=異世界の農業革命 発端⑥=
月刊 異世界農業 第5号
=異世界の農業革命 発端⑥=
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あれから数日後、セリスさんから連絡が来たので農林水産省の前で待ち合わせすることになった。
〜農林水産省〜
(農林水産省ってこの辺りかなぁ…)
ミノルは、この街は悪夢のあの店以外ほとんど知らない。
「ミノルさん!こちらです。」
セリスさんだ。
「こんにちは。お待たせしましたか?」
「こんにちは。いえ大丈夫ですよ。それでは行きましょうか。」
農林水産省は、堅牢な石造の2-3階くらいの建物だ。
この国では基本的には上位貴族が各省庁を管理しているので、家風のようなものが出るのであろう。
「こちらでお待ち頂けますか?」
と会議室のようなところに案内された。
「はい。分かりました。」
「呼んできますね。」
と言いセリスさんは部屋を後にした。
「なんか、就活を思い出されるなぁ…」
と前世?の記憶にふけながらしばらく待った。
コンコン
「失礼します。」
と赤髪ロングヘアの女性がセリスさんと入ってきた。
「ミノルさん。お待たせしました。兼ねてよりお話していました、ミシリアです。」
と紹介に続くように
「農林水産省政策課のミシリア・ピトーです。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。ミノル・ホランドです。」
「この度はご足労ありがとうございます。セリスより活躍のほどはお聞きしております。」
(活躍…最近は、悪夢のショップに毎日通い詰めたり、森を爆発させたくらいしかしてないぞ…。)
「いえいえ。そんな大したことは。」
「さて、今日来て頂いたのは…」
(おい!流すなよ!)
「どうかされましたか?」
「いえ、続けてください。」
「あ、はい。近年、王国内の農業者の数が高齢化に伴い減少している傾向にあります。我が王国において農業の衰退化は大変致命的なダメージになります。とはいえ、今はまだそこまで影響はでていませんが、私が計算したところこの先、20年後には2/3にまで落ち込む予想をしています。」
「はい。つまりは農業者を増やすまでは行かずとも減るのを抑えたいと?」
「つまるところ、そういう事です。セリスに相談していたところ、特級印であるミノルさんにアドバイス頂いたらどうかという事で今回、セリスにお話の機会を設けてもらいました。」
「なるほど、現在、農業者の後継ぎはどういう状況なのでしょうか?」
「はい。農業者の子供世代に関しては、王都に出稼ぎに来て働いている方が多く、王都のほうが仕事も多く実りがあるせいか家業を、継がない者も出てきています。」
「ちょっと根本の話で申し訳ないのですが...」
「はい、なんでしょう?」
「農業者は、農業者からしかなれないのでしょうか?」
「いえ、そんな事はありませんが、わざわざ農業者になるものがいないですね。」
「収入が少ないからですか?」
「いえ、高所得な者もいますが、商人や職人をするよりは過酷な労働環境が若者には合わないようで。」
「それと、どうしても地方領になるので色々不便なようで王都に来ちゃうとなかなか戻れないようです。」
「なるほど…。そういう傾向があるなら意外に田舎暮らししたいって方もいるのでは?」
「そのあたりは調査しないとわかりませんが、仕事から離れられないのでなかなか居られないかと。」
「ちなみに、この件に関して国の予算は割いてもらえますか?」
「規模にもよりますが、ミノルさんからの提案であれば陛下も予算を出してくれるかとは思います。」
「と言いますと?」
「一般的に特級印とはそういうものですので。」
知らなかったよー早く教えとけよー
「分かりました。それであれば国からがっぽり予算頂きましょうか!」




