#53
実はもう一人キャラが居た風に直しました。
修正前と違い、オフェーリアさんが同行してることになってます。
かなり修正入ってます。(大手術
灰白の高層雲から粉雪がちらつき、地表を寒風が撫ぜる。
地表からヒト一人分だけ掘り下げられた、巨人が地面に指でなぞったような歪な線を描く塹壕の中で、男たちが白い吐息を吐き出しなからつるはしを振っていた。
1オクス程先で対峙する敵軍から見えないように、腰を屈めてつるはしを振るう男たちの体からは、薄っすらと湯気すら立ち昇っている。
「おー、天使様の御降臨だ!」
ふと手を止めて、まるで体が発する熱に窒息しそうになって息継ぎでもするかのように空を見上げた一人が破顔したのを皮切りに、芋虫のように這いつくばってつるはしを振っていた男たちが一斉に顔を上げた。
彼らのその視線の先を、細い白線を棚引かせるようにして一機の飛行箒が飛んでゆく。
彼らの頭上を飛び去った飛行箒の後を追うように、遠雷のような轟きが彼らの耳朶を叩いた。
「この音、間違いねぇ。天使様だ!」
おおお、と唸り声のような歓声を挙げて空を眺める男たちの中から、一人、二人と振るっていたつるはしを放り出すものが出始める。
「おい、まだ休憩は先だろ。サボってると軍曹にどやされるぞ」
まだ幼いとすら言える芋顔の二等兵が、塹壕の底に腰を下ろして紙巻に火をつけただらしなく軍服を着崩した素行の悪そうな仲間を睨む。
二等兵はこの地に来てからまだ日が浅いのであろう。軍服の草臥れ具合がまだ無いその二等兵の誠実さからくる非難の視線に、紙巻を吹かし始めたまだ二十歳そこそこに見えるその男は皮肉げに口元を釣り上げる。
「バァカ。オメェも見ただろ。天使様が飛んだら、今日の作業は終わりだ。ココじゃ常識だぜ。さてはオメェ、新入りだな?」
二等兵が周囲を見れば、塹壕を掘っていた仲間たちが次々に地べたへと座り込んで、紙巻きに火をつけたり、懐から朝食のビスケットの残りを取り出して口に放り込んだりと、皆この素行の悪そうな男の様に作業を辞めてしまっていた。挙句の果てには、作業を監督していた軍曹まで、座りこそしないが懐から紙巻を取り出している。
「天使様って、何だそれ?味方の碩術師様が偵察でもしているのか?」
不思議そうに目を瞬かせる芋顔の二等兵に、さっきの素行の悪そうな男が大きく開かれた自らの防寒外套の襟をめくって見せる。
「オメェ、口の利き方にゃ気をつけろよ」
めくられたそこには、上等兵の階級章があった。
「しっ……失礼しました!」
慌てて敬礼した二等兵に、上等兵が笑顔を向ける。
「気にすんな。上等兵も二等兵も、前線じゃ皆おんなじ下っ端だ。どれ、オメェもこっち来て一服つけろよ。新参者のオメェに、『天使様』の有り難さを教えてやる」
そう言って二等兵は懐から麻の小さな紙巻入れを取り出して、中から一本放るのを、二等兵は思わず胸元でキャッチする。
「ほら、来いよ」
自らの紙巻を突き出した上等兵に、二等兵はおずおずと放られた紙巻を口に咥えて、赤熱する紙巻の先端に自らの紙巻を付けて火を貰った。
「げっほげほ!」
「なんだ、煙草吸ったことないのか?お前、歳は?」
噎せた二等兵を微笑ましげに見つめる上等兵の視線に気づくと、二等兵はバツが悪そうにソロリソロリと、改めて紫煙を吸い込んだ。
「えっほ。十五です」
「若ぇなぁ。最近じゃあお前さんみたいな十五かそこらの奴が戦場に来るようになっちまった……ああ、なんの話だったか?そうだ、天使様だ」
苦そうにちびちびと紙巻を吸う二等兵を楽しそうに眺めつつ、上等兵は見せびらかすように盛大に紫煙を吐き出してみせた。
「天使様ってのは、どこの誰かは知らねぇが、定期的にココの空を飛んでくんだ。聞いた話しじゃ味方でも敵でも無いそうだぜ。定期的に戦場の空から写真を撮っては、どこぞの新聞に塹壕情報を載せてるんだと。お陰で天使様が空飛んだ日は、塹壕掘ってる前線は全部休みになる。塹壕掘っても、どうせ数日後にゃ新聞に載るから、急いで塹壕の形を変えなきゃならねぇからな。上の方で塹壕の計画を練り直すんだと」
上等兵の話を聞いた二等兵の顔色が険しくなる。
「スパイって事ですか?そんな奴が、何で天使様なんです?」
「敵にだけ、俺達の塹壕情報を流すならな。天使様はアチラさんの情報もコッチに流してるからスパイとは違うなぁ。それに、天使様がアチラさんと俺たちの塹壕情報を新聞に掲載してる内は、俺たちゃ穴掘ってるだけでいい。敵の塹壕に全身晒して突撃しなくて良いんだ。だから俺たちにとっちゃ天使様なのさ。お上にとっちゃ悪魔だろうがな」
そう言って笑う上等兵に、二等兵は理解できずに困惑するばかりであった。
「それじゃ、勝てないじゃないですか」
二等兵が何を吹きこまれてこの戦場に送り込まれたのかを想像して上等兵は思わず吹き出していた。
「何かおかしいですか」
憮然とする二等兵を、近所の餓鬼をあやす様に上等兵は続けた。
「おかしいねぇ。俺たちゃ一兵卒だ。生きて帰ることを考えにゃ。勝つの負けんの考えんのは大将様の仕事さ。オメェだって、田舎にゃおっかさんが居るだろ。こんなだだっ広い原っぱを銃担いで突撃なんかしてみろ。20ショークも走らねぇ内に味方の半分とはおさらばだ。40ショークも走りゃ、残りも揃ってイタイイタイと呻きながら冷たい地面の泥を舐めてるだろうよ。テメェがそんな様で泣き叫びながら泥にまみれておっ死んだと知ったら、おっかさんは泣くぜ」
上等兵は呪詛のような言葉と共に、大きく紫煙を吐き出して、根本だけになった吸い殻を塹壕の外に放る。
「だが天使様が飛びゃ、今日明日、もしかしたら明後日も、攻勢作戦は全部ナシだ。突撃は、ナシ。って事は、俺たちゃおっ死なずに済む。ってこたぁ、テメェのおっかさんも喜ぶってもんだよ」
「……そーいうモンですかねぇ」
「そーいうモンさ」
どことなく納得していない幼い二等兵を眺めつつ、こいつぁちぃとケツをもってやらんとなぁ、と上等兵は新たな紙巻に火を付けるのであった。
◆
「想像はしていたつもりだったけれど、これは想像以上ね!」
極寒の大気がまるで迫りくる壁のごとく吹き荒ぶ風切り音に負けじと、どこか溌剌と声を張り上げたのは、革製の飛行服に革製の飛行帽を彼ぶり、飛行箒の上でライラのお尻にしがみつくようにして風圧に耐える凡世界救済軍大尉のオフェーリア・ミーシェコーヴァであった。
「大丈夫ですか!?寒くないですか?!」
轟々と耳元で唸る風切り音にかき消されぬように、飛行箒を操作しながらライラが肩越しにオフェーリアを振り返って叫ぶ。
「寒いわ!もう鼻毛も凍ってる!けれど、大丈夫!!」
自身の吐息から出る水蒸気で眉や睫毛を白く染めながら、オフェーリアはどこか楽しそうにそう叫んだ。
「スマンな!其方らの周囲の空気は碩術でかなり温めているのだが、これ以上強くすると飛行に支障が出る!」
まるで毛布に頭を突っ込む猫のように丸くなった革ツナギの飛行服姿のオフェーリアの後ろ、飛行箒の主機上に設置され少し高くなった荷台の上に鎮座する朕を見上げて、彼女は可笑しそうに笑った。
「有難う!賢い黒猫さん!前に他の飛行箒に乗せて貰った時はもっと酷かったから!それに比べたらだいぶ快適よ!!」
そう言って親指を立てた彼女は、将にやる気に満ち溢れていた。
本来ならば凡世界救済軍の本部にて、彼らの人道支援活動を維持するために延々と続く事務仕事を続けているはずのオフェーリアが、ライラが操縦する飛行箒の後ろにしがみついている理由は簡単である。
医者が必要なのだ。
カデン高原の上空3,000ftを飛ぶ朕たちの眼下で繰り広げられる壮絶な塹壕戦は未だ終結の兆しを見せていない。
この塹壕戦によって、幾つかの集落が孤立状態に陥っており、食料の不足や感染症の拡大が危ぶまれていた。
食料に関しては朕たちが運べばよいとして、問題は医療面であった。
ヒトはタダの擦り傷ですら、それが原因の感染症で簡単に命を落とす弱い生き物である。
それがヒトを殺すための兵器を四六時中ぶっ放している戦場であれば尚の事。
塹壕の中の兵士たちの生活環境は想像を絶するほど劣悪であるし、戦場周辺の村落は何かにつけて徴発を受けたり、流れ弾ならまだしも場合によっては暴行を受けることすらあるだろう。
ヒトの命が一番安くなる戦場を経験した者たちの中には、まともな人格を維持するのには到底耐え難い強いストレスを溜め込んで、平常時ならば 考えられない様な蛮行に及ぶ者も珍しくは無い。
例え暴力的な被害を受けなかったとしても、戦争を避けるために避難した先で、普段は接することの無い者たちが接触するだけで感染症を発症してコミュニティが全滅したりもする。
いくら食料を投下してやっても、この戦争をいち早く集結させたとしても、これらのすでに発生してしまった傷病人たちを救うことは決して叶わない。
彼らを救うためには、今どうしても医者が必要なのだった。
朕は医療に関しては空っきしであるし、止血や心臓マッサージくらいなら別として、深い傷や内臓の損傷に対して必要とされる外科的手術に関してはお手上げ。
アリアドネは外傷の縫合など簡単な手術に関しては心得があるようであったが、彼奴を戦場に出向かせるわけにもいかない。それは帝国のバランスを大きく崩す。それはヘーリヴィーネも同様であるから、朕たちだけではこの倒れ逝く者たちを救うことが出来ずにいるのであった。
医療面に関しては朕たちもなんとか出来ないものかと頭を捻っていたのだが、如何せん何処かから医者を調達してくる必要がある。
しかも、危険な戦地に赴くことを厭わない勇敢な医者だ。
そんなおとぎ話の英雄のような者は、それこそおとぎ話の中にしか居ない、と半ば諦めておったのであるが、そんな折に朕たちに声を掛けてきたのが外でもないオフェーリアだった。
彼女は朕たちの助けたあの『名も知らぬ碩術師』、マリアと言うらしいが、彼女の上司に当たる人物であった。
マリアの生存を知らせに行った折――途中で懐かしい空飛ぶ迷惑に絡まれたが――に知り合ったのだが、どうやら彼女は医者であるらしい。
しかも、聞いたところによると天上世界の出身で医学もそこで修めたらしく、天上世界に比べて何かと技術程度が低い地上世界を医療面で支援するため、義侠心のみで凡世界救済軍に身を投じているのだとか。
なんでも、元々凡世界救済軍自体がそういった義侠心に溢れる天上世界人によって救世済民を目的として設立された組織らしく、オフェーリア以外にも天上世界人が結構所属しているとの事だった。
そんな才女が、次の支援物資を受け取りに屯所に顔を出した朕たちに、自身を戦場へと経空輸送で連れて行ってほしいと頼み込んできたのだ。
これまでも支援物資の調達やその届け先の差配など、裏方として八面六臂の働きをしてくれていた彼女だが、どうやら現在主戦場となっているカデン高原に点在する村落から至急医師の派遣を要請されているとの事で、その派遣要員としてオフェーリアは自らが赴く事にした様であった。
しかし、彼女は天上世界人だが碩術は専門外との事。
チャントは疎か、飛行箒すら飛ばすことは出来ない。
自身で飛行箒を操ることが出来ない上、元々凡世界救済軍に所属していた碩術師は既に軒並み行方不明や怪我などで、現在までにオフェーリアを戦場まで運ぶ手段を完全に失っていた。
しかし、戦場へと駆けてくれる医者を探していた朕たちにとっては、渡りに船とは将にこの事である。
朕たちは二つ返事でこの依頼を引き受けて、医師であるのに現場に行けないもどかしさを解消させて元気ハツラツやる気に満ち溢れたオフェーリアを乗せて早速大空へと飛び立ったというわけであった。
『ライラ、オフェーリアが風邪をひかん内に、塹壕の撮影を済ませてしまおう。飛行箒を少し安定させておくれ』
朕のチャントにライラは一つ頷くと、激しく飛行箒を舐る寒風を読みながらなるべく機体を水平に飛行させる。
要救護者が出ているオフェーリアの目的地に行くついでに、カデン高原の今日の塹壕の写真を撮るのだ。
朕たちの撮った塹壕の航空写真は、アリアドネが裏で工作をしてとある新聞に『本日のカデン高原』と言うコラムを作って掲載しているのだが、これのお陰でカデン高原で睨み合う両軍は身動きが取れないで居るらしいから、欠かすわけにも行かない。
定期的に続ければそれだけ兵士たちの被害を減らせるかもしれないからだ。
朕は飛行箒の荷台に取り付けた撮影装置のシャッターを押しては下方の景色を覗き込んで、画角を調整するためにライラに細かい指示を出す。
最近は両軍の塹壕陣地が横に長くなってきて、一枚で全容を収めることができなくなってきている。その内、この高原の端まで塹壕が到達するのではないかと思える程だ。
ファインダー越しに地表を覗いて見れば、新たに塹壕を掘り進めていたであろう兵士たちがこちらを振り仰いでいるのが見える。
朕たちが上空から撮影するから敵にその存在がバレてしまい、掘ったそばから不要とされて置き捨てられた枝道も多く見受けられ、実際に掘り進めている一兵卒たちには気の毒なことをしている訳であるのだが、彼らも遮蔽物の無い草原地帯を突撃させられるよりかは、無用となる事が分かっていても穴掘りをしていた方がマシだと思ってもらう事を願うばかりである。
『よし、撮影はこのくらいで良いだろう。ライラ、目的地に向かおう』
『了解。最初はカデン高原の北西の村だよね』
ライラが朕の言葉に飛行箒を大きくスイングさせて方向を変えると、オフェーリアが悲鳴にも似た声を上げた。
最近は、ラサントス・テルミナトルの両航空隊はどうやっても朕たちには追いつけないと諦め気味なのか、上空を悠々と通過する朕たちに緊急出撃を掛けてくる邀撃部隊の数もめっきり減っている。
単純に損耗し過ぎて朕たちに割ける数が減っている可能性はある。良い傾向である。
そのまま息切れして戦争が止まってくれれば良いのだが、不気味なのは天上大陸セレスメアの動向であった。
一言で言えば、全く動きがない。
これはセレスメアの子飼いであるという、レーヴェ海を挟んで北東に位置する島国・メイザールの艦隊が動けていないと言う事から考えても、ここ迄事態が炎上したのならばセレスメアらからすれば何がしかの利益を得られねば引っ込みがつかない筈なのであるが、それが一向に無いのが不気味であった。
まぁ、未だに朕の創った『帝国法』が機能しているのであれば、それ程派手に介入出来るとも思えないのではあるが、どうやら今の『帝国』は機能不全に陥っているようであるから、警戒するに越したことはなかろう。
この事にはアリアドネも神経を尖らせているが、特段の動きを掴めていないようであった。
ともすれば、朕たちに出来る事は戦場の航空写真を撮って、このカデン高原の睨み合いを戦闘させる事なく少しでも長引かせて兵士たちの損害を抑えてやる事だけであった。
さすれば、上手くすればそのまま講和まで話が進むかもしれない。
何せ、軍隊は存在するだけで資金物資を馬鹿喰いする。
余程入念な準備をしていたとしても、軍隊が展開している期間が長くなればなるほど、国家の疲弊もまた大きなものとなるのが常だ。
両国とも早いところ諦めて休戦を模索してくれれば、などと朕が希望的観測を弄んでいた時であった。
◆
『ヒューゲル、補足したわ。いつでも行ける』
それは同僚であるイラーナからのチャント。
『コチラも準備出来てる。いつでも良いぜ』
俺、ヒューゲル・ヴラディノフは、通常よりも長い二脚で支持した愛銃のレバーを操作して、遊底を4分の1回転させてから手前に引く。
低い金属が鳴る音と共にレバーを押し戻せば、弾倉から掬いあげられた薬包が薬室にカチリと収まる音がした。
遊底を逆に4分の1回転させて薬室を閉鎖すれば、射撃準備が整う。
「"其は穿つ者。其が穿つは必定。中レ、中レ、中ルベシ。其は因果の逆行者"」
口の中で唱えた力ある言葉が俺の意思を伴ってオドを紡ぎだし、装填された薬包に因果の連結に伴って微かな光を瞬かせて薬室の中で確かな結果となって結実した。
視界の端に、白い線を棚引く飛行箒を捉える。
俺の愛銃は.511インチ、59.0グラムの弾頭に450グレーンの増量装薬を使用して、碩術を併用すれば最大20km以上先の標的を狙うことが出来る。
今回、俺はコイツに更に碩術で弾道補正を行うことで、20km先の目標にも誤差10センチ以内の命中率を発揮する事が可能な仕様に仕上げていた。
更に今使っている弾丸は弾頭に碩術式を組み込んでおり、射撃から一定時間が経過すると自動的に炸裂するように設定している。
対空狙撃とも言うべき仕様を施した弾丸で今回俺が狙うのは、最近『ロートリヒ・シュラーク』とか、『戦場の天使』などと持て囃され始めた愚かな地上人だった。
なんでも、カデン高原に張り巡らされた迷路のような塹壕を、上空から航空写真を撮っては地上世界の新聞に掲載し続けているらしい。
彼らが航空写真を撮り続ける限り、カデン高原で睨み合うラサントスとテルミナトルの両国は攻勢作戦を始められないでいた。
何故なら、自陣営の塹壕情報がモロバレになっているのだから、自身が攻勢作戦の準備をしている間、敵もまた同じ事が可能なのだ。
もしかしたら、敵の方が準備完了が早いかも知れない。そうだったら、一溜まりもない。
だから両軍とも自軍の塹壕の更新に手一杯で、最早攻勢作戦の準備をする暇も人手も物資も何もかもが不足していた。
全く、いけ好かない方法を取りやがる。特に、テメェの手は一切汚してないところが尚一層、スカしてやがる。
お陰で、奴は俺たちの上役の上役の、その又上役の……まぁ、つまり天上大陸セレスメアの逆鱗に触れた。
今、天上大陸セレスメアは思い描いたとおりに事が運ばなくてイライラしてる。抹殺命令が出るのは直ぐだった。
全く、面倒くせぇ。どこの誰だか知らねぇが、義憤に駆られて正義の味方ごっこってのは、取り返しのつかない痛い目を見る事になるんだと、わざわざ教えこんでやらなくちゃなんなくなった。奴に続く奴が出ないように。
俺たちが受けた命令は、誰にも見つかることなく奴を叩き落として、まだ息が有ろうが無かろうが考えられうる陵辱の限りを尽くして奴を辱めることだった。
せめて、奴が女であることを願うぜ。例え死体だってむさい男を切り刻んでもこれっぽちも楽しかねぇ。
釜を掘るなんざ真っ平だ。
『目標、視認した。おっ始めろ』
◆
ヒューゲルのその言葉と同時に、アタシ、イラーナ・ツェヴェリヴレーナは、自身の跨る飛行箒の出力を最大にした。
殺那、高度30,000ftの高空を飛行していたアタシの飛行箒は、轟音と共に爆発的な排気を伴って砲弾の様に加速を開始した。
ヤストレープと銘されたこの飛行箒は、天上大陸はセレスメアのトゥーポリョフ兵器工廠製、アタシたちの様な碩術化特戦兵向けの航空機動戦装備の一つであり、つまるところ、地上世界のソレとは端から勝負にすらならない様な性能を誇る。
細く長さの違う金属シリンダーを円周に近くなるに連れてシリンダー長が長くなる様に配置した螺旋型4,096気筒が発揮する主機出力は、地上製の飛行箒のソレとは桁が2つは違うだろう。
その天上大陸製飛行箒が、轟音と共に大気を掻き分けて進む。
速度は瞬く間に800ktに達してまだまだ加速する。
スロットルはそのままに、機体をロールさせて上下反転。出力を上げながら降下を開始する。
高度計が30,000ftから見る間に減少するのを目で追いながら、前方にゴマ粒のように見える目標に向かってシーキングウェーヴを発射する。
途端、ゴマ粒に見えた目標の飛行箒が素早く右に旋回するのが見えた。
予想通りの反応。
アタシたちは『ロートリヒ・シュラーク』を狩る事になってから暫くの間、奴の行動を観察した。どこから来て、何処へゆくのか。乗り手の正体はどんな奴なのか。
人目につかないように、天上大陸セレスメアの介入の証拠を残さないように慎重に立ち回らなければならなかったから、奴に関してそれ程多くの事が判っているわけではない。だかその中で、アタシたちは幾つかの癖のようなものを見つけていた。
それが、今の奴のマニューバ。
奴はシーキングウェーヴをぶつけられると、高確率で右に旋回して回避行動を取る。
多分、奴の無意識な癖だろう。利き手とかそんなレベルの癖だ。
だが、今回その癖があるおかげでアタシたちの仕事は格段にやりやすくなる。
アタシたちの作戦は、謂わば巻狩りだ。アタシが獲物を射撃役の射角に誘導する勢子で、ヒューゲルが打ち子。
アタシが奴の探査範囲外の超高空からヒット・エンド・ランの要領で奇襲して、奴を右に動かす。
一度行ってしまったマニューバから次のマニューバに移るには数瞬のタイムラグが出る。ヒトだって、右に曲がって逆に切り返すには、慣性を受け止めた上で更に逆側に移動する力を込めなければならない。
切り返しの際は必然的に動きが止まる。
ヒューゲルはキモいハゲオヤジだが、射撃の腕は確かだ。
複雑な乱数回避でもされたら別だが、運動ベクトルが一瞬でも固定される事が判っているなら、例え10km先の移動目標でもヘッドショットをやってのける。
視界の先で、黒い点が右に弧を描こうとするのを、アタシは冷ややかに見つめていた。
はい、アンタはおしまい。
◆
それに朕たちが気付けたのは、まさに偶然であった。
『ねぇ、ナヴィがいつも使ってるシーキングスフィアって、どうやって使うの?』
何か思い至ったのか、唐突にライラが飛行箒に伏せった姿勢のまま、首だけコチラに向けてそんなことを聞いてきた。
新聞掲載用の航空写真を撮影し終え、要救護者の待つ山奥の寒村へと機首を回し、眼下に広がる両軍の塹壕線がようやっと途切れようという時であった。
オフェーリアはと言うと、先程までは元気にはしゃいでいたのだが標高が上がるのに合わせて高度を上げたせいか、今ではライラの小さな尻に顔を埋めるようにして必死に寒さに耐えている。
『なんかナヴィもお義母様も時々、シーキングウェィヴとはちょっと違う弱い波?出してるでしょ?』
ライラがその事に気付いていたことに、ふむん、と朕は感心する。
走査波とは、主に距離を図るために使用する比較的強いオドを発する行為であった。かなりの碩術的技量がなければ無効化が難しく、また浴びせられた事を敵が感知するのも容易い代わりに、敵の位置を正確に把握できる。
例えるなら、相手に向かって『手』を伸ばすようなもの。アクティブな探知手段である。
対して、走査領域と言うものは、事前に広範囲に自身のオドを拡散させておき、それに触れたものを探知するパッシブな探知手段である。
無効化もされ易く、逆に相手から探知される危険性も、走査波に比べれば低く、更には長時間展開が可能な探知手段である。
例えるなら長い『髪の毛』の様なものであろう。
触れられればそれがわかるが、髪の毛が何かに当たったとして、どの辺りで当たったかは分かろうとも正確な位置を把握するのは難しい。
そんな事を掻い摘んで説明してやる。
『じゃあ、シーキングスフィアを常に展開して、何か反応があったらシーキングウェィヴを飛ばす感じ?』
と、早くもライラは二つの使い分けを理解したようであった。
得心した顔で、今度は実際に使ってみようと意識を集中させるライラ。
が、なかなかうまく行かないようである。
『……オド足りない……』
シーキングスフィアを移動中に行う場合、オドの制御をよほど上手くやらないと、単にオドを垂れ流すだけになりがちである。
元々オドの少ないライラにはかなり辛かろう。
『シーキングスフィアを並列思考に割り振って完全制御するのだ。一つ二つでは展開範囲に依っては制御しきれなくなるから最初から纏めて幾つかの並列思考を割り振ったほうが良い』
『……あ、ホントだ。……でも負荷が大き過ぎて探査範囲を広げられないよ』
ライラは並列思考をまだ四つしか展開できないから、なかなか広範囲を探査するのは難しいかもしれない。
シーキングスフィアの齎す負荷は範囲を広げるに連れて指数関数的に増えていく。まぁ、まずは並列思考の数を増やす練習だな。
『ナヴィはどの位の範囲を探査できるの?どのくらいの距離で、どのくらいの並列思考が必要?』
興味本位から出たであろうライラの言葉に、ふと朕も興味が湧いた。あまり意識したことがないので、正確な答えが難しい。
『あまり意識したことはないのだが、どれやってみよう』
言うが早いか、シーキングスフィアを展開する。
『今、半径300ショーク位かの。40程の並列思考を使用しておるな』
『えっ?!そんなに必要なの?!?!』
ライラが『私の10倍なんて無理』と嘆くのに苦笑して、もっと範囲を広げてみる。
300ショーク位の範囲を探査できてようやっと実用レベルというところであろうから、ライラにはまだまだ早いな。
『今、11オクス位に伸ばしてみたが、並列思考の使用数は……多分、2澗、10の36乗ほどかな』
『何その単位聞いたこと無い』とライラが今の自分には到底無理な技術だと知っていじけたように頬を膨らますが、朕はその時に感じた違和感に眉を顰めていた。
『どうしたの?』
その様子に、ライラが不思議そうに朕を振り返る。
『上空に、何か居るな。ライラ、理論絶対防御結界を展開する。戦闘準備だ』
朕たちの約10,000ft以上上空を、シーキングスフィアでは反応が掴みづらい何かが飛んでいた。
シーキングスフィアは展開している者との距離が離れる程、無効化がしやすくなるから、専用の碩術道具などの隠蔽装置を使うと、比較的容易に無効化することが出来る。
今、朕たちの上空を飛んでいる者の反応は、ともすれば見落としてしまいそうになるほどに小さかった。間違いなく、某かの隠蔽手段を使っている。
朕は急いで理論絶対防御結界を展開する。
地上世界の飛行箒の性能は、アリアドネによれば高度4,000ft程が限界高度だと言うから、10,000ft以上上空を飛行している時点で地上世界の者では無い。
先日、アリアドネと今後の対策を協議した席で見出された懸念が朕の脳裏を過る。
『カデン高原の戦場が膠着すれば、早晩、天上大陸が直接手を出してくる可能性が高い』
それは朕とアリアドネの統一した見解であった。
しかも、彼の者は朕たちの上空に陣取っている。
空戦に於いては敵の上を取るのは基本中の基本である。
保持している高度は重力加速度によって速度に変換できるのだから、高度の保持は実質速度を確保していることに等しい。速度が速ければ敵に追いつく事も、逃げることも容易である。戦闘開始時に敵の上を取る事ができれば敵よりも運動エネルギーを多く保持して戦闘を開始することになり、それだけ敵に対してアドバンテージを確保できるということである。
特に、空戦でよく使われる一撃離脱戦法などを使用して安全に敵を撃破したい場合、敵の上を取るのが常道であるからして、今現在正体不明の何かが朕たちの上方に居るというこの状況は、詰まるところ今将に朕たちに攻撃が加えられようとしている可能性を指し示していた。
『敵?どこ?!』
朕の言葉にライラが慌てて上を見上げるが、距離が遠すぎて肉眼では捉えられんであろう。
『ライラ、速度を上げよう。振り切るのだ』
と、朕が指示を出したその時だった。
『ッッッ!!!走査波を探知!八時方向上方!』
ビクリとライラが身を震わせたのと同時、朕も浴びせられた走査波を探知した。
『回避行動を取れ!回避行動を取れ!』
ライラが朕の指示に反応して咄嗟に右に急旋回を始める。
碩術師では無いがゆえに思念通話が出来ないオフェーリアが、何の合図も無く急激な旋回を開始した飛行箒の上で体を大きく振られながら盛大な悲鳴を上げるのを、振り落とされないように碩術操作の砂入革手袋で引っ掴む。
状況から見て、明らかな一撃離脱戦法である。
速度を急激に上げながら旋回する飛行箒の上で朕は迫り来る敵の攻撃に備えようと、上空に意識を集中する。
その時だった。
「――にゃわッ!?!?」
朕が理論絶対防御結界を展開するのに使用していた並列思考の一部が瞬時に飽和して露と消えた。
◆
「畜生!」
俺、ヒューゲル・ヴラディノフは思わず声を上げていた。
急いで遊底を操作して薬室から排莢を行い、次弾を装填する。
対空狙撃用に装備した倍率2倍のリフレックスサイトを覗き込んで再照準を行う。
そこには、バランスを崩して錐揉み状態から立ち直ろうとするロートリヒ・シュラークが映っていた。
先程のは見間違いではなかった。
射撃時の反動で一瞬しか確認できなかったが、俺の放った50口径の対物侵徹誘導弾を奴は防ぎやがった。
50口径だぞ!?戦車にだって穴を開けられる弾丸を、奴は防ぎやがった!
どうやって防いだ?
理論防御術式か?そんな高等な碩術が使える奴が地上世界に居るのか?
って事は、奴は天上世界人か? だとしても、碩術で威力を増した50口径を防げるような理論防御術式を使える奴なんて、そうは居ねぇ!
「くたばれ!」
そんな雑念がぐるぐると渦巻く思考を強引に押さえつけて、次弾を放つ。
轟音と共に、奴からだけでなく、周囲の地上人たちからも気付かれないよう、地上の低木が生い茂る一帯にドーム状に組んだ枝葉のカモフラージュベースが、対物侵徹弾の発射に伴う暴力的な衝撃波を受けて激しく揺れる。
「……糞ったれ。イラーナ!野郎は天上世界人だ!」
射撃に伴うリコイルで揺れたリフレックスサイトの先には、今度はバランスを崩すことすら無く俺の魔弾を防ぎきって、悠然と飛翔するロートリヒ・シュラークが居る。
次の瞬間、ゾワリと、背筋をナイフの切っ先でなぞられる様な悪寒が走った。
◆
アタシ、イラーナ・ツェヴァリヴレーナは今起こったことを目の当たりにして思わず息を呑んでいた。
『イラーナ!野郎は天上世界人だ!』
ヒューゲルの悲鳴のようなチャントを聞かなくても、見ればわかる。
ヒューゲルはハゲで下卑てて、オマケに臭い最低野郎だが、ヒトを撃ち殺す、と言う技能に置いては他の誰よりも上手い奴だった。
ヒューゲルの使うライフルは多岐にわたり、今回は対物ライフルの中でも一等馬鹿でかい奴を使ってるはず。
撃ちだす弾丸は、ヒトの死体を作り出すことが出来ないほどの威力を誇る。
最早挽肉製造機と言っていい代物のはずなのに、今アタシの視線の先を飛ぶ奴は、一撃目こそバランスを崩したものの、二撃目は微動だにすることなく防ぎきってみせた。
地上世界人は勿論、凄腕の天上世界人だって、あの攻撃を防ぐのは至難の業の筈。
どんな防御術式を使ったの?
例え全周展開したって、並の防御術式じゃヒットした瞬間にかかる術者への過負荷で防御術式ごと吹き飛んだっておかしくない威力をヒューゲルの攻撃は持っているはずなのに。
『アタシが殺る!援護して!』
だが、それなら近接航空格闘戦で仕留めるまで。
今回は天上大陸が介入している事を隠すためにまどろっこしい巻狩りの様な真似をして、極力地上世界人の目に留まらないようにするつもりだったのだが、目標が想定よりも強力だと判れば隠密なんて言ってられない。
どうせ地上世界には映像記録装置なんてろくに存在しないんだ。
少しばかり近接格闘戦をしたって証拠なんか残りゃしない。
幾ら奴が天上世界人で、例え腕利きだったとしても、アタシとヒューゲルで上と下から波状攻撃をかけてやれば墜とせるはず。
『糞ったれ!補足された!走査波を浴びてる!援護は無理だ!』
アタシがヤストレープのスロットルを全開まで開けた瞬間、ヒューゲルから本物の悲鳴が上がる。
この、マヌケ!
アンタ、10km以上離れた所に居るでしょうが!どうやったらそんな離れたところで見つかるのよ!
でも、奴の注意はヒューゲルに向いてる今がチャンスだ。
加速したヤストレープは垂直に降下を続けて、見る見るうちに黒い点だったロートリヒ・シュラークがその輪郭を顕にしていく。
高度の利も速度の利もコチラにある。
脳天から撃ちぬいてやるわ!
「”穿て穿て穿て!其は因果の必定!紫電の腕は万里を奔らん!”」
力ある言葉と共に、体内からオドが紡がれて、因果の法則を逆転させる。
「”其は万物の原理にして、原初の蛮声!事も無かりしを灰燼に帰せ!”」
アタシの周囲に大気を焼きながら紫電が集まり、その必殺の破壊力を溜め込み始めた。
三連式超高圧電慧弾。
射程が短い代わりにその威力は戦艦の装甲すら貫き通す。
例えどんな防御術式を使ったって、コイツの威力の前では一瞬で消し炭だ。
防げるものなら防いでみなさい。
「威力行使!」
紫電球が溜め込まれた力を解き放ち、アタシの指示した方向に迸る。
と同時、視界の先。
今や仔細に至るまで見て取れる距離にまで迫った『ロートリヒ・シュラーク』の飛行箒の荷台に鎮座した、一匹の黒猫が、コチラを見上げてニィ、と不敵に口角を上げたのが見えた。
途端、奴に向かって突き進んでいた三連式超高圧電慧弾が、まるで見えないレンズで屈折させたかの様にグニャリとその軌道を変えた。
糞ッ!何だその防御術式!見た事ない!
慌ててヤストレープをロールさせて、『ロートリヒ・シュラーク』の脇をすり抜ける。
このまま降下を続けて、降下して上昇する機動から、今度は下から奴を狙のだ。一撃離脱戦法の基本機動だ。
と、その時。
すれ違いざまに、
「反響する残響」
何処からともなく、ヒトを小馬鹿にしたような妙に甲高い声で、力ある言葉がアタシの耳朶に木霊する。
視界の端に遠ざかるあの不敵な黒猫の周りに、先程撃ち出したアタシの術式と全く同じ紫電の光球が出現したのが見えた。
嘘でしょ?術式をコピーされた?!
撃ち出されるコピーされた三連式超高圧電慧弾を身を捻るように機体を操作して、何とかその射線を避ける為に全力で機動する。
「第八世界法則防御術式漆型、展開!」
咄嗟に展開したアタシが使える防御術式の中で一番強い奴を展開するも、悲しいかな、アタシが使える一番強い防御術式は戦艦の装甲ほどの防御力は無い。
布を引き裂くような耳障りな音がアタシの脳裏に反響して、並列思考が全部纏めて、過負荷で吹き飛んだ。
並列思考を潰された影響で酷い耳鳴りがする。視界が酷く狭まって、矢鱈とゆっくりと揺れ動く。
衝撃。
混濁する意識の中で必死に機体を操作する。狭い視界の中で、チラリチラリとオレンジ色の何かが踊っているのが見えた。
被弾した?主機を抜かれた?
視界が回って、何がなんだかわからないのに、落ちている事だけは間違いがなかった。
このままじゃ死んじゃう。
死ぬ。
死ぬ!
「ッ!………?」
迫りくる死の恐怖を実感して、恐怖に身を引き攣らせながら慌てて身を起こすと、そこは枯れ果てた草木に覆われた茶色の草原だった。
アタシの視界の先には、グチャグチャになって最早原型を留めていないヤストレープが黒い煙を吹きながら無惨に転がっていた。
ワケが判らなかった。慌てて自身の体を両手で触って、自身が五体満足でいることを確かめる。
ヤストレープがグチャグチャになるほどの高空から落ちたのに、酷いめまいがする位で、傷ひとつ無い自分が信じられなかった。
本当なら、アタシだって、ヤストレープの様にグチャグチャのミンチになって転がっているはずなのに。
「まさか、アタシを助けたの?」
その事実に思い至った瞬間、怒りとともに、恐怖で頭が真っ白になった。
それは知らない内に自宅に見知らぬ男が忍び込んでいたような恐怖。
アタシが気を失っている内に、アタシはあの黒猫に強姦されたような、そんな気がして、吐き気を催す生理的な嫌悪感が込み上げる。
「虚仮にしやがって!あの糞猫!絶対に許さない!」
そう叫んだアタシが見上げた曇天の空を、無様に地を這うアタシを睥睨するように一機の飛行箒が飛び去って行った。
後から大きな修正して申し訳ありませんが、今後の進行上、彼女が出てきたほうが良いと判断しました。
ここから後の#54〜56にかけて大幅に改訂が施されております。




