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焼き鳥の店
やみつきになるような焼き鳥
駅前の居酒屋「南蛮胴」の店主は絶妙に肉を焼く
炭に油が落ちて火が上がり
煙がもくもくと巻き起こる
店内には煙が満ち
やがて入口から溢れていく
うまい脂の微細なミストが
店の前をゆく通行人を引き込んでくる
席はひとつまたひとつと埋まり
ついに満席になる
常連もいれば一見もいる
それがいいのだこの店は
俺はハイボールを飲み干して店を出る
全身に煙をまとい
古びたアスファルトの上に降り立つ
仕事は駄目でも焼き鳥は満点
この匂いにつられてこっちを見た通行人の皆様
ここは良い店です
さあどうぞお入りください
○
ひゃー
俺もうだめなのかもねえ
ちんちろりん
頭の中から音がするよ
この調子で行くとあと半年か
医者も言ってたしな
あと半年で俺はだめになってしまうんだ
もうおしまいだ
びょえーんびょえーん
ぶぶぶぶぶー
ふああああ
○
信じなくてもいいよ
なんにも
何もね
例えば僕の話をしよう
僕が信じているのはクール美少女メイドさんだけだ
ああ、クール美少女メイドさんが僕のガールフレンドだったらなあ
そんな妄想をして過ごしているのだ
そういう夢みたいなことばかり
世の中そんなもの
信じなくてもいいよ




