月刊 異世界農業 第2号別冊付録 =ミノルのゴリラ観察日記①=
月刊 異世界農業 第2号別冊付録です。
=ミノルのゴリラ観察日記①=
3月某日 天候:晴れ
農業ギルドに来て1週間。
俺は今日から日記をつけることにした。
うちのギルドには、街では大雑把魔獣と呼ばれるゴリラがいる。
戦闘センスは物凄いものを感じるが、
学問の知識は無いに等しい。
さすがゴリラ。
ゴリラの朝は早い。
朝日が出るか出ないかで
ゴリラは自宅から直接外回りに向かう。
自宅は隣町らしい。
隣町がどれくらい遠いかは分からない。
知りたくもない。
ゴリラは王都の担当地域をぐるっと一周してきたのちに
ギルドに顔を出す。
ゴリラは何かを探している。
そして、こっちを見た途端、話しかけてくる。
そう。こちらのゴリラは喋るのだ。
いつも俺に誘いを断られ悲しい顔で去っていく。
恋する乙女のようだ。
ゴリラのくせに…。
必ず、お昼から戻ると差し入れの甘味を買ってくる。
ゴリラのくせに…。
良い頃合いになると
職員全員のお茶と甘味を用意しだす。
ゴリラのくせに…。
配り終わるとまた外回りに向かう。
自分は筋肉に悪いと言って食べないくせに、みんなには必ず振る舞う。
なんて心配りだ。
ゴリラのくせに…。
そんな、ゴリラを尊敬している。
みんな、ゴリラを尊敬している。
そんな、ゴリラを頼りにしている。
ゴリラのくせに…。
ゴリラのくせに…。
ゴリラのくせに…。




