5.事情聴取
「アラタ、あなたが空から降ってきた理由、もっと詳しく聞かせてくれない?」
「かまわないよ」
「まずね、僕のいた世界は地球って言うんだ」
「え?地球?」
「なにか?」
「なんでもないわ。続けて」
「そこで僕は…」
僕はキュールにそのまま隠さず話した。不思議な像があらわれたこと、光にあつまれたこと、空から降ってきたこと。
「…というかんじだ」
「なるほどね」
キュールは考えるようなふりをする。はっ、今がキュールの心を読んで反撃するチャンスでは!よし!がんばるぞ!
…無理っす。そんな芸当はできない。
「地球は知っているわ」
なんと。ご存知でしたか。
「私の話している言葉が理解できるでしょう?この言葉、この世界では『共通語』としか認識されていないけれど、その由来が地球の日本語だと文献で読んだことがあるの。さらに、この世界でも地球と同じような単位、たとえばメートルとかグラムとかが使われているらしいわ」
がち?同じ言葉話すなあと思ってはいたがよくあるご都合主義言語理解かと感じてスルーしていたぜ。
「ということは僕の他にも地球、日本からの転移者がいるの?」
「初めてこの世界に来た異世界人は転移ではなく、転生らしいわ」
転生とな。一回死んで生まれ変わる例のあれか?めんどくさそうだな。僕は転移でよかった。でもキュールに助けてもらえずに動物の餌になるよりかはましか。幸運だったのだな僕は。ありがとう運命の女神様。
「私はこのことについてこれくらいしか知らないわ。というか少ない本からの知識しかないのよ」
「その魔法もそうやって学んだの?」
「ええ。そうよ」
そう言ってキュールは目を光らせ、手の指先に粒子を集めたかと思ったら火を灯した。
「へえ、炎の魔法も使えるんだね」
「もちろん。基本魔法なら誰でも訓練でどの属性でも使えるようになるわ。火、空気、水、土。基本はこの四つね。ここから派生したものがいくつもあるけど話すと長くなるからまた今度話すわ」
「なんだかいきいきしてるね」
「そんなことないわよ」
顔を赤らめて言ってもバレバレですよキュールさん。
いい機会だ。魔法を僕も使ってみたい。
「キュール、僕に魔法を教えてくれ」