異世界での農業の始め方特集 異世界の農業技術とは②
=月刊 異世界農業 創刊号 =
異世界での農業の始め方特集 異世界の農業技術とは②
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「それでは、次はこちら…。」
と研究している技術や農法についての説明が続いた。
「いかがだったでしょうか?」
「素晴らしい技術と思いを実感しました。」
これで断れば諦めてくれるだろう。
すごい手ごたえありみたいな顔でこっちを見ているがすいませんね。
「が、私はのう...」
何かを察したヒンドラさんが遮る様に
「今日は疲れたでしょう。宿は農業ギルドが手配しておりますので、今日はそちらへ。」
「サイカ!ミノル様を宿へ。」
「はい!分かりました。」
「ミノル様、ご案内いたします。」
真っ赤なボブヘアで真っ赤な瞳の女性が強引に引っ張るのであった。
「ミノル様、本日は、申し訳ございませんでした。」
「ん?何がですか?」
「ギルド長、農業に凄く熱心でして…。」
「いえいえ、特級印が出たら私だってそうしますので。」
「ぜひ、またお越しになってくださいね。」
苦笑いでその場をあとにした。
(最初は、はなから断るつもりだったけど、なんか興味わいちゃってる自分もいるんだよな。)
(まぁ、2日もしたら忘れるだろう。明日、断ろっと。)
〜翌朝〜
さぁて、農業ギルドに寄って断って帰るか!
宿屋をでると、昨日のサイカさんがそこに立っていた。
「おはようございます。ミノル様、昨晩はゆっくりお休みになれましたか?」
「お、おはようございます。はい。。。お陰様で。」
「で、本日はどうして?」
「はい。本日は、ギルド長より王都をご案内するようにと命じられてまいりました。」
「はぁ。ご丁寧にどうも。」
うぅぅ はやく家に帰りたい!
あえてギルド長が来ないのも絶対断りにくくするためだ!
「それではこちらへ。」
「今日は、マストンの荷車なんですね。」
ちなみにマストンとはスタイリッシュなアカミミカメだ。
「はい。まだ街路を走る許可が降りておりませんので。」
「そうですか。まぁこっちの方が落ち着きます。」
「それはよかったです。」
うーん。困った。女性との会話って慣れてないから事務的な会話しかできない。
「ところで、ミノル様。」
「はい?」
「あの魔力炉の荷車はどう思いますか?」
どうって言われてもなぁ。。。
「そうだなぁ。この辺りは規模の小さい畑が多いし、生産物を考えるとやはり車輪で走れる方が効率良く動けるんじゃないのかな。」
「車重も重くなるから魔力効率もかなり悪くなるのでは?」
「な、なるほど!!!勉強になります。」
サイカさんが急に目を輝かせてメモを取り始める。
その羊皮紙はどこからでてきたの?
「でも履帯というのが悪いわけではないよ。地面への接地面積が大きい分ね、力強く進むことができるんだ。だから水田では効果を発揮するんだ。」
「コスト面を考えても車輪で動けば安く済むよね。」
っていかんいかん。調子に乗ってあっちの世界マウントとっちゃったよ!こっちでは歴史を変えかねないから慎重に話さなきゃな。
「すごい!たったあれだけ見ただけでそこまで分かるなんて!」
「さすが特級印様!」
茶化すのは良くないよサイカさん。
全然資質なんて関係ないよ。前世?の知識的なヤツだよ。
「他には…他には…」
「サイカさん。今日は王都を案内してくれるのでしょ?そろそろお願いします。」
「あっっと!いけないいけない!」
「いっいきましょう!」
「実は今日は会わせたい人もいるからそこにいきましょ!」
「は、はい。」
会って2回で会わせたい人がいるんなんて
ちょっと早過ぎない?
ってへんな妄想を考えながらぼーっと歩くこと10分。
「ここです!」
見た目は路地一本入った、一見さんお断りな雰囲気漂う食堂だ。
「こんにちは。」
「いらっしゃい!よーサイカちゃんじゃねぇか!」
「昼から珍しいな!」
「へへ。今日はお連れ様もいるんですよ!」
「おっ!ついに恋人か!」
「何言ってるんですか。仕事ですよ仕事!」
「なんでい。つまらねぇ。」
江戸っ子親父と女の子のあるあるやりとりが終わるまで
俺は待ちぼうけなんでしょうか。
「おう。そちらかい?」
「はい!ホランド家のミノル様です。」
「おー。あのホウサク=ホランド様のとこのせがれか。」
「はい。ミノル=ホランドです。よろしくお願いします。」
「てことは、アレか。」
「奥にもう来てるよ!」
「マスター!ありがとう!」
「ミノル様こちらへ。」
「は、はい。」
なんなんだろう。
あっちの世界ではこれはぼったくられるパターンだよね。
たしかにいいカモだしねぎまでしょってそうそうだよね。
そして突き当たりにドアがあり
サイカがノックした。
「失礼します。農業ギルドのサイカです。」
「どうぞ。」
扉を開くとそこには初老の男性が座っていた。
「よくきたな!ミノル=ホランド!」
えっなんで知ってるの!
「はじめま...」
いやいやいやこの人初めましてとかそういうのじゃないよ!
サイカさん知ってるの。
この人のこと!!!!