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第1戦 我が家の家訓


我が家には5つの掟がある。

元々は村の掟だったのだが、父の仕事の都合により村を出ることになったため、

今は我が家のルールとして引き継いでいる。

まぁレンジャーを目指す私にとって我が家のルールでなくても、この掟は守るべきものである。


小学6年生の私は新学期から東京の学校に転入することになった。

そして今、転入してから5日目の帰り道、知らないデブに通せんぼされ、

あまり鋭くない目つきで睨まれている。


「…だれかしら?」

「同じクラスの出不杉直人だ!!」

「デブすぎな男…」

「ナオトだ!」

「急な自虐ネタかと思ったわ。それで、デブくんは私に何の用かしら」

「デブっていうな!!!」

「あら、ついつい略してしまったわ。ごめんなさいデブすぎ君」

「お前やっぱムカつく!!」

「お前じゃないわ。戦時紫苑よ」

「わかってら!お前毎日同じ服きてて汚ねぇんだよ!!母ちゃんが洗濯しないと臭くなるって言ってたぞ!クセー女!」


そうこれが我が家の掟。


その1、常日頃から正装でいるべし。

正装というのは全身タイツのことである。


「同じ物ではないわ。これと同じ服いっぱい持ってるだけ。仮に今クサいとしたらそれは貴方の匂いよ」

「なっ!!俺じゃねーし!!つか毎日全身真っ赤なのも!きもいんだよ!」


その2、赤以外は身につけない。


「なぜキモいのか言ってみなさい」

「…キモいからキモいんだ!!」

「はぁ、理由になってないわね。それは貴方の価値観であって私はキモくないわ、私からすれば理由もなく罵倒してくる貴方のほうがキモいと思うのだけれど?」


その3、悪人には負けることも逃げることも許されない。


「お、俺はきもくない!!」

「キモいわ」

「キモくない!」

「気持ち悪いわ」

「言い直すなぁああ!」

『ドンッ』


その4、一般人に暴力を振るわない。


鈍い音がした。デブが私の身体を押そうとしたので、腕を掴み、背負い投げしてしまったのだ。

「あ…ただし不可抗力ならおっけー…」

そういうことにした。

「う…うっゔぅっ」

「まずいわね」

「ゔわぁあああああん」

馬鹿でかい図体からでる馬鹿でかい声で、地面に座ったままデブが泣いてしまった。


その5、泣いてる人や困っている人は助けるべし。


「あーぁ。しかたないわねぇ…」

ボブでぱっつんの前髪を七三に分け、デブの前にしゃがんだ。

「ゔっゔっ、なんだよ」

デブが目に大粒の涙を溜めながら、私の方を見た。いまだ!

「せおいなげぇ〜↑↑↑」

指を立てて振りながら、できるだけにこやかに言った。

「ば、馬鹿にすんなよぉお!!!!」

デブは泣きながら走り去ってしまった。

いま流行りのIKKUのギャグである。きっと笑いを堪えきれずに逃げたのだ。


「さずが私ね。掟全てを守ったわ。」

少女は仁王立ちで満面の笑みを浮かべながら両手の中指を立てた。


『そう、これは戦隊村出身の超絶エリートな少女が天才的赤レンジャーに成長するまでの物語である』


「ふっ」

(このポーズはどんな悪党にでも不快感をあたえるポーズらしいのよね。完璧ね)



真っ赤な全身タイツにつつまれてガニ股で

ファッ○ューポーズをしながら不敵な笑みを浮かべた少女は、どこからみても完璧な変質者にしかみえないのであった。

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