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月刊 異世界農業  作者: オマリー
月刊 異世界農業 第4号 =異世界の王宮のくらし特集=
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=異世界の王宮のくらし特集=  異世界魔術の使い方③

月刊 異世界農業 第4号


=異世界の王宮のくらし特集=  異世界魔術の使い方③


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0700

【行軍開始!】


第三師団名物とも言える行軍が始まった。


「ミノル、80でついて来れそうなら120に上げるとの事だ。無理せず付いてきてくれよ。」

とレイズさんから班長さんの伝言を伝えられた。

騎士団に入ると魔道具が支給され、それがトランシーバー兼時計の役割を担ってるようだ。まるでスマートウォッチのようだ。

俺には、本入隊では無い為支給されていない。

「はい。頑張ってみます…」


【10班行軍開始!テンポ80】

「はい!」

一気に周りから魔力が満ち溢れた気がした。

「ミノル、行くぞ!」

「はい!」


いよいよスタートだ。

この行軍は、湖まで何があろうと真っ直ぐ進むルールだそうだ。

山があったら登り谷があったら飛び越えるなり降りるなり魔術を駆使してとにかく進む。

昔、あっちの世界で読んだ漫画にこういうのあったな。

民家があったら中を通り、谷があったら肩車をして橋になりって言う。油風呂とかしないか心配だ。


スタートしてしばらく

ミノルは10班のペースに合わせて魔力を放出し続けた。

「ミノル、大丈夫か?」

「ええ。今のところは平気です。」

「そうか。」

レイズさんは、小さい声で何かを報告した。

「ミノル、120で行くそうだ。」

「はい!頑張ります!」

ちなみに80とか120とかは1秒間に放出する魔力量らしく

スピードにすると時速80キロ、時速120キロに相当するようだ。

レイズさんたちは何かを見ながらスピード調整をしてるように見えた。そう、あのスマートウォッチは消費魔力量も測れる。そもそも、電気という概念がない為全て自分の魔力で賄うわけだから当然の機能と言えば当然か。

「ミノル、今が120だ。付いて来れそうか?」

「うーん。まだまだ行けそうです。」

「何!?どんな魔力持ちだよ!」

まぁ、俺はその魔力で森を吹き飛ばした罪で徴兵されてるわけだ。

そうこう言っているうちに第一関門の大渓谷に着いた。

「ミノル、そろそろ渓谷に入る。スピード落とさず飛び越えるぞ!」

「渓谷は、対岸までどれくらいあるのですか?」

「たった1スクアドルだ!」

あっちで言う1キロを走り幅跳びするわけだ。

スポーツの祭典で金メダル取れちゃうよ?

「何かコツは?」

「踏み切る時に魔力を噴射するイメージだ。」

ちょっと何を言ってるかよく分からない。

「あと0003くらいで着く。合図したらその時に目一杯放出してみろ!」

「はい!やってみます!」

そんな簡単に言っちゃうけど、俺は入団1日目のルーキーだぜ?やったと言えば、団長に忘れられて半日椅子に座ってたくらいだ。出来なかったらどうしてくれるのか。


そしてまもなく3分。

「ミノル、あと0001を切った。準備はいいか?」

全く不安でしか無いがやるしかない。

「はい!」

「30…29…28…27」

カウントダウンが始まった。

まさに死の宣告。

「19…18…17…16」

心臓がバクバクしてきた。

「10…9…8…7…6…」

大渓谷が見えた。

えー!視界に見える限り谷だ。死んだな。

「5…4…3…2…1…ファイヤ!」

その合図と共に俺は必死に魔力を噴射した。

あまりの恐怖で目を閉じてしまった。

この時間はものすごく長い時間に感じた。

いや?

長くないか?

気のせいじゃない気がする。

「おーい!どこまで飛ぶんだぁ!」

とレイズの声が遠くに聞こえたのに

ハッ!と我に帰り

恐る恐る目を開けた。

「えっ!飛んでる!」

まるで、昔見たヒーローの様に飛んでいた。

後ろを振り向くと10班のみんなは豆粒にも満たない小さな影に。

だがどんどん失速してきている。

俺は気付いてしまった。

「ちょっと待って!これってどうやって降りるの!」

少しずつ高度が下がる。

「ウワァああああ」

もうパニックだ。そして落ちた。

ザパァーン。という音だけが頭の中に鳴り響いた。

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