真実という怪物
これを読んでいる皆さん、私は貴方達とは異なる世界に住む者です。
名前:ディッフェルト
職業:情報屋(★魔王)
レベル:22
体力:70
魔力:100
筋力:40
俊敏力:160
持久力:120
知力:200
器用さ:130
スペル:『プチファイヤ』『プチウィンド』『ウィンド』『ヒール』『サーチ』『アナライズ』『サイレンス』『ステルス』『フライ』『テレポート』『サモン:スニークラット』『サモン:ゴブリン』『サモン:サキュバス』
スキル:【索敵:Lv10】【隠蔽:Lv10】【鑑定:Lv10】【看破:Lv10】【拡張空間:Lv3】【解析:Lv9】【以心伝心】【探究の心得】【占術】【複製】【夜目】【深淵の覗き手】【履歴録】
上のステータスを見て貰えば分かる通り、私の世界は『魔法』が有って職業が有るロールプレイングゲームの様な世界です。
追加しておきますと、職業の横に付いています(★魔王)はクラスランクです。
下級職→上級職→★魔王or☆勇者
と言う感じでその職業の成熟度を表しているんですよ。……ちなみに(★魔王)の称号はこの世界の女神アレクシアに反する者の場合のみで、基本的には人の称号は(☆勇者)になります。
ところで、どうしてこんな話を異世界に住む貴方達にしたのかというと………
「勇者様、あの男です!」
「……おい、お前魔王だな?」
勇者という名のゴロツキに絡まれ非常に困った事態に成ってしまったからです。
そもそも、私は魔王などと言われましても特に何も悪い事なんてやっていません。……ただちょっと、探究心のままに神の世界や異世界へとアクセスしただけなんです!
なのに、女神アレクシアときたら『身を弁えなさい!』とか言って突然私を魔王認定してきたのですから、とんだクズビッチです。
……まあ、情報屋という職業上元々良く命を狙われていたので隠蔽・潜伏は完璧でしたけどね!
「おい、聞いているのか社会の害虫! 魔王には生きる権利なんざねえんだよ、死ねぇぇぇ!」
「流石勇者様、卑しい魔王なんてさっさと倒して……一緒に演劇でも見に行きましょう!」
「『サモン:ゴブリン』、貴方達時間を稼いでください!」
「ゴブリン如きじゃ俺の相手になんて………な、なんだこの数は、百体以上居るじゃねえか!?」
ええ、スキル【複製】の効果ですよ? ……まあ、これは地球の活版印刷機を使っていたら自然と取れたスキルなんですけどね。
そんな事より、二人のステータスを確認しなくては
(『アナライズ』【鑑定・看破・解析】!)
【ステータス】
名前:ライドン(前世:佐藤勇斗)
職業:魔法戦士(☆勇者)
称号:聖教会任命の勇者、チート転生者、アレクシアの加護
装備:聖剣デュランダル、聖鎧、アリアドネのズボン、女神の腕輪、守護の帽子
レベル:72
体力:400+80
魔力:500+200
筋力:420+142
俊敏力:250+25
持久力:250+25
知力:30+3
器用さ:40+4
スペル:『ファイア』『アイシクル』『ウィンド』『サンダー』『ハイファイア』『ハイアイシクル』『ハイウィンド』『ハイサンダー』『ヒール』
スキル:【魔法剣:Lv8】【剣術:Lv10】【天武の才:剣】【天武の才:魔術】【聖教会流剣術:Lv5】【属性融合】【必要経験値大幅減少】
【ステータス】
名前:セーラ
職業:聖女(上級職)
称号:聖教会任命の聖女、純潔の癒し手
装備:癒しの杖、天使のローブ、聖女の指輪
レベル:30
体力:200+40
魔力:300+150
筋力:30+5
俊敏力:80
持久力:40
知力:50
器用さ:200+40
スペル:『ヒール』『ハイヒール』『エクスヒール』『リカバー』『バリア』
スキル:【杖術:Lv2】【聖奥義:Lv12】【解呪:Lv5】【魔王感知:Lv4】【魔法拡大化】【状態異常無効】【聖の才覚】
なるほど、なるほど、【隠蔽】でステータスを偽装していたのに私が魔王だと気づいたのは聖女が【魔王感知】を持っていたからなんですね。
しかし、本当に困ったことになりました。私よりお二人ともレベルがかなり上では有りませんか。……これでは、真っ向勝負をしても勝ち目は有りません。もっと深く探らなければいけませんねえ……ククッ。
「何がおかしい、クソ魔王。お前が召喚したゴブリンはあらかた倒したぞ!」
「……『ウィンド』」
「無駄ですっ、『バリア』……これでもう私達に魔法攻撃は通じません!」
「ククク、これは攻撃では有りませんよ。好き者聖女サマ?」
「私は淫乱などではあり………きゃっ!」
突然発生した突風に(好き者ではなく淫乱)聖女サマは可愛らしい悲鳴を上げました。そして、それによってより聖女サマに注目した野次馬達(言い忘れていましたが、ここは普通に街の中です)は一つの真実にたどり着いたのです。
『は、履いてない!』
『ノ、ノーパン聖女だと!?』
『しかも、あれ何か垂れてきてねえか!?』
『きれいな顔してとんだ好き者じゃねぇか!』
流石は聖女サマ、よれよれのオジサン達を一瞬で元気(意味深)にしてしまわれました。流石です、聖女サマ!
「ど、どうして、攻撃魔法は全て『バリア』で無効化されるはずなのに……!?」
現在進行形で跳ね上がるローブを一生懸命抑えながら(非常に無駄な足掻きです!)も、羞恥心に身悶えされていました。
「ククク、私が『ウィンド』で起こしたのは単なる上昇気流、攻撃では有りませんので『バリア』では封じることが出来ないんですよ!」
「そっ、そんな、……嘘でしょっ!?」
まあ、聖女サマにとっては真に嘘で有って欲しい状況でしょうねえ。
『これは、どういう事なんだ!』
『ディッフェルト、説明しろっ! テメエは情報屋だろうが!!』
「おっと、忘れていましたね! ……まあ、簡単に言ってしまえばお二人共露出プレイが大好きで、恋愛を無視した即物的関係に有るんですよ」
「……ち、違います!」
「そ、そうだぞ。俺達はちゃんとした恋人同士だ! セーラがノーパンなのもさっき宿屋でシてたからで、断じてそんな変態なんかじゃない!」
……馬鹿は直ぐに引っ掛かってくれるから楽ですね。
『……セ、セーラたんが非処女だっただなんて、ずっと処女だと思って寄付してきたんだぞっ!』
『……あれ女聖職者って、恋人作って良いのか?』
『いや、駄目だろ。それこそ性交なんてしてたら破門だろ!』
『『『…………(じぃー)』』』
「な、何ですか貴方達……!」
「お、おい野次馬共……こっちに寄ってくるんじゃねぇ!」
『あー、このままだと、セーラたんが膜無しな事を誰かに喋っちまいそうだな~(棒)』
『そうだな、俺達も聖女サマが破門になって【火炙りの刑】になるのは嫌だからな! ……ポロッと言わねえ様に、何か印象的な体験が有ればな~(棒)』
『手っ取り早い話、俺達が【共犯】に成れば良いんじゃね?』
「ひっ、ひぃっー!」
「や、止めてくれぇー!」
「やれやれ、この魔法は発動までに時間が掛かってしまう事が弱点ですね。『テレポート』!」
こうして私は独善的な勇者と聖女を放置して、この場所を離れました。
……まあ、自分の事を棚に上げて人の事を悪く言った報いですよこれは。
(追伸:最近かの街に現れたメンヘラビッチが、元聖女セーラ様に瓜二つだったとか無かったとか……)