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倍音


体がいろいろ壊れて 天井を見ながら

天ぷらが食べたいとか そうめんとか 何か夏らしい

さっぱりしたものがいいなあと思う。

もしも治ったらどこへ行こうかと考えて

私の行くべき場所などどこにもない、

西から東へ流し見る地図の どこにも。

温泉。それもまあ良いですけれど。

海の幸。それもまた。

都会のコンクリートに埋まって生きる。あるいは幸福のかけら。



ぷつぷつのかゆみ いつのまに できましたか。

田舎のおうち 外でかえるが 鳴いている。

虫は出入り 自由。 そうして

乙女の柔肌は 刺され

かゆい。

あああ やんなっちゃいます。

川でとれた鮎がおいしい 季節です。

蒸し暑く 焼かれるのは 私のほう。

うだる うだる

のびて とけて うすっぺらくなった。

ひらひらと つまらぬ、 どこにも つまらぬ

人間 であります。



夏の深い緑の中に 埋没。

頭上に見える青空や かすかにきこえる蝉の声

左ききの左手で 草の下のほうをつかんで抜こうとするも

抜けず すべらせた手に 切り傷。

ぞうりの下でみみずが這っている。 うじゃうじゃ

どこからか あぶらぜみが飛んできて ひたいに当たり

げげげと鳴いて どこかへ行った。

草を倒し 道をきり拓く。 おうちへ帰る道。

冷たい麦茶を飲んで わらびもちを食べられたなら

幸せな夏。

縁側でせんぷうきが 回っている。

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