3.僕は空から降ってきたらしい。
「お兄ちゃん、なにやってるの?」
「は?」
なんだこの女の子は。僕は今落下中だぞ?なんなら地面に直撃寸前だよ?ほら、落ちr
「いってえ!」
痛いです。ほんとに痛い。あれ?生きてる?やったあ!
生きてるのはいいが動けない。どうすりゃいいですか?
「ねえお兄ちゃん、なにやってるの?」
さっきの女の子が空からゆっくりと降りてきた。銀髪ロングで碧眼の女の子。見た目は10歳くらいか?顔を整っててとてもかわいい。
「なんで空を飛んでるの?」
「質問に質問で返さないで。ばかなの?」
屈辱だ。見た目10歳のちんちくりんに馬鹿と言われた。こちとら受験生の中の上澄みだぞ?まあいい。質問に答えてやるか。
「悪かったよ。質問に答える。帰り道、光りに包まれ、気づいたら落下中」
「大丈夫?特に頭」
「なんなんだこの失礼な女の子は」
「は?」
おっとだめだな。心の声が漏れてしまった。
「お兄ちゃん、とりあえず介抱してあげる。ついてきて」
「動けません」
やめてくれ女の子。そんな目で見ないでくれ。
「しかたないなあ」
彼女は僕を見て、目が少し光ったと思ったら僕の体は宙に浮き始めた。
「うわあ!なんで浮いてる?こわいこわい」
「うるさい」
仕方ないだろ。こっちは浮くのなんて初めてなんだ。…クラスでは浮いてるが。
「これって魔法かなにか?」
「それ以外に何かあるの?」
「ごめんなさい」
そうか。魔法があるのか。楽しくなってきたな。しかしこの女の子、もう少し愛想よくしてほしあものだ。
「ほら、着いたわよ」
「どうも」
ここがこの子の家か。そこそこ立派だ。
「そこに寝てて」
彼女は僕をベッドに寝かせた。少し時間が経ち、戻ってくるとなにやら厚い本を抱えて帰ってきたら。
「その本は?」
「魔導書。知らないの?」
「知りません」
知るわけないだろ。魔法すら見るの初めてな人間には無理だ。気づけよ。
彼女は本を開き、とあるページで開いて本を置き、僕に手をかざす。
「なにをなさっているので?」
「治す」
「さいですか」
治す?魔法ってすげー!
そういえば僕はなぜこのちんちくりんに敬語を使っているのだ?なんだか腹が立ってきた。
そういう不純な気持ちで彼女を見ていると、彼女になにか粒子のようなものが集まっていくのが見えた。
見えたと思ったら瞬間。自分の体に違和感を感じた。誰かに優しく包み込まれているような感覚だ。心地いい。ふわふわあ。
「終わったわよ。気分はどう?」
「ん?動ける!」
動けることに気づく僕。体を起こしてとりあえず腕を回してみる。
「なんの不調もないよ」
「よかった。それで、お兄ちゃんの名前は?」
「僕の名前?新だよ。三原新」
「アラタね。覚えたわ」
「…」
「…」
「え?君の名前は?教えてくれないの?」
「聞かれなかったから」
「教えてください」
「キュール」
「きゅーる?」
「そう」
「それだけ?ファミリーネームとかは?」
「ない。ただのキュール」
なんだか怒ってる雰囲気を感じるぞ。