弱い人って。強い人には。
弱い人って、正攻法で勝てっこない人。
正攻法で戦わされて、何度も何度も負けてきた人。
弱い人にとっては、その正攻法とやらが不条理に見える。
弱い人はいよいよ追い詰められた時、その不条理に挑戦する。
そうすることで、一矢でも報いようとする。
強い人にとって、それは卑怯、無法。
人として最低、極悪、非道。
そして何より、
恐怖だ。
強い人達は正義の名のもとに集まって、
よってたかって弱い人の挑戦を叩き潰す。
我々が正しい。当然。
アイツは悪。無法者。人でなし。
この世界の敵。
強い人達は集まって、互いに目を合わせ、自分達の正しさを確認し合う。
疑うことなど許さないように、互いに顔を見合う。
こんな事があってはならない。
平和を乱す輩が二度と現れないように、
これでもかというくらいに、
アイツを殴りつける。
殴らなければ強い人でいられないものだから、
俺も殴る、私も殴る、僕も、僕も。
それでいい。
こうしてまた平和が訪れる。
素晴らしき、汚れのない平和がその純度を高めてゆく。
なんとも美しい。
うん。なんとも美しい。
弱いボクは、
その平和の美しさに、
絶望するんだ。