=異世界での防獣対策特集= もしものスタンピードの対処法。
月刊 異世界農業 第3号
=異世界での防獣対策特集= もしものスタンピードの対処法。
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〜ある日の王宮 会議室〜
「それでは、会議を始めます。」
と宰相 ニフロの一声で始まる。
「本日は、帝国付近で出没した大型魔獣の件を話し合いたいと思います。えーっ、帝国からの書簡によりますと【大型魔獣出没によるスタンピードに警戒せよ。】とのこと。」
「王都及び各領地の魔獣対策はどのような状況ですか?」
「はい。防衛省よりまずは報告いたします。」
防衛省長官のガーフ=ゼネラルだ。ヤンマの父である。
「王都の魔法障壁は、今のところ異常なし。ただし、スタンピードが来た場合、耐えて30分といったところとの事。さらに内側の対策を只今模索中とのこと。」
「ガーフ卿ありがとうございます。模索中との事で現段階ではどのような報告が上がっていますか?」
宰相 ニフロが質問した。
「はい。只今、3件ほど報告が上がっており…
①物理フェンスを魔石を用いて機能の強化。
物理フェンスに用いられるワイヤーに特定の属性の魔石を練り込み魔力を流し込んだ際、雷を起こす。
②物理フェンスの改善。
物理フェンスのワイヤー素材を見直し、直接ワイヤーに雷を流し込む。
③音により撃退。
魔獣には嫌がる周波数帯があるのでは。という仮定に基づき
音響系の魔力アイテムによる聴覚への攻撃を行う。
尚、実験中 使用者の操作ミスによる暴発事故が発生。只今凍結中。
と言った内容になります。」
「報告ありがとうございます。奇抜な発想ですが、どなたのご提案でしょうか?」
「はい。報告によると農業ギルドのものが魔獣対策課に持ち込んだ話のようです。」
「あー。はい。理解出来ました。最後の暴発事故の使用者とは、どなたですか?」
「はい。えーっと…報告によりますと…ミノル=ホランドとなっております。」
宰相は王と顔を見合わせてため息をついた。
「ミノル=ホランドの件は私の方で預らせて頂いてよろしいですか?」
と宰相がガーフに尋ねた。
「はい。特に問題はございません。」
「ありがとうございます。それでは、次に国境付近の領地なにか異常はございませんか?」
「私より報告致します。」
帝国側国境付近の領地を管理しているフィガロ辺境伯だ。
「領地の傭兵ギルドからの報告によりますと、近頃ラスティアとグラシャスがかなり増加しているとの事でした。今のところ、領地内の傭兵で抑えられておりますが、もしもに備えて他の領地からの派遣も視野に入れるべきかと考えております。」
「なるほど。傭兵派遣の件、手配致しましょう。」
「ありがとうございます。」
…1時間後
「最後にスタンピード発生時の対処方法について。」
「スタンピード発生時、直ちに連絡。騎士団及び傭兵の全軍の出動準備。一般市民の避難。全軍出動確認次第、城門の封鎖をお願いします。」
「それと、ガーフ卿の報告にあった件。防衛省総出で完成させていただきたい。」
「特級印の考えたことです。決して無駄になる事はないでしょう。」
「はい。承知しました。すぐに取り掛かります。」
「それでは、これにて。」
会議が終わって、王の執務室にて。
「陛下、ミノル=ホランドの処分はいかが致しましょう。」
「そうだなぁ。まずは魔力の制御を身につけてもらわんと国がいくつあっても足りんから、王宮の雑用の名目で呼び出し第三師団で稽古を付けさせよう。音響兵器が役にたつかもしれん。」
あの暴発事件により、効果が認められてただのモスキート音発生装置だったはずのアレは音響兵器として、今は王宮に保管されている。
まぁあれだけを吹き飛ばしたんだ仕方ないだろう。
そういう意味では暴発事件は無駄では無かったのかな?




