=異世界での元気な土づくり特集= 異世界の土づくり事情⑨
月刊 異世界農業 第2号
=異世界での元気な土づくり特集= 異世界の土づくり事情⑨
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〜農業ギルド5日目〜
「おはようございます。」
「...おはようございます。」
今日の職員ガチャはクラースさんですね!
「...ではいきましょうか。」
えっ。今回は了承なしですか。まぁいいですけど!
「はい。」
「...今日はポロテの報告をサイカさんよりいただきました。」
「はい。お役に立てればよいですが。」
「...はい。そこで次は土もしらべてみようかと思います。」
「酸性とかアルカリ性とかですか?」
「...それはなんですか?」
「土のペーハーってのが重要だと聞いたことあります。」
「...ぺー?はー?」
「まぁ、一旦忘れましょ!」
俺もよく分かんないし、話を変えなきゃ。
「そういえばクラースさんの魔力はすごいと聞きましたが、魔力式を運転するときはどのようにコントロールしているのですか?」
「...蛇口をひねるイメージですね。」
「そうなんですか。」
やはり、話が弾まない。
あんまり人に興味ないんだろうな。
「...着きました。」
「はい。ありがとうございます。」
クラースさんは荷台から金属の筒のようなものを取り出してきた。
「...報告のあったあのあたりの土をこれに入れてきてください。私は反対側を入れてきます。」
「はい。わかりました。」
これはなんの金属なんだろう。鉄ってほど重くないし。ステンレスみたいな見慣れた感じの容器でもない。
「このあたりかなっと、ほいほいほい」
「こんなもんでいいかなぁとっとっと」
「クラースさーん!回収完了でーす!」
と大声で向こうにいるクラースさんに言ってみた。
クラースさんには聞こえてたようで手でジェスチャーして戻れとのことを言っている。
「これをどうするんでるですか?」
「...魔素を専門で研究している知人に調べてもらいます。」
「....あっちの圃場も集めましょう。」
結局10ヶ所分くらいの土を集めた帰りの道中。
「圃場を耕すのにマストンを使ってるとのことですが、魔力式では難しいんですか?」
「...こうやって走るに関しては魔力は大して使わないのですが、圃場で作業するとなると大量に消費し、10分と魔力が持ちませんでした。」
「なるほど。あれだけの大きなものを動かすとなるとそうなるんですね。」
「小さくするとかできないんですかね?」
「...私は技術屋ではないんでその辺りは分かりかねます。」
「そうですか。」
〜王都 魔法省 魔法管理課〜
「...ここです。」
「うわー立派な建物。」
「...ここの知り合いに鑑定を頼みます。」
土を魔法管理課に?
「こんにちは。クラース。今日はどうしたんですか。」
「...こんにちは。レント。この土の瘴気を調べてもらいたいのですが。」
えっ。なんか珍しく親しげ。友達いたんだ!
「なんか作物に異常があったのかい?」
「...ええ。元気そうに育っているのにも関わらず収穫時には枯れてしまったり収量が落ちたりが続いてまして。」
「なるほど。それで瘴気をね。わかりました。調べておきます。」
「...よろしくお願いします。」
と魔法省から立ち去ってギルドへの帰り。
「瘴気ってなんですか。」
「...作物に異常がある場合、魔獣の死骸などから流れ出る瘴気が原因がほとんどです。」
「そうなんですね。」
「...私は、今回の件は、魔獣の瘴気が水と共に流れ込みそれがきちんと排水されず滞ったことで起きたものだと考えています。」
「なるほど、病気というより呪い的な?」
「...病気というのは滅多に起こることはありません。魔法によって管理しておりますので。」
えっ!そういうシステムなの。
てっきり、微生物だーとか害虫がーとかだと思ったよ。
「...一般常識的に植物が病気にかかるわけがありません。全ては瘴気による呪いの一種です。」
「そ、そうなんですね。」
一つ勉強になった。
こっちの世界では植物は病気にならなくて呪いにかかる。
そういうシステムだってこと。
「肥料とかはどうしているんですか?」
「...魔石の配合を作物ごとに変えています。」
「...作物を育てた後、圃場に特定の属性が溜まるので同じ作物を育てると収量が減る傾向にあるので作物を変えながら収量を安定させています。」
なるほど。
俺はだいぶトンチンカンなことを言っていたから、話が噛み合わなかったのか。
「勉強になります。」
「魔法で管理しているのであれば耕す必要性ってあるんですか?」
土魔法的なのでひっくり返せば早くない?
「…属性魔法を使うと圃場に余計な属性が残ってしまうので、あまり良くありません。」
「なるほど。魔法も便利なようで不便ですね。」




