は極小だということ。例えば一時間で人の魔力を100とすると0.1だけしか消費しないようだ。
「魔法がひとつあれば無下にはされないだろう。これなら私たちの世界に来ても良さそうだ。後の魔法はあちらで発生させればいい」
それじゃあようやく行けるのか異世界へ。
「なんだ?顔がにやけているぞ?」
「気持ちわりぃな。奏人」
「ひでぇ...」
少し心が抉られたが俺は二人に言う。
「何だか楽しみで。好奇心てのもあるんですけど」
「おいおい目的を忘れたんじゃねぇだろうな?」
まさか。
「わかってますよ。それは言うまでもなくですね...。なんというか言葉に表せないと言うか。」
「とりあえず。ありがとうございます。」
俺がお礼を言うと彼は頷く。彼女は照れを隠すようにわざとらしく咳をこんで、話題を逸らす
「それより今日もう休め、魔力を使ってもいいが節約は大事だ。異世界に行くには明日でいいだろう。」
「そうだな俺も疲れた。」
「お前は何もしていないだろう?むしろ寝てただろう?」
そんな二人をよそに俺は思いに更ける。ところがそこで大事なことを思い出した。
「何で二人は俺を誘拐したんですか?」
イーノック「いちばんいい装備を頼む」




