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8-1 民謡
とある山。
巨大な何かがドシン、ドシンと大地を揺らし、木々を靡かせ、ゆっくりと、ゆっくりと歩いている。
口からはハァと瘴気にも似た気体を吐き出す。
巨体は木々の間を降り注ぐ日の光に照らされて輝く。
そしてその額には、輝く球体が、一つ。
その麓。
集落の子供達が、集落に伝わる民謡を歌っていた。
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きかい きっかい ききかいかい
どらんやまには きをつけろ
きかい きっかい ききかいかい
きかいなりゅうが まっている
きかい きっかい ききかいかい
やまにいくなら かねをもて
きかい きっかい ききかいかい
おかしなりゅうが ほしがるぞ
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その歌の意味、子供達は知らない。
そして大人も。
誰も知らないまま、ただ歌だけが、残り続けていた。
否、正しくは、歌と、謳われた竜だけが。




