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春巻の夢
かきむしる頭に 夢は芽生えて
こんにちはと おっしゃった
夢の名は ハルマキ
「そうめんを食べたの 今年はじめてよ」
さわやかな夏の始まりを
かつおだしの香りとともに
走っていけ
○○○○○○
六文銭とは 荒野を駆けぬけるのに 必要なアイテム
持っていれば 沼に落ちずにすむ
ところがどっこい 黒色の沼だけは
そうはいかない
仏壇の下にしまってある
虫食いだらけの巻物
私のご先祖様の名前が書いてあるそれを
懐にしのばせておけ
そうすればきっと
子供の頃の水路の記憶が
あなたを助けてくれる
○○○○○○
子供の頃の記憶といえばポケモンカード
襲い来る敵を ズバリズバリと斬り伏せて
たどり着いたのが石段の上の寺だった
住職は表彰状を掲げて待っていた
百数十年の間 ずっと
風雪に耐え 古色を帯びた住職は
春巻をかじって 言った
「うまい」




