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世界はB(ボーイズの)L(ラブ)で満ちている


ハロー、獣王国国民の皆さん!

私はお隣の人間の国から、狼陛下の王妃となるべく嫁いできた人間の女です。

停戦和平の証としてやって参りましたけれど、みなさんのご想像通り、陛下には嫌われておりますわ。


でも平気です、だって理由が分かりきっておりますもの。


陛下には他に心に決めた方がおありなのです。

決して結ばれない相手が。


「なぜ愛する相手と結ばれないの?」

「人間の雌なんかより、そのお相手とご結婚なさればよかったのに」


そう思いますよね?

でも陛下は、お相手と結婚することは出来なかったのです。

……そう、なぜならば、相手も雄だから!


仕方のないことではあります。

子をなすことが国王陛下の最重要任務ですから。


「え?じゃあ陛下は最愛の相手を諦めたの?狼なのに?」

「人間を形だけの妻にして、愛する相手は側室として迎えればよかったのに」


そう、おっしゃる通り。

狼はピュアで一途な種族。番と決めた相手は一生離さないと聞きます。

けれど、お相手は側室の位を拒否なされました。


「陛下の求愛を?」

「陛下の求婚を?」


そうです、あの歴代国王の中で最も美しく強く優れた王であると讃えられる、若き国王陛下の求めを、拒んだのです。

国王陛下は、どれほど求愛しても相手に受け入れてもらえず、涙ながらに私と言う雌を妻に娶ったのです。そして、愛のない日々を送ってらっしゃるのです。


「なんて可哀想な」

「なんでそんなことに」


うんうん、おっしゃる通り。

大層お可哀想なことでございます。


……え?

国王陛下を拒否することができるなんて、相手は一体どこのどいつだ、って?


よくぞ聞いてくださいました!

陛下の純愛のお相手は……


陛下の懐刀にしてこの国の頭脳と呼ばれる宰相閣下、そのひとなのですわ!


しかも!

その宰相閣下こそ、私を国王陛下にあてがった張本人。


自分を恋い慕う年下の国王に対して、年上顔で道を諭し、自分ではない雌を娶らせるなんて、まったくもって罪なお人ですよねぇ!?ねぇ!?








「あーー!イイ!滾る!!最高かよっ!」


脳内でノリが良い仮想民草との対話をしながら、足早に自分の部屋に戻ってきた私は「ファー」と気の抜けた息を吐きながらソファに倒れ込んだ。


「んー、最高!毎日素晴らしくオイシイ痴話喧嘩を間近で見させて頂いてご馳走様です!」


今日も今日とて、朝議の席で私に冷たく接する国王陛下に苦言を呈する宰相閣下を見ながら、私はニヤニヤが止まらなくて大変だった。

しかも叱りつけられた国王陛下がキュッと唇を噛み締めて


「それを……お前が言うのか……っ」


とか小さく呟くもんだから、膝から崩れ落ちそうになっちゃいましたよ。

こんな素敵なシーンを目の前で見せてもらっていいんですかね?腐女子垂涎ものですよ?お金払わなくていいの?あ、持参金で足りてる?それはよかった。


「はぁ……ッ!マジでこの世界に転生してよかった……っ!」


私は己の幸せをしみじみと噛み締めた。


……あ。

お察しの通り私、日本からの転生腐女子です。

ここがどこの世界か知りませんけど、作画は神。

なにせ私もかなりの爆美女ですよ?でもまぁそんなことはどうでもイイので、話を続けましょう。


私が嫁いできたこの国には、三組の推しCPがいます。


一組目は今お話ししました、年下俺様陛下×冷徹眼鏡宰相という王道カップリング。


二組目は生真面目騎士団長×裏の顔は間諜らしき穏やか文官、って感じのちょっと捻ったカップリング。


三組目は可愛い顔して猛犬な侍従×清濁合わせ飲んできたオジサマ侍従長という、わりとマニアックなカップリング。


あー書きたい!めっちゃ書きたい!どれも書きたい!

取材し放題だし、創作意欲がムクムク止まりません。

みんな美形だし色っぽすぎて、書くならどっぷりR指定になっちゃいそう。きゃあっ、実在の人物をモデルに十八禁小説なんて……私ったら悪い子っ!


多分、私の()()は王宮内で大ヒットすると思うんですよね?確実にね?ソウイウのが好きな人いるからね?王妃様が書いた物語って希少価値もあるし?源…物語的な感じでね?

もちろん挿絵もつけちゃいますよ?前世は絵も描けるタイプの字描きでしたので!

この国の女官や侍女たちもお耳と尻尾はついてるけど、きっと本性は人間女と同じ。美形が耽美にくんずほぐれつするアハンな御本は、絶対ウケると思うのよ!


「ん~、やる気がみなぎるぅ!」


さてそんな私の愉快な転生虐げられ王妃生活、はじまりはじまり~!







あ。

なお私と陛下のラブの予定はありません。

解釈違いなので。


私は白い結婚を五年ほど貫いて王女としての商品価値を存分に下げてから祖国に出戻って幼馴染の騎士と結ばれる予定なので、そこんところヨロシク神様。




☆☆☆のマークがついているときは、ヒロインの妄想です

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