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年末年始
年末ですね。
私はアイデアが出てくるのを待っています。
いつか出るはずなんですけどね。
出ないですね。
困りますね。
そういうときにやることがあります。
足の裏を見ること。
そこにはいろいろなことが描かれています。
たとえば明日の夜空がきれいかもしれないこと。
昨日の富士山が雪を被っていたこと。
友人の妻が酒好きだということとか。
どうでもよい。
しかしアイデアの源泉ではある。
初詣の予定を考えてみます。
友人は外出好きだから声をかけてくるだろう。
彼の妻は家で酒を飲むほうを好むだろう。
そこに意見の対立が生じる。
巻き込まれるのは面倒です。
でも私は初詣に行きたい。
そこで一計を案じる。
あ、餡汁。
ぜんざい!
そうして私はぜんざいを食べるというアイデアを得た。
よい年末です。
善哉、善哉。
いや、よくねえよ。
と友人は言いました。
三人でぜんざいを食べながら。
私と、友人と、その妻と。
なんで、と私は問う。
だって初詣に来て、御神酒をしこたま飲んで、ぜんざいを食べている。
私も友人の妻も上機嫌だ。
三人のしたいことをすべて叶えたではありませんか。
アウフヘーベン。
いい響きですねえ。
ふふふ。
このあともう一軒行きましょうと友人の妻が言いました。
そしてヒョヒョヒョと笑った。
良いアイデアですね。
いや、よくねえ。
いやいや、良い良い。
へへへ。




