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私の定義
私は自分自身が嫌だった。
見た目が悪く、頭も悪く、心は悪人そのものだった。
それでも私は私なのだ。受け入れるより他ない。
そう思っていた時だ。救いの手が差し伸べられ、私は変わる機会を得た。
私が嫌な私は、私を変えることを決意した。
そして私は見た目が良くなり、頭も良くなり、心が善人そのものとなった。
私は嬉しかった。嫌っていた私とようやくお別れできたのだから。
変わりきった私には、以前の私の面影なんて無い。
誰も私を私だとは分からない。
……あれ。嬉しいことなのに、何故か気持ちがスッキリしない。
私って、何が私なの…………?