異世界での農業の始め方特集 異世界での農業の始め方②
=月刊 異世界農業 創刊号 =
異世界での農業の始め方特集 異世界での農業の始め方②
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まぁシュウ兄さんに勝ったのは言うまでもない。
まさに負けた時に言う言い訳は全て言ったであろう。
そもそもシュウ兄さんには3歳の時から負けたことないんだから。。。
(さぁて、明日にはここを出なければいけないわけだし準備をしよう!)
と、部屋に戻って来たら
当然のように全て準備が出来ており、
あの遠足前日にする荷造りのワクワクは味わえないのである。
お手伝いさんがいる貴族では仕方ないことだ。
(せめておやつくらいは自分で買うぞ!)
片道2日の旅だから600円までいいのかな!
バナナはお菓子に含みますか?なんちゃって。
俺が予想する通貨の価値だが
硬貨の種類は
金貨 銀貨 銅貨の3種
おそらく金属の重さに準ずるだろう
どれも大体5-6gくらい1/5オンスと言ったところか。
あっちの世界と同じ単位なのかな!?
金は5-6gくらいだから5万円
銀は10gくらいだから1千円
銅は10gくらいだから100円
だと換算している。
こっちに来ちゃった今は、意味のないことなんだが
お金の価値観って大事なんだよ!
玄関に向かうと、
メイド長のセシリーが何かを探している。
「セシリー、どうかしたの?」
セシリーが鋭い眼差しを向けたと思ったら
俺の顔を見て我に返った表情で
「カーク様ですよ…また黙って抜け出したんです。もうまもなくバイン様が来られると言うのに…。」
バイン様とは
王国の先代騎士団長 バイン=コンカラー様で
退役後 様々な貴族の戦術指導をやっている。
斧術に長けており、斧を一振りするだけで街が壊滅したとかしてないとか…。
「狂乱の破壊神」と異名がついてたそうな。
すると扉が開く。
「やあ、セシリー。今着いたよ。」
「ややや、バイン様。長旅ご苦労様でした。
ささ、こちらへ。」
メイド達はバイン様の荷物を預かり応接間に案内する。
「おや、ミノルではないか!久しぶりじゃないか!」
「ご無沙汰しております。バイン様。お身体お変わりないですか?」
「元気すぎて困ってるくらいだよ!はっはっは!」
普段は狂乱の破壊神だったとは思えないくらい穏やかなお爺ちゃんである。たがすぐに狂乱振りが現れる。
「ミノル。お前も成人のようだな!どれ、ワシと手合わせしてみるか!」
「いやぁ、カーク兄さんに悪いですし、今日のところは…ははは」
嫌である。狂乱が半狂乱であろうが嫌である。
俺はお菓子を買いに行くのである。
「どうせ、カークはおらんのだろ。まぁ付き合え!」
とまた首根っこを引かれ訓練所に逆戻り。
軍人はみなこうなのか!?
〜再び訓練所にて〜
「ミノル!得意な武器はなんだ?好きなのを持て!」
いやいやまだやるとは言ってないんですが。
「じゃあ…この木剣で…。」
「あい、わかった!わしはこれで行くぞ!」
と重厚でけたたましいレリーフの入ったバイン様の背丈を超える斧を取り出した。
「バイン様…?」
「なんだ?」
「それって、もしかして…もしかしてですが」
「ん?」
「ん?じゃなくて…そのぉ…コンカラーでは?」
「そうだが、何か不服か?」
コンカラーとは、数々の功績を讃え最高級のアダマンタイトで作られた専用武器である。
普段は、運動会で使われるバトンのような形状で
意思に応えて武器となるらしい。
「いえ、不服というか…私は木剣ですし…お屋敷が壊れちゃいます…。」
「手加減はする!さぁ来い!」
「ううぅ…」
バタン!と扉が開きその先にいたのはメイド長のセシリーだ。
「バイン様!お待たせしました!カーク様をお連れしました。」
(グッジョブ…セシリー!)
「カーク兄さんが来たので、私はこの辺りで…」
「まっまて!まだ何も…」
言い終わる前に部屋を出た。
なんだかやる気無くなっちゃったよ。
お菓子はもういいや。
セシリーに後で頼んどこう。
そして、ドタバタな1日が終わるのであった。




