8-11 御褒美
翌日。
「あの飴玉に掛かっていた魔法、あれがあの竜を構成していたようです。」
騎士団の本部にて、レストがレヴィに説明した。
「錬金術の原型と死霊魔法の組み合わせで、無限の命を作り出そうとしたみたいですね。」
あの後レスト達とマネリカは、マネリカの屋敷にて資料を捜索、結果先祖が鍵の無い金庫に封印した資料を発見した。金庫はスキルにより面子に姿を変えた。
「で、魔物の掃討の目的でドラン山に放逐。ただ暴走する事も多かったので討伐も考えたのですが、どうにも手に負えず。弱点として、特定の周波数で錬金術と死霊魔法の組み合わせが解けるようにしたはずなのですが、飴玉に届くほどの大きな音を生み出す事が出来なかったそうです。」
「はぁー。だからきっと鐘があれば止めることが出来るだろうと、歌にそれを残したと?」
「随分と迂遠な方法ですがね。その辺の述懐もありましたが、結局彼としては菓子竜を倒したくないと思っていたようです。自分で生命まで生み出せたのはあれが最初だった。だから殺すには忍びない、と。」
「迷惑な話ってか、よくまぁ今まで被害が出なかったわよねぇ。」
シェルフがボヤいた。
「人間とも遭遇はしてなかったみたいですし、魔物しか食べてなかったのでしょうか。」
「集落の人間を食べたのは、マネリカさんを守るため、だったのかもしれませんわね。」
レストはカーネリアの言葉に否定も賛同もしなかった。意思があったのかも分からない。ただ眼前の何かに食らい付いていただけのようにも見えた。だが確かに、自分達やマネリカに手出ししていなかったことも事実としてある。
「そう考えると倒してしまったのは良くなかったかもしれませんが、はてさて。」
「まぁ、それでも危険であることは間違いないです。いつ牙を剥くかと考えれば、仕方ないと思います。お疲れ様でした。皆さんに頼って本当によかったです。」
「……僕としては全くよくありませんでしたが。」
「犠牲も出たからね。……彼ら彼女の魂に救いあらんことを。そして彼女ら彼らの強欲さが、願わくば天の神に許され、次の世では消えんことを。」
シェルフが真面目な口調で目を瞑り祈りを捧げた。
「そうですね。まぁとりあえず、です。皆さんのお陰で、一つの事件は解決しました。マネリカ・ナリカ氏は見つかり、彼の借金も結果的には無くなりました。本当にご苦労様でした。」
そういうとレヴィは手を叩いた。すると騎士達が食事を持って部屋に入ってきた。
「食事に致しましょう。お約束通り、一品増やしてありますよ。」
レスト達はその言葉とともに入ってきた食事を見て、
「へぇ、楽しみで……。」
レストは顔を顰めた。
「何が増え……。」
シェルフは苦い顔をした。
「それよりお金がほし……。」
カーネリアはうんざりした。
ーー騎士の食事は基本的に体力が付くよう肉が、そして栄養バランスを考えて野菜が出る。主食たるパンとそれらが提供されるという点は常に変わらない。そして、ある分野の食事に関しては、欲望の暴走を防ぐ目的で、提供されることは無い。あったとしても極めて稀であった。
「皆さんにだけ特別に出すことにしました!!いかがです?」
「アンタ話聞いてた!?」
「この流れで出しますコレを!?」
「もうウンザリするほど見せられたんですわよ!?」
彼ら彼女らは口々に文句を上げた。
付け足された皿には、騎士団の予算で提供出来る最大限のデザート、安っぽいショートケーキと、その上に苺がポンと置いてあった。
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