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7-8 滅却

「お手柄です!!ありがとうございました!!」


 レヴィがカーネリアの手を掴んでぶんぶんと上下しながら、感謝の念を込めて頭を下げる。


 だが一方のカーネリアの心は困惑と慚愧に満ち溢れていた。


 あの時の自分は本当にどうかしていた。ーーあの時だけかといえば、そうではないが。


 宝玉に限らず、美しく、そして高く売れる物、そういった物には本当に目が無くなるのが自分の唯一の欠点であると自覚していた。本当にそれだけかどうかについては諸説あるが、カーネリア本人だけはそうであると固く信じていた。


「申し訳ありません。あの時はその、ブルーアさん、でしたか。貴方の言葉も何もかもがただただ雑音にしか聞こえませんでしたの。今もですが。とにかくアレを、宝玉を手にしたい、その一心で雑音と雑草を排除し奪い取ることだけに専念してしまった。今では本当に反省しております。」


 言葉選びとは難しい。言葉の節々から見え隠れする傲慢さから、レストは「本当に反省しているのだろうか」と訝しんだが、それでも頭を30度程下げて謝罪の意思を見せたことには一定の評価をしていた。


「まぁ結果としてはこの人を捕まえられたわけですし。」


「良かったんじゃなーい?」


 レストとシェルフが言った。


「そうです。大切なのは宝玉を邪教の手に渡さなかったという点です!!」


 レヴィが力いっぱい叫んだ。


「ところで、他の幹部は何処に?」


「……。」


「ご心配の点は分かっています、身の安全は保証致します。協力者という形で保護させて頂きます。」


 レヴィが険しい顔はそのまま、柔らかな口調で語りかけた。


「あー、その、お気持ちは嬉しいし、そうして欲しいんだけれど。そのね、アタシも知らないのよ。」


「隠し立てしても無駄ですよ。あなた幹部でしょう?」


「幹部だけど捕まらないとは限らないからって教祖から教えて貰ってないのよ。直前になったら連絡するとかなんとか。」


「その連絡手段は?」


 レストが尋ねると、ブルーアはポケットをアゴで指して言った。


「ポケットの中に書類あるから出してくれる?」


 レヴィがそれに従い懐を探ると、一枚の折り畳まれた紙が出てきた。


「通信魔法の応用でね、遠隔でこの紙に時間が来たら連絡するって言ってた。」


「ふむ。今は何も書かれていませんね。」


 レストが覗き込むと、確かにレヴィの言う通り、白紙であった。


 解析眼鏡には『受信(レシーブ)』という魔法が組み込まれているのが確認できた。これに送信(センド)という魔法でメッセージを送信する仕組みのようである。


「ん?」


 と、眼鏡に別の魔法の名前が映し出された。


 『送信(センド)』であった。


「あ?」


 レストが呆けた声を上げると同時に目を疑った。


「……か、かか、書かれてる。」


 白紙だったはずの紙に、何かが記録されていく。文字であった。文字が次々に書き出されていく。


『捕まったようだな。』


 その文字はこの一文から始まった。


『我らの事情を知られるわけにはいかない。この紙は滅却処分とする。』


 そしてまた、レストの眼鏡に文字列が表示された。


 『送信(センド)』の魔法、そして火の魔力、火柱(フレイム)であった。


『お前と共に。』


「レヴィさん!!手を離して離れて!!」


 レストが叫ぶと同時に、レヴィが手を離す。


 ヒラヒラと舞い落ちる紙が、空中で燃え上がり、そして、その場に火柱が立った。


 轟々と燃え盛る炎の柱が、先程の紙を焼き尽くし、騎士団本部の一室ーー尋問室に上がった。


「『揺蕩う波よ此処に、ウォーター!!』」


 カーネリアが叫ぶと、その火柱の上に水が現れ、その火柱を消し去った。


「あーぶなかったぁー。」


 シェルフが机を盾にしながら言った。


「ありがとうございました、もう少しで……。」


 頭を下げるレヴィ。


「お礼の前にその、びしょびしょですから、着替えてください。」


 その艶やかな鎧と肌を見ないようにしながらレストが言った。


「ニャハハ、捨てられちゃった。」


 ブルーアが洞らかに笑った。


「まぁいいわ。別にアタシはアタシがいい思いが出来ればいいだけだし。」


「そういうもん?」


 シェルフが尋ねたが、ブルーアは飄々とした顔を崩すことなく笑みを浮かべていた。


「んで、アタシの身柄はちゃんと守ってくれるでいいの?」


「勿論。大切な証人、そして罪人です。罪を償うーーいえ勿論命を奪う以外で、正しき神に報いるまで、貴方の身柄は守らせて頂きます。ただし牢獄で。」


「まぁそれは仕方ないよねー。でもちゃんといつかは解放してよ?」


「無論です。では連れて行ってください。」


 衛兵が騎士団長の一言で立ち上がり、彼女を連れていく。


 去り際、レストの横を通ったブルーアは、キラリとウインクを彼に浴びせて行った。


「?」


 彼は彼女が何をしたのか、どういう意図なのかよく分からなかった。


 ただシェルフとカーネリアは、その意図を理解したのか、どこか苛立ちを募らせていた。

7話はここまでとなります!!

お読みいただきありがとうございました。

是非高評価、ブックマークなどお願いいたします。

また、ここがよかった、ここはこうした方が、など、どのようなことでも結構です。感想お待ちしております。

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