第十二話 友達の話なんだけどさー
10から12話を同時に投稿しました。10話11話をまだご覧になっていない方はぜひそちらもご覧下さい
幸來との“意外な再会”から一夜明けた午前中。和誠、澪央、薫の三人は、澪央の自宅で夏休みの課題を進めていた。
「はぁー、疲れた……」
机に突っ伏しながら和誠が嘆く。
「お前、まだ“明日の夏期講習で提出する課題”しかやってないだろ」
呆れ半分で薫が言った。
「マジでさ、塾の先生は学校の課題の存在も考えて宿題出してほしいんだけど……」
塾の話をした途端、和誠の脳裏に昨日の出来事がよみがえる。
(……こいつらに話すべきか?)
心の中で葛藤するが、すぐに別の懸念が浮かぶ。
(いや、コイツらに弱み握られたら後々面倒な
ことになる。でも正直、俺は女心がマジで分からん。それに、薫は無駄にモテるし、澪央はいつでも女子の中心にいるし……)
(よし、ここはうまく誤魔化しながらさりげなく相談しよう!)
和誠はごく自然を装って口を開いた。
「あのさぁ……友達の話なんだけどさー」
ペンを走らせていた澪央が反応する。
「友達って、翔太くんのこととか?」
「そ、そう!翔太の奴がさー」
思いついたように頷く和誠。
(翔太には悪いが背に腹はかえられん!)
「で、和誠がどうしたって?」
薫が呆れたように顔を上げる。
「だから翔太の話だって!」
焦りを隠せず声が裏返る。
「あはは、薫。もうちょっと泳がせとこうよ」
澪央がイタズラっぽく笑う。
「だから、翔――」
「はいはい。何年あんたの幼馴染やってると思ってるの?バレバレよ、バレバレ」
「だから……」
今にも消えそうな声を漏らしていた和誠だったがついに観念し、
「あーもう!そうだよ、俺の話だよ!」
和誠は開き直ったように言った
「あのさ……女子と仲良くするって、どうしたらいいのかな?」
三人の間に、短い沈黙が走る。
「え?」
澪央が驚いたように聞き返した。
「俺だって、お前らにこんなこと聞きたくねぇよ。でも……薫は無駄に女子にモテるし、澪央も女子から超人気あるじゃん……」
和誠は、少しうつむいて続ける。
「俺はさ、薫みたいに女子からモテたことなんてねぇし……正直、女心なんて全く分かんねぇ。
でも、もし俺が原因で誰かを傷つけるってのは嫌なんだよ。だから……お前らに恥をしのんで聞こうと思ったんだ」
和誠の真剣な口調に、澪央と薫が視線を交わす。
「和誠ってさ、俺なんかよりよっぽど女子とうまくやってる気がするんだけど?」
「……多分、同じクラスの女子に嫌われてる」
その言葉に、二人は無言で顔を見合わせた。
「ちょっと俺、トイレ行ってくるわ」
和誠は肩を落としながら部屋を出ていった。
残された澪央と薫が小声で話し始める。
「まさか、和誠の口からあんなことが出るなんてな」
薫が言う。
「“嫌われてる”ってのは、絶対和誠の勘違いだと思うけどね」
澪央がため息をつく。
「それにな。“俺はモテたことない”とか、どの口が言ってんだか」
「ほんとよ。和誠は異性からの好意に鈍感すぎ。今まで何人の子が和誠に片想いして、諦めてきたと思ってるのやら」
澪央は呆れたように天井を見る。
「……まぁ、誰かさんは諦めてないみたいだが?」
薫が澪央を見ながらわざとらしく言う。
「うっさい」
澪奥が少し怒ったように薫に肘を突きつける。
そのとき、部屋のドアが開いた。
「ただいま……ん?なんか二人で話してた?」
和誠が戻ってくる。
「いや別に? それでさ、和誠が“女の子と仲良くするにはどうしたらいいか”だっけ?」
澪央がさらりと話題を戻す。
「そうだけど……」
「じゃあ――誰と仲良くしたいのか、詳しく教えて?」
次回の投稿は来週の水曜日です。




