カラ
沢山の線が外へ向かって走る。
付け根近くは歪な円の線で削られている。
いや、線の上にも線があるようだ。
わかりにくいが、チェック柄になっていた。
もやもやとした茶色が、汚らしく浮いて見える。
けれどそれは、洗っても落ちることはない。
地色は白だが、その先は淡い青。
茶色の近くはギザギザと欠けているようだ。
痛みに心が締め付けられる。
付け根の横は黒く染まっている。
そこだけは、生き物だという生々しさを主張した。
裏は驚くほどデコボコがない。
代わりに跡のような反射する線。
けれど跡を作ったものは存在せず、砂がこびりついているのみ。
ここには柱があったと、それは叫ぶ。
弄るなと、キィキィと鳴る。
カラン カリン カラリン クワン。
触ることさえ億劫になる。
動くことは少ない。
それでも
動くことはない。
死んでいると知っていたが、死んでいると知らなかった。
私は、恐ろしさに脱力する。