10-1 雷鳴
ピ
シャ
ン
ゴロゴロゴロゴロ。
闇夜を切り裂くが如く、雷鳴が轟く。
「ヒッ……!!」
音を聞いて女性が男性に飛びつく。
「大丈夫です。ただの雷ですから。ですから。」
「う、ううっ、ううう……。」
女性は震え、怯え、男性の優しい声を聞いてもその腕を離そうとしない。
ギシッ。
男女が歩いていないのに、廊下が軋む音がする。
木製の床がぐらり、揺れたような気がする。
「ヒィィッ!!」
女性は更に強く、男性の腕を握る。
「ううっ、誰か、誰かいるの……?」
「か、風で揺れただけです。誰も、誰もいないはずです。居て欲しいくらいですが。」
「うううううううう……。」
「いだだだだだだだだだだ。いや、失敬。その、大丈夫。居て欲しくないです。はい。居ないです。誰も。だから腕を、腕を離して。」
「う、ううっ……。」
女性が漸く腕を離した。
だが女性の震えは止まらない。
男性は女性の手を取り握りしめた。
「離れませんから。行きましょう。」
「う、うん。……あ、えっと、その、感謝。」
男性は前に進む。女性は顔を赤らめながらも、その恐怖に凍りついた顔を崩さないままに、それに続く。
男性ーーレストは、女性ーーシアの顔を見て、それから前に広がる、ダンジョンと化し、構造も狂い正しく迷宮と化した館の中を歩き始めた。
ーーーーああ、どうして、どうしてこんなことに?
レストは声にせず心の中で自問する。




