異世界での農業の始め方特集 異世界での農業の始め方⑥
=月刊 異世界農業 創刊号 =
異世界での農業の始め方特集 異世界での農業の始め方⑥
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あれから数日後
「おはようございます。本日はミノル様にお客様がお越しになられます。」
ホランド家は朝食時にその日のスケジュールや連絡事項などが報告される。
来客とかは子爵家なのでよくあることではある。
(来客か。ふーん。誰だろう。)
「ミノル様、お客様が到着されました。応接室にお通ししておりますので、ご準備ができましたらお向かいください。」
「わかった。ありがとう。」
(そういえば、来客が来るとかいってたな。向かうか。)
〜ホランド家応接室〜
扉を開いた途端聞き覚えのある声がした。
「おー。ミノル様ご機嫌いかがでしょうか!」
顔をよく見ると
農業ギルドのヒンドラさんだ。
「こんにちは。ヒンドラでございます。」
「こんにちは。」
「本日はどのようなご用件でしょう?」
(まぁ知ってるんだけど。)
「今日は、是非農業の良さをしってもらおうと思いまして。」
「はぁ...」
「ミノル様は剣を振るいたいのは理解しておりますので、お断りになると思います。」
「ただ、どうせお断りになられるなら一度農業の良さをご覧になってからでも良いのではありませんか?」
(おお、そうきたか。)
(まぁ、それくらいのってやってもいいだろう。きっとそこまでしたらもう諦めてくれるだろう。)
「そういうことなら、一度見てみてもいいですよ。」
「ほんとですか!ありがとうございます!」
「農業ギルドとっておきをお見せしましょう!!」
(農業はこの国でもっとも文明が遅れてるんだから見たって一緒だよ。まったく)
「それでは、また後日お迎えに参ります。」
「はい、わかりました。」
ヒンドラさんは素直に帰ってくれたが
なにか気に掛かる。
なぜあれほど自信があるのか。
まぁ考えても仕方ないんだけどね。
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それから1週間が過ぎたある日。
「やや、ミノル様お迎えに参りましたよ!」
「ああ、こんにちは。」
「それでは早速お乗りください。」
と、見て驚いた。
陸路の移動といえば
スタイリッシュなアカミミガメが引く荷車だろう!
これといったらなんだ。
金属の履帯というべきか戦車のような車輪のついた荷車である。
「ささ、どうぞ。どうぞ。」
「あ..ああ」
思わず言葉を失ってしまった。まさかこのような技術がこの中世くらいの文明にあるとは。
「ところで、ヒンドラさん。」
「はい?」
「この乗り物はなんですか?」
「やっぱり気になりますよね?」
質問に質問を返してくるのは失礼だよ!
「はい。なんですか?」
「これは、只今農業ギルドで開発中の次世代の農機具です。」
「ほう。。。農機具なんてものがあるんですね。」
「もちろん。ありますよ。古くからマストンに轢かせる鉄のクローなどあります。」
あのスタイリッシュなアカミミガメってマストンっていうんだ。
それにスキをクローっていうのは異様に気になるなぁ。
「そうなんですね。つまりマストンの代わりになるものになるってことでしょうか?」
「ミノル様!さすが特級印!理解がお早い!」
「なるほど。」
なんか非常に癪だけどすこしだけ農業にも興味湧いちゃったよ。
男の子は子供のときはみんな働く車ってすきじゃない?
あっちの世界では俺はそうだったよ!
「ただ、まだスピードがでないのでマストンに比べ2倍くらい王都までかかってしまいます。」
「そうなんですか。これの動力源はなんですか?」
「王都で最近開発された魔力炉です。」
「魔力をどのように注ぐのですか?」
「操縦者から取り込む方法とあらかじめ魔力を溜め込む方法があります。」
「どれくらいの魔力が必要なんですか?」
「そうですね。操縦者から取り込む場合8時間が稼働ができますが出力は半分以下しか出ません。」
「魔力をあらかじめ取り込むには3人で交代しながら丸1日といったところでしょうか。」
ひえー実用レベルじゃないじゃん。
だが、これはなかなか面白い話だな。
次話より
異世界での農業の始め方特集 2項目目に入ります。