11-1 悲嘆
「弱りました、ねぇ。」
魂の管理者、クレア・スピリットは頭を抱えた。
「このままではいけない。……でも手を出すのも良くない。転生時ならともかく、私の立場ではあまり……。」
魂の管理者とは神に等しい存在。だからこそ許される事と許されない事がある。
転生時、即ち魂の総量の操作においては現世への干渉が許される。
それ以外は基本的に現世への干渉は許されない。
とある現世では『デウス・エクス・マキナ』等と呼ばれ忌み嫌われる行為であるが、実際、魂の管理者の間でも良い行動とは扱われなかった。下手に行えば評価が落ちる。評価が落ちると出世出来ない。出世すれば世界管理のリーダーとして指示とメンバーの管理に注力する事になるが、出世出来ないと延々現場仕事である。それを良しとして、一人孤独に世界の管理をする者も居ると聞いた事はあるが、クレアはそういう性格では無かった。
「あーもう、……ああ。」
どうしようと考えた時、一つの例外を思い出した。天啓。神の声として干渉する事はある程度は許される。ただ、手が届く範囲に来てもらう必要がある。話をしたい相手に。
話をしたい相手に直接干渉する事なく、特定の場所に来てもらう。そんな事が出来るだろうか。
「………………よし。」
クレアは現世を見つめ、そして一人の老人に目をつけた。
彼を使おう。
そして止めなければならない。あの男を。




