9-7 海蛇
結局機は訪れず、神殿の最深部に到達した。
開けた場の中央に水溜りがあり、その更に中央にラウム神の像がぽつんと立っている。ラウム神は空間の神。ある場所とある場所を繋げる権能を有していると言われている。
その像に供えられている宝玉。レストがふらふらとしながらも手を動かし、解析眼鏡を起動すると、そこには『空間の宝玉』と表示された。
そして、眼鏡に映るのはもう一つ。
ラウム神を取り巻く水溜りの中に、何か蠢く物がある。
「うん……?レヴィアタン……とありますが。」
その名前を聞いてカーネリアはギョッという目でレストとその影を見た。
「マジですの!?逃げますわよ!!」
「え。そんなにヤバいんですか?」
レストがキョトンとした顔で言うと、シェルフも焦り声で言った。
「知らねーの!?水中の王、人を食らう巨大な蛇だよ!!」
そう言って二人がレストの腕を掴んで逃げ出そうとすると、
「ヴィィィィィァァァァァァッ!!」
叫び声と共に水中からレヴィアタンーー巨大な青い海蛇が現れた。
するとそれは空中で消えた。
「は?」
レストがポカンとしていると、彼に背を向けていたカーネリア達の眼前に何かが現れた。
牙であった。
「ぎあああああああああああ!!」
レストはその叫び声で何かまずい事に気づき、掴まれていた腕を思い切り引っ張って、逆にカーネリアとシェルフを自分の元へと引き寄せた。
パクッ。
二人の数ミリ前を、レヴィアタンの閉じた口が通り、そのまま床へと消えていった。否、床に開いた穴へ。そしてその穴はすぐに消えた。
「こ、これは、まさか。」
ラウム神の像の元を見ると、空間の宝玉はなかった。誰かが持っていったのだろう。
誰が?
レストは突拍子もない答えに辿り着いた。
レヴィアタンが使用したのだ。




